第6話
気がつくと、オレ達はマンションの一室にいた。
ボロボロなソファの隣に本がたくさんある本棚があった。
「あっ……これ」
本棚の中に、東森のスタンプがついた児童小説があった。
「“なつきくん”は東森小学校みたいだな」
「文也くん名探偵だねー」
シレンがクスクスと笑う。
早足で2人の子供の駆け足の音がする。
先に来たのは、お団子の髪をゆらゆら揺らしながら来たリン。
次に来たのは……。
「やっぱりハヤブサだ」
ハヤブサはリンと話した後、Wiiスポーツを起動した。
「あの少年、かなり霊感が高いみたいだね」
シレンはそう呟いた。
ハヤブサは確かに、普通に座敷わらしのリンと話している。
ゲーム機能の野球でホームランを決め、ハヤブサは軽くピースサインをし、リンは拍手をしていた。
「ちょっと文を進めるよ」
みすずは本のページをペラペラめくると、すぐに窓の外は紫色になった。
ドアが開く音がして、そこには父親らしき人間が現れた。
ハヤブサはWiiの電源を切ると、テレビに切りかえた。
「パパ!おかえりー!」
ハヤブサは父親に抱きつくと、台所へ入って行った。
みすずが本を閉じると、妖書店に戻っていた。
「ひとつわかったことがあるよ」
みすずは少し寂しげな瞳で呟いていた。
「確認だけど、なつき……ハヤブサが持っていたゲームは、全て“大勢の人間で”遊ぶゲームじゃないかい?」
みすずはこちらを見て言う。
Wiiスポーツ、Wiiスポーツリゾート、ぷよぷよ……。
1人でも遊べる機能でもあるが、ほとんどが人と遊ぶ機能が売りのゲームだ。
そもそもWiiとは、小学生的には大勢の人間と遊ぶ類のゲームはだ。
「確かに、大勢の人間と遊ぶゲームだ」
「それなら、あんたが知ってるハヤブサとは全く違うだろうね。
あんたにちょっと似てるかも」
みすずが怪しく微笑んだ。
南森支店 妖書取扱書店 5月頭痛 @satukizutuu
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