戦いには覚悟が必要です
「お前らそんなこと言ってるけど、
俺は根本的なことから聞いていく。
「当たり前だ」
まぁ、仮にも二つ名の候補生だからな。
「ってことは二つ名が定員制でないこともわかってるよな?」
「あぁ」
「ということは俺を殺したら二つ名の座が1つ空くとかいうシステムじゃないのはわかってるんだよな?」
「当然だ」
?
ほんとに何言ってるんだこいつら。
魔法の処理をしながらさらに言葉を続ける。
「ってことは俺を倒すことに必要性は全くないように感じるんだが?」
さっき、こいつらは「必要悪」という言葉を使った。
つまり、必要に迫られて汚い手を使わざるを得なくなったということだ。
ということは今回の襲撃には何らかのロジックがあるはずだ。
「お前には関係ない」
「いや、関係しかないだろ!? そのせいで今俺殺されかかってるんだろ!?」
もはや関係あるどころか当事者だからな!?
「くそー、どうしたもんかな……?」
魔法に対する処理は順調だ。
俺の死角で気づかないはずの場所もオーシリアが教えてくれるし、間に合いそうにないやつはステッド・ファストで魔法の
よって、負けることはないんだが……。
「如何せん攻撃がなぁ……」
毎回のように攻撃の問題にぶち当たる。
もちろん、小太刀で斬るという選択肢はあるわけだが、そもそも俺はこいつらを倒す理由が無い。
襲われてるので正当防衛でどうにでもなるとは思うが、今回に限って言えば明らかに俺が格上だ。
攻撃に全てを割いている4人を封殺できている点からもそれは明らかだろう。
そんな状況で、俺は人を斬りたくない。
そもそも、俺は兵士として訓練されてるこいつらと違ってただの一般人なんだ。
エネミーとかならともかく、人を斬るなんてよほどのことがないと無理だ。
例え、それが致命傷にならないとしても人を傷つけるのは嫌だな。
「くっ、攻撃が通らない! 流石に二つ名を貰うだけはあるか!」
「しかし、それで手一杯なようだわ! こちらに攻撃をしてくる気配はないわよ!」
「そうだな! 攻撃を続けるんだ!」
うん、まぁ間違ってはないかな?
俺に打開策がないわけだし。
「リブレさん」
「ん? どうしたプリンセ」
今まで後ろに隠れてたプリンセが出てきた。
俺にも余裕があるので普通に対応する。
「わたしが行ってもいい?」
「行くって攻撃するってことか? いやいや、これは俺が謎に恨まれてるだけでプリンセは巻き込まれただけだぞ?」
「それはリブレさんもでしょ? あの人たちが自分の都合のいいように言ってるだけじゃん」
そこで、俺はいつも俺の目を見上げて話すプリンセが下の方を向いて話しているのに気づいた。
とはいえ、俺は魔法の処理に忙しいので目線を合わすというのも至難の業だ。
「オーシリア、20秒だけ任せてもいいか?」
「もちろんじゃ。その程度なら苦にもならんのじゃ」
「頼む」
オーシリアに処理を任せてしゃがんでプリンセと目線を合わせる。
プリンセの目を見て俺はギョッとする。
「プリンセ……。なんで泣いてるんだ?」
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