どんなものでも学者ってつけたら成立する気がするよね
家に帰りつくとレインがぷるぷるしだした。なんだ?
「どうした? まだ怖いのか?」
「い、いや違います。私は大丈夫なんでおろしてください」
「なんで震えてるのか教えてくれたらな」
「……。言えません。とにかくおろしてください!」
うーん。よっぽど怖かったのか?
いや、こういうときって確か……。
「あ、トイレか」
図星だったのかレインの顔が一気に赤く染まる。
「デリカシーのかけらもないんですか! 思っても口にすることじゃありませんよ!」
そう言い放つと自力でもがいて、
べちゃ
床に落ちた後走り去っていった。それにしてもすごい力だった。火事場の馬鹿力ってやつか。
そうだなー。よくあるゲームの主人公みたく気づかないということはなかったけどやっぱ言わないほうが良かったか。
数分後、レインが相当に怒った顔で戻ってきた。やべー。
「で、あの男はどう思った?」
言われないうちに他の話題を振っておく。
すると、レインはあの男の言葉を思い出したのか顔を顰め、
「あんなの悪い奴に決まってますよ。私をどうこうとか言ってたのは置いとくとしても、キラさんを捕まえるって言ってましたよね。今回のことを計画しててもおかしくないです」
「それはそうなんだけどな」
確かに
「そうだね。すぐに決めつけるのは視野を狭くする。候補として扱ったほうが無難だね」
いきなり声がしたのでそちらを見るとキラが立ってた。
なんだよ! 気配だして来いよ!
「びっくりするだろうが!」
「いやー見張りがいるっぽいからさー。撒くのはたいして難しくもないけど気配でばれるかもだしね。用心の一環だよ」
そう言うと疲れた様子で椅子に座る。
「なにかわかったか?」
「町のみんなに聞き込みしてきたら、あの石の採掘権利者の証明書と彼らにそれを売ってる人の証明書が出てきたよ」
めっちゃ大手柄じゃん!
「でもいつも使者を名乗る人が来ていたらしくて本当にその人かどうかはわかんないって」
うーん。さすがにそう甘くはないか。
「ちなみに誰と誰だ?」
「えーとね。鉱物学者のヤリガと鉱産大臣のテンドだよ」
まず鉱産大臣なんてあるのかっていうとこが気になるけど。
「その証明書預かっててもいいか? なにかの役に立つかもしれない」
「もちろんだよ。僕が持ってても意味ないしね」
うーん。これからどうにかわからないものか。
「ちなみに聞くけどこの紙は誰でも書けるものなのか?」
「いや、確かそこへの署名は各部門の長か副長くらいしかできなかったと思うけど」
つまり三下が偽装してる可能性はないってことか。
たぶん首謀者が一回触ってるのは間違いないんだろうけど……。
とりあえず明日はこの二人について調べてみるとするか。
方針が決まるのはいいことだな。
「もう話終わりました?」
夜ご飯を作っていたらしいレインがキッチンから顔をだす。
「城で宮廷料理教わったんで試してみたんですけど……」
「終わった。これ以上話すことはなにもない。すぐに食べよう」
「キラさんはどうします?」
「いや、僕は帰るよ。見張りに見つかるのも好ましくないからね」
そう言ってキラは帰っていった。
ちなみに宮廷料理もどきはすごくおいしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます