見きり発車っていいことあんまないよね
「ほう…?」
カイルが興味深いといった声を出す。
「戦争が始まるということはともかく、結果までわかっていたと…?」
「そうだな。あんたはかなり考えて行動するように見える。自分が戦争を反対しているのにさせるなんてことは本来させないはずだ。その前に止めようとするだろ。だが、今回は止めなかった。自分が止めなくても
少し黙ったあとにカイルが口を開く。
「流石だな。孫から聞いていただけのことはある」
あ、あのライオン族のお姫様は孫なんだな。
「あの終戦協定の草案、拝見させてもらった。見事だった」
いや、だからそんなに!?大したこと書いてないよ!?
「こちらから仕掛けたことであるにも関わらず、こちらに重責を負わせるようなことは書いていない。更に、本来あるはずの賠償請求などもなく、互いに何かを出し合うことで解決しようとしている」
俺がそんな事考えてなかっただけだけどね!?そんなことやったことないし!?
書くことが浮かばなかっただけなんだけどなんかいい方向に誤解されてるっぽい。
「君が言った通り、俺には未来を見通す力がある。まぁそんな使い勝手のいい能力なわけではないが、それが俺の
強すぎない!?そんなの王様になったらそうそう崩せるようなことないよな。
「具体的にどういったものなのか、と聞くのは無粋なものなのでしょうね」
呆気にとられたルーリアが能力の詳細についての疑問を口にする。
「そうさなぁ。こっちとしても奥の手みたいなもんだからな。あまり簡単に口外するわけにはいかないんだが…」
「つまり、条件があるんだな?」
俺はカイルが言わんとしていることをすぐに理解する。
「まあなぁ。こちらとしては今回のことを流してくれてるだけでかなりありがたいところではあるんだが、これを理解されたあとに攻められるとこちらとしてはひとたまりも無いんだわ」
種が割れたところでどうにかできるような能力じゃないとは思うんだけどな。
「ルーリア、どうだ?」
「わたくしとしてはドルガバと戦争するようなことは別に望んでおりませんので不可侵条約なら結んでもなんの問題もないと考えますわ」
そうだな。こっちは物資的にも問題はないんだし、不可侵条約結んだところで不利になる部分がない。
「まぁ、そういうこった。俺らが共闘できる立場となるならこの能力をおたくらのために使ってもらっても構わない」
それはメリットの方がでかいな。
「よし、それで構わない。教えてくれ」
「あぁ。俺の能力はな、基本的な結果が見えるというものだ。なんでもというわけにはいかないが、今回はあいつらが仕掛けて、こっちが負けるとこまでわかってたからな。俺が無理に止めなくてもいいと思ったわけだ。戦後交渉は賭けだったが、いいやつが来てくれたしな」
いや、強すぎるにしてもその能力…。見きり発車過ぎるだろ。俺じゃないのが来たらどうするつもりだったんだ。
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