エルフの耳って何の役に立つんだろうね
「レインが死んだということじゃないよな…?」
真っ先に浮かんだ最悪の事態を聞いてみる。
「そういうわけではありませんから安心して下さい」
マレイユさんの言葉からは{嘘}は感じられない。とりあえず最悪ではないということに安堵する。
「じゃあ、レインの居場所がわからないってのはどういうことだ?」
いくら人間がエルフと関わないと言ってもここにいる面子は少なくともレインは友好的であり、信を置くに値する相手ということは認識しているはずだ。ここの人たちは基本的に相手をどういう相手か判断するのが早い。俺やレインのこともすぐに受け入れていたし、戦争中であってもプリンセのことも受け入れていた。騙されないか心配ではあるが、そこはキラやマレイユさんがカバーするんだろう。この二人は冷静だからな。
「実は、レイン君はエルフの街の方にいるらしいんだ」
マレイユさんから説明を引き継いだキラが話を続ける。
「僕らとエルフの皆様は交易以外は相互不干渉としていてね。レイン君に向こうの街の奥に入られちゃったら行方の掴みようがないんだ」
「…お前なら気配だけで探れるんじゃないか?」
「確かに可能か不可能かというところだと可能だろうね」
「だったら!」
「ただ!」
早急に話を進めようとした俺をキラが語気を強めて止める。
「エルフのある感覚器官が優れてるのはもちろん知ってるよね?」
レインが言ってたような…。
「耳だろ?」
「その通り。そしてその能力は音を聞くことに限ったものではないらしいんだよ」
ほう。
「一回犯罪者がエルフの街に逃げ込んだ時は気配で探ろうとしたんだけど、すぐにエルフの方が来てね。凄く怒られたよ」
「ちなみにその犯罪者は?」
「引き渡してもらったよ」
エルフの方々にボコされたのか。
「となると根本的な疑問が出てくるよな?」
そもそもレインはエルフからは忌み嫌われていると言ってもおかしくはない待遇を受けていた。それをレインも悲しく思っていたし、そんなレインが自らあっちに戻るというのは考えづらい。
若しくはレインはあまりエルフの皆様に怒ってなくて輪に戻りたいと考えていたのか?そんな素振りも感情も見受けられなかったと思うけど。
城の赤い絨毯に正座したまま考え込む俺。
「…そこにレイン君の意思があるかはともかく、エルフの街にレイン君がいて迫害されてないであろう理由については察しが付くよ」
「おぉ」
確かに。レイン側からしか考えていなかったが、向こうも宗教的に「神に見捨てられた子」であるレインにはしっかりとした対応なんてするわけがないのに。
となると「神に見捨てられた子」というレッテルを剥がすような事柄がなにかあったら話が早いが…!
考えてる途中で俺はある可能性に辿り着く。そしてこの理由ならここにいる人たちは簡単に考え付くものだろう。
「まさか…!?」
「うん、さすがに察しがいいね」
「レイン君は
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