もはや神様
バッチバチに警戒されてんじゃん。
むしろこれプリンセが親を説得したというのが正しいんじゃないのか?
普通に許可したならあんなに{憎悪}振りまいてないだろ。
案内されてる間に殺される説あるな。
「……えっと、こっちが、男の人たちのテント」
「お疲れ様です! 姫!」
「……それやめてって言ってるのに……」
「いえ、俺たちにとって姫は姫ですから! そんなことより……」
視線がこちらに向く。
「あんたか。うちの姫を篭絡してるというやつは」
「え」
「よくも手を出してくれたな」
「え」
これ俺がフルボッコにされるパターンじゃない?
「どうか俺たちの癒しを奪わないでくれ!」
いきなり全員で襲ってくるとこまで予想していたのだが、これは予想できなかった。
全員で土下座してきたのだ。
「……おい?」
「姫は俺たちの癒しなんだよ! 頼むから、奪わないでくれ……」
切実かよ。
「俺は手を出してなんかないし、奪ってもいないと思うんだけどな」
「しかし、長はお前が姫を奪ったクソ野郎だと……」
「あいつそんなこと言ってたの?」
ひど。
どんだけ俺に恨みがあるんだ。
「いや、俺としてはそういう意図はない」
「本当か?」
「あぁ」
「そんなことより、プリンセが癒しだというのには激しく同意する」
「同士よ!」
この一言だけでその場にいた全員が俺に気を許した感じになる。
それでいいのか。
プリンセの影響力恐るべし。
俺はプリンセの手料理を食べていることなどを自慢し、みんなに羨ましがられてからその場を去った。
同じ趣味を持つ人たちとは分かり合えるものだ。
「プリンセは大人気だな」
「そうですね。一種族の姫としては申し分のない求心力って感じです」
「……あんまりうれしくない」
プリンセとしてはあまり喜ばしいことではないらしい。
続いて、女性のテントに案内してもらう。
「お願い! 私たちの癒しを奪わないでください!」
ここでも同じような流れで土下座され、非常に困惑する。
「……本当にやめて欲しいのに」
「凄い人気だな」
「ここまでくると怖いですね……」
「もう象徴なんてレベルじゃないよな」
「神様みたいです」
それほどまでにプリンセ信仰が強い。
俺は男性同士諸君にした説明をそのままする。
どうにか許しを貰えて、人数を確認して虎族の休息地を去る。
「よし、虎族は把握した。次はここではチーター族行くか」
「行きましょうか」
「……今度こそ、帰るね。……頑張って」
「あぁ、頼んだ」
プリンセと別れて、事前に聞いていたチーター族の休息地へと向かう。
「待っていたぞ」
「ここではアミラか」
「お姫様たちに案内役をするように言ってるんですかね」
「私達は会ったことがあるからな。実際に適任だろう」
「そうかもな」
ということはこの後もお姫様方に案内されながらの人数確認になるのか。
みんな癖はあるけど美人さんだからな。
役得だ。
「リブレさん、何か悪いこと考えてません?」
「ませんよ?」
本当に勘がいいなこの子は!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます