ライバル登場

「大人たちとの戦いを見ていて、感銘を受けました! レインちゃんを守るためにも、僕は強くなくちゃいけないんです!」


……ん?


「ちょっと待ってください」


レインが口を挟む。


「僕を守る? なぜです?」


あまりに意味が分からな過ぎて思わず口を挟んでしまったようだ。


「なぜって、それは、僕が君と結婚したいからさ!」


うーわ、なんだあの断られるとかいうことを全く考えてない感じ。

こわ。

さっき散々拒絶されてたのに。

なにを食べて育ったらそんな今の自分の状況がわからないように育つんだ。

是非教えて欲しい。

食べないようにするから。



「……リブレさん、どうします?」

「……少なくとも弟子入りは拒否する」

「ですよね」


「なぜなんですか?」

「それはだな、俺とお前が敵同士だからだ」

「え? 僕は人間を軽視していませんよ? もちろん、そういったイメージがあったことは否定しないですけど」

「……こいつ、察し悪いな」

「そういう人なんです」


さぞ関わりにくいだろう。



「とりあえず、僕にはあなたと結婚する気は微塵もありません」

「そんな!?」


だから、なんでそんなにショックを受けれるの?


「そうですね、強くなってから出直してください。リブレさんはダメですから、他の人に教わるといいのでは?」

「……なら、せめて、強い人を紹介していただけませんか?」



ここで俺は思いつく。


「こいつ対幻想級ファンタズマルの戦力に数えていいのかな」

「戦力になるかは別として、いいんじゃないですか? どうやら僕を守ってくれるらしいんで」


おいおい、レイン。

そんなに{軽蔑}を表に出すなって。

どっちにしろこいつ気づいてないけど。


「となると、キラになるのか?」

「呼んだかい?」

「ひゃ!?」

「……!?」


茂みからキラが姿を現す。

お前いつもそんなところから出てきて服に全く葉っぱとかついてないのなんなの。


「だからその登場やめろって。心臓に悪いから。レインとプリンセもびっくりしてただろうが」


2人は首をコクコク振る。


「うーん、これは性みたいなものだからね。ちょっとやそっとじゃ直らないよ。そんなことより、僕の名前を呼ばなかったかい?」

「あぁ、まぁ、ちょうどいいか。こいつを鍛えてやってくれ」


エルフの少年を指さす。


「? 一緒に戦ってくれるのかい? エルフはレイン君以外非協力的だと思ってたけど……」

「あぁ、親にも内緒らしい。秘密裏に頼む。間違っても、また鬼ごっことかするな」

「流石にしないよ。でも、どうして僕なんだい?」

「そいつはレインを守りたいんだそうだ」

「……なるほどね。それで、リブレ君じゃなくて僕なわけか。了解。引き受けたよ。親の元へと送るのも任せてくれるかな」

「! よろしくお願いします!」


エルフの少年が元気に挨拶をする隣で俺は思う。

この言い方は、キラは俺とレインが付き合っているの知ってやがるな?

なんでだ?



こっちとしてはめちゃくちゃ重要なことを考えていると、少年はキラに連れていかれた。

いや、ついて行ったのだが、これからのスパルタ訓練のことを想うと、そう表現したくなる。


そう言えば、少年の名前すら聞いてなかったな。

まぁ、いいや。

敵だし。

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