蹂躙は一瞬で
「さて、ここで余談なんだけどな?」
プリンセが気力を振り絞って魔法を放ち続ける4人に向かってとことこ歩いていくのを守るように魔法を斬りながらしゃべりかける。
「俺はちょっと前の戦争になりかけたやつのときな、
あれがもう一度通用するかと言われれば謎だが、あの音による攻撃って言うのは我ながら冴えてたと思う。
直接的な被害を出さなかったからプリンセと仲良くなれたわけだし。
「で、その時に前線にいたのがこのプリンセなわけだが……」
俺はニヤッと意地悪そうに笑う。
「さて、あんたらは彼女をどうにかできるかな?」
ガアァァァ!!
光に包まれて虎の姿へと変わったプリンセが4人に飛び掛かっていく。
まぁ、こうなってしまえばあいつらにはどうすることも出来ないだろう。
「主、さっきの顔は良かったのう」
「さっきの顔?」
何のことを言ってるんだ?
「プリンセ嬢をけしかける前の笑った顔じゃよ。いや、むしろ嗤った顔かの。生来の目つきの悪さに拍車がかかってどんな悪役かと思うほどの邪悪さじゃったぞ」
「いや、それ褒めてんの!? ほとんど貶してるよね!?」
「ん」
クイッとローブが下の方で引っ張られたのでそちらを見ると、プリンセが既に獣人型に戻っていた。
「終わったよ?」
「早い!」
なんという仕事の早さだ!
ふと4人が倒されている方を見やると、おぉ……。
なんとも鎧がボロボロになった姿で4人が倒れていた。
死屍累々って感じだ。
「殺してないよな?」
「それはもちろんだよ。リブレさんが殺そうと思ってないのにするのはいけないから。でも、ちょっと痛かったかも」
ちょっと……?
けっこう血まみれなんですけど……?
「リブレさんとオーシリアさんがあの人たちのMPを削ってくれてたから、ほとんど何もできてなかったよ」
なるほど、やけに決着が早いなと思ったらそういうことだったのか。
しかし、この状態の彼らを放っておくわけにもいかない。
今は致命傷じゃないのかもしれないが、このままだと失血死するぞ。
人間自分の体重の3、4パーセントの血液流すと死ぬらしいからな。
「えっと、プリンセ。キラと治療が出来そうな人連れてきてくれ。出来ればハンネ以外で」
「わかった」
ダンッ。
床を蹴る音と共にプリンセは走り去っていった。
いつもは俺に合わせてくれてるんだなぁ。
あの速さを見せられると実感するな。
「で、主は何するのじゃ?」
「ここらへんの封鎖だな」
オーシリアに指示を出してこの場所につながる道を1つ1つステッド・ファストで塞いでいく。
こんな猟奇殺人の現場みたいな場所に俺がいるところを見られたらどんな噂が立つかわかったもんじゃないからな。
壁を作り終えたころにキラとプリンセが戻ってきた。
「で、リブレ君は今度は何をやらかしたのかな?」
「いや、今回は俺は悪くない」
100パーセント被害者だ。
「あれ? プリンセ、けがを治せる人は?」
「えっと、もうちょっとで追い付くと思うよ」
「もう、なによ! キラ様と一緒に来いだなんて……」
うわー。
「え、リブレ? なにこの状況……」
俺と、床に転がる4人を見比べて唖然とした
「待て。俺は悪くない」
「この状況のどこが悪くないって言うのよー!!」
キラがいることも忘れて激昂している。
こりゃこの4人なんか相手にならないわけだわ!
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