適・材・適・所!
「まず言わせてもらう。俺は勝てん!」
「清々しいですね……」
「大事な事だろ」
「つまり、負けを認めると」
「いや? そうは言ってないだろ」
俺は卑屈に卑屈を重ねて生きてきたが、自分の実力を測るのは大切だと思っている。
むしろそれをしないのは嫌いだ。
例えば、「いや勉強なんてしてないって。ほんとほんと。多分50点も取れないんじゃないかな」とか言っててまぁまぁ勉強してた俺よりいい点数取ってく奴ら!
あんなこと言ってたのに80点くらい取ってく奴ら!
許さん!!
実力より小さく申告して「あ、やっぱりできてたわ」とか要らんから!
自分を高めるのに必死ですね!
「リブレさんがけっこう怒ってます……」
「……悪い。ちょっと思い出し怒りだ」
「そんな言葉初めて聞きました」
「思い出し笑いがあるなら思い出し怒りもあるだろ」
「つまり、なにが言いたいんだ?」
ライオン族の長がこちらに発言を促す。
「負けはしないって言ってるんだよ。俺はそっちに特化してるからな」
「……なめられたものだな」
長殿から発されるプレッシャーが大きくなる。
カイルさんはその様子を見てニヤニヤしてるし。
その笑いの意図は何。
しかし、長殿に視える感情も怒ってるわけではないようだ。
これはむしろ……。
「では、そこのエルフも一緒で構わん。見たところ2人で1人のような戦い方をしているのだろう?」
「あー、まぁ、ご無沙汰にはなるんだけど。そういうことになるかな」
俺が攻撃能力皆無だから他の人に頼ってばっかだからな。
他力本願。
適材適所。
「なんで僕も加わることになってるんですか」
「頼むよ。俺だけじゃどうせ勝てないんだから」
「……負けるって言わなくなっただけ成長ですかね」
「いや、キラには負けるぞ?」
「そりゃあの人は正しい意味で超人ですもん」
その通りだ。
「じゃあ、そういうことでいいか?」
「もちろん。これは面白そうだ」
カイルさんに一応確認を取るが、ノリノリだ。
それでいいのか皇帝。
「よし、ではついてこい」
遂に先導し始めたカイルさんについて行くと、前々から気になっていた
まさかここで戦えと……?
「よし、ではここで戦ってくれ」
そのままを言うんじゃねぇよ!?
「これはある意味私闘だろ? そんなのをこんなとこで大々的にする必要あるか!?」
「本音は?」
「大勢の前で晒しものになるのなんかごめんだ!」
良い合いの手だ、レイン。
「晒しものとはまた。闘士の皆は必死に戦っているんだぞ?」
「それは大いに尊敬いたしますけど? 役者が違うんだよ!」
さっきも言っただろ?
適・材・適・所!
「て言ってもお前。大勢の前で堂々としゃべってたらしいじゃねぇか。エルランド王から聞いてるぜ」
あのバカが!
人が嫌がることをしないの!
「リブレさんそれ言えます……?」
「これがTA・NA・A・GEスタイルだ!」
「いや、もう何言ってるかわかりませんけど」
「逆にお前はいいの!? こんなとこで戦うとか!」
「本来ならやめとくべきなんでしょうけど……。僕たちのは真似しようと思っても出来ないですし、リブレさんも覚悟決めたほうがいいですよ」
「お前、成長したな……」
レインも長殿が裏で考えてる俺たちの実力を見せて、国民説得の材料とするっていうのに気付いていたらしい。
成長したな……!
「僕はなんだと思われてたんですか……」
「さて、やるか? やらないか?」
「やるよ!」
わかってるよ、もう、うるさいな!
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