780 輝攻戦神VS高機動型空戦FG
とりあえず魔王を探さなくっちゃ。
まずは流読みで強そうな輝力を探して――
「おわっ!」
なんか突風が吹いてきた!
ひとが集中してるんだから邪魔をしないで欲しい!
……さて、気を取り直して。
強そうな輝力、強そうな輝力っ、と。
……
…………
うーん?
とりあえず、ものすごい大きな輝力は見つかった。
というかあちこちにゴロゴロいるね。
無限の輝力のおかげでビシャスワルト
さすがに将クラスになると
その中でも特に大きな輝力が二つある。
夜将はもちろん、ドンリィェンさんよりも強い反応だ。
たぶん、このうちのどっちかが魔王であることは間違いないと思う。
うち片方は何か別の相手と戦っているみたい。
そちらの輝力はやや弱く、せいぜい将クラスってところ。
ただし戦い方が上手いのか、ほぼ互角の戦闘を繰り広げているみたい。
ここから近いし、こっちから見に行ってみるかな。
というわけで私はその戦闘中の二つの輝力反応に向かうことにした。
※
気分がとても高揚している。
はやくこの力を試したい、もっと強敵と戦いたい。
そんな感情が内から湧き上がりつつも、少しの恐怖と緊張を感じていた私は。
「……えっ?」
それを見た瞬間、一瞬にして頭が真っ白になった。
えっ、嘘。
だって、あれって。
二つの強大な輝力がぶつかり合っていた場所にやってきた。
そこにいたのは二人……いや、二つの巨人。
片方は真っ白な全身鎧の輝士みたいな巨人。
片方は白と薄い水色の流線形の猛禽を思わせる巨人。
あれって、あれって……
神話戦記の
「うわっ、うわっ! なにあれ、なにあれ! うそっ、すごい!」
うわーっ、うわーっ!
映水放送や小説で憧れてたロボットが現実にいるなんて!
これ夢じゃない? 夢じゃないよね!?
これはもっと近くに言って見てみるしかないでしょう!
争っている二体のロボットは見るからに大きさが違う。
鎧輝士っぽい方はそれこそ
対する猛禽類みたいなやつは、それと比べると五分の一程度のサイズしかない。
だいたい大きい方が一〇〇メートル、小さい方が二〇メートルってところかな?
迫力に差はあるけれど、どっちもかっこいいのは間違いない!
大きい方は魔王にも匹敵するくらいの輝力を持っていた。
小さい方は手に持った小型火槍みたいな武器から光線を放ってる。
カーディほどじゃないけど動きは速く、完全に大きい方を翻弄していた。
「誰が乗ってるんだろう……!」
さっきまでとは違う高揚感に突き動かされ、私は戦闘中のロボットへ近づいて行った。
『もうやめてくれ! その攻撃ではグランジュストに傷をつけられないと理解しろ!』
『うっさい! いいから黙ってそこから出て来い!』
おっ、声が聞こえてきた。
若い男女の声だ。
どっちもどっかで聞いたことある気がするね。
でもちょっと上手く聞き取れないから、もうちょっと傍に寄ってみよう。
『これならっ!』
小さい方が肩に背負った翼からひときわ大きなビームを撃ったよ。
大きい方は直前でそれを回避し、狙いがそれた攻撃は――
「あう」
じゅっ。
……
…………
ふっかつ!
「ふう、まさか流れ弾にあたるとは……」
あのビームやばいね。
オートヒーリングがなきゃ即死だったよ。
よし、気を取り直してもう一回接近を試みよう。
『このっ、いい加減にしてくれ!』
大きい方が巨大な剣を大きく後ろに振る。
私はちょうど右斜め後ろから近付いていたので――
「うあっ」
ばしゅっ。
……
…………
ふっかつ!
「ふう、まさか振りかぶった剣にあたるとは……」
あの剣もやばいね。
触れただけで消し飛ぶくらいすごい輝力だよ。
『せいっ!』
『当たるか!』
大きい方が思いっきり剣を振る。
小さい方はそれを紙一重でかわして懐に飛び込んだ。
『おららららららららあっ!』
そして手にした銃を構え、至近距離から胴体に向かって何発も何発も連続で光弾を打ち込む。
大きい方は手も足も出ずにしばらく攻撃を食らいっぱなしになっていた。
けど。
『たあっ!』
大きい方が体を捻って左手で小さい方を掴もうとする。
小さい方はこれもギリギリで避けると、大きく後ろへ下がって距離を取った。
『ちっ、あれだけ撃ち込んでも効いてないのかよ……!』
『よくわかったよ。君が本気で僕を殺そうとしているなら、こちらも全力で受けて立つ』
大きい方から聞こえている男の人の声色が変わった。
言うことを聞かない女の子をなだめる男性の声から、戦う輝士の声に。
っていうかこの声、ジュストくんじゃない!?
えっ、この超かっこいいロボットに乗ってるの、ジュストくんなの!?
『僕はこのグランジュストで魔王を倒してミドワルトに平和を取り戻さなきゃいけないんだ。それを邪魔するって言うなら誰であろうと……倒す!』
『はっ、望むところよ! こっちも全力全開でやってやるわ!』
こっちの女の人の声はナータに似てるね。
でもナータがこんなところにいるわけないし、誰なんだろう?
『彗星剣、
『オーバーリミットシステム発動。
大きい方は巨大な剣にこれまで以上の圧倒的な輝力が集まっていく。
小さい方は機体の色が赤く発光して銃口から伸びた光が剣みたいになる。
これはかなりヤバそうな雰囲気がする。
下手したら両方とも相打ちになるレベルのパワーだ。
なんで争ってるのかよくわからないけど、こんなカッコいいロボットがお互いを壊し合うなんて、そんなのもったいなさすぎる!
『うおおおおおおおっ!』
『はあああああああっ!』
叫び声をあげながらお互いに向かっていく二体のロボット。
私は光の翼を広げて全速力で飛翔し、その間に割り込んだ。
「すとーっぷ!」
超大型、
球体にせず蝶の形のまま巨大化させた翡翠色の防御陣が左右から迫る攻撃を受け止め――
「みちゃっ」
たのはいいけど、衝撃まではどうにもならない。
二つの防御陣に挟まれてぷちっと潰されたよ。
『えっ、なっ……?』
『なんだこれは!?』
……
…………
ふっかつ!
「そこまで! ちょっと二人とも落ち着いて!」
ちょっと横にずれた位置で肉体再生。
とりあえず二体とも動きを止めてくれたので、拡声の術で声を大きくして呼びかける。
『……ルー?』
大きい方が先に反応した。
やっぱりジュストくんだ!
「ジュストくん!」
『本当にルーなのか? ……よかった、君が無事でいてくれて。えっと、あの、この前のことは』
「ねえねえその機体なに!? 名前はなんて言うの!? どこで手に入れたの!? なんでそんなすごいロボットに乗ってるの!? 剣以外の武装は!? 必殺技とかあるの!?」
「え? えっと、この機体は輝攻戦神グランジュストって言うんだけど」
輝! 攻! 戦! 神!
グラン! ジュスト!
「うわあああああっ! かっこいいいいいいいっ! うひぁああああああっ!」
『あの、ちょっと落ち着いて。それ英雄王と同じ反応だから……』
はぁはぁはぁはぁ。
あぶない、かっこいいが過ぎて、あやうく呼吸がしぬところだったよ。
「それで、そのロボットはどうし……」
『ルーちゃん?』
ジュストくんにさらに訪ねようとすると、今度は小さい方のロボットに乗った人が、私の大親友によく似た声で呼びかけてきた。
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