自室って何個もあってうれしいのかな?
「おぉ……」
さすがに中心にした位置はここから見えない位置だったとはいえ、マレイユさんのMPを利用した魔法なだけあって霧自体はここからでも見える位置まで拡がっている。
「お疲れさまだ、レイン、っておぉ!?」
振り向きざまにレインを労おうと思ったら、レインが倒れかかっている!?
「危ねぇ!!」
身体を滑り込ませてぎりぎり倒れる前にキャッチすることに成功する。
「ぁ……、リブレさん。すみません。ちょっとばてちゃったみたいで……」
「気にするな。一番いい仕事をしてくれた。あとは俺に任せてゆっくり休め」
「そうさせて……もらいます……」
あ、寝た。
気絶か?
「キラ、とりあえずこいつをどっかで休ませてきてくれるか? お前なら安心だし、たぶん一番早いからな」
てかレインの寝息に擬音語つけるとしたらこれ「スピー」だな。
漫画とかでよくみる謎の擬音語という認識だったが、初めて生でお目にかかった。
「了解。じゃ、いってくるよ」
キラがレインをすっと抱えて、揺らして起こさないように気を付けながらすいすい歩いていく。
「キラ、わたくしの部屋のベッドを使いなさい。どれを使っても構いません」
「御意」
ルーリアが自室のベッドを貸してくれるようだ。
良かった。
レインのことを心配する必要はなさそうだ。
王家の部屋に入る奴なんていないだろ。
……。
だめだ!
流せない!
「おい! ルーリア! お前の部屋にはベッドが何個もあるのか!?」
「いえ? ありませんよ?」
「え? でもさっきどれを使っても構わないって……」
「あぁ、そのことでしたらあるのはベッドではなく部屋ですわ。わたくしの自室は複数ありまして、それぞれの部屋にはベッドは1つしかありませんよ?」
いやそこじゃねーよ!
なに?
自室を複数持ってるっていうのは普通なわけ?
それとも王家クオリティ?
レインの家が無駄に広かったのもそういうこと?
誰か!
この問題を解決してくれるやつはいないのか!?
エルランドとマレイユさんは論外だし、ケインはさっき「暇だから稽古でもしてくるか!」とか言ってどっか行ったし。
これからなんかあるかもだからやめとけって言ったのに聞かずに。
残るはハンネしかいない!
「あんた今あたしを一番後回しにしたよね?」
「め、滅相もございませんよ?」
焦りすぎて生まれて初めて滅相もないっていう単語使ったわ。
「あたしは普通の人間だからな? ちょっと好奇心旺盛なだけで」
いやその好奇心が化け物なんだって!
「ってことはあれはおかしいのか?」
「当たり前だろ? なんで自室が何個もいるんだよ。普通に考えたら1つをもっとでかくすればいいでしょ。すでにあのでかさだけど。なんの利用用途があるのかわかったもんじゃない」
そりゃそうか。
ということはレインの家は単純に設計が頭おかしかったってことになるな。
なにしてんだか。
「で、これからどうするのじゃ?」
王様が聞いてくるので、とりあえずの目標を伝える。
「時間が稼げてるうちにルーリアの能力の使いどころを考えておきたい」
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