最終調整は入念に

「もうここからは生き残る練習だから、逃げるとかじゃなくて。俺たちが全力で倒しにかかるから。生き残ってくれ」


全員の顔が引き攣る。


「今回、エルメに教わっていた面子も加わって貰ったのは、これから自分たちが戦う相手のことを肌で感じてもらいたいからだ。但し、忘れちゃいけないのが今から戦う俺たちが束になって戦うのが今回の相手ってことだな。正直、やってられん」


自分でも思う。

俺はともかく、キラ、エルメ、ケイン、レインを一度に相手にするとか自殺行為だ。

しかし、相手はこれより上だと言うのだから、笑えない。


「基本的には、俺たちは気絶させること、もしくは戦闘不能にすることを目指すから。こっちに攻撃してくることも全然ありだ。とにかく動けなくなることがないように頑張ってくれ」


全員が{緊張}しているのがわかる。


「今日が終わったら、後は休息にしたいと思う。人によっては回復する時間が必要だろうし、コンディションを万全にしとかなきゃいけないからな。休めるっていうのをモチベーションにやっていこう」


こっちも同じモチベーションだから。


「よっしゃ。何か質問がある奴はいるか?」

「はい!」

「はい、そこのエルフの少年」


もちろん、こいつもいる。


「皆さんの中のどなたかを倒してしまっても構わないんですよね?」


上のクラスにいた人たちは何言ってるんだこいつって顔になる。

こいつ俺を倒す気満々だな。


「もちろん、構わない。俺たちも倒されないように倒すんだ。あと、基本的に俺たちは別行動を心掛けるから。一ヶ所にまとまるようなことはないので安心してくれ」


「今回は俺たちが街の中に散らばる。一応、目立つ場所にはいる予定だから、自分たちがどこにいるかは各自で判断してくれ。開始は、そうだな……。キラが30分後に上空に雷を撃つってことでいいか?」


キラを見ると、頷いているので話を進める。

これは一番ヤバイキラの位置を教えるという意味もある。

俺なら近くにいたくないからな。



「よし、じゃあ散らばってくれ」


全員がバラバラと街の中に散っていく。


「俺たちも行くか」

「そうですね。リブレさん、負けないで下さいよ?」

「善処するよ。プリンセは倒れた人を運んでくれるか?」

「……ん、まかせて」


そのまま道に放っておくのもどうかと思うしな。


「じゃあ、俺はこっちに行くから」

「僕はこっちです」

「私はこっちに行くわ」

「僕はこっちだね」

「では俺はここに留まろう!」


全員が街の四方に散らばり、30分経つのを待つ。

うーん。

オーシリアと一緒にスルー・アイで周りを見ているのだが、周りにいる人数が中々に多い。

こりゃ初っぱなが一番しんどいかもな。



バリバリ!


キラから合図の雷が撃たれる。

さてと。


俺が行動を起こす前に周りにいた全員が出てくる。

あー、これは。


「楽そうなやつから各個撃破していくってことか」

「その通りです! リブレさん、覚悟!」


当然のようにいる少年。

これ一番キツいのは俺かもしれん。

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