星流夜

作者 霜月遠一

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★★★ Excellent!!!

淡々とした語り口で、進みゆく世界の終わりを描写していながら、その点についての暗さや絶望感が現れていないのが、印象的でした。
二人の、ぬくもりを感じ合うような関係がまた、胸に迫ってきます。台詞と台詞の間に、息遣いが聞こえるようです。
主人公の語る「嘘」の意味が変わる瞬間が、どうしようもなく好きです。

★★★ Excellent!!!

このレビューは物書きとして書くかファンとして書くかは非常に悩んだのですが、敢えて一ファンとして書こうかと思います。
普段三人称の長編を書いてらっしゃる方なので、最初一人称の短編と聞いてとても驚いた事を覚えています。長編の方もファンを公言するくらいには読んでいたので、とても興味を持ちながら読んでいました。
まず最初に抱いたのは言葉選びのセンスと綺麗さは短編だろうが一人称だろうが変わらないなという感想。少し個人的にお気に入りの表現を幾つかネタバレにならない程度に抜粋してみようかと思います。

『終わりのない円環。当たり前の日常。僕はそれが永遠に続くものだと信じていた。』
その直前に空の話をしていたこともあり、何処からか見上げる丸い空と永遠に続くものだと思っていた日常のサイクルをかけているように感じました。

『全てが平等に水面に堕ちる雫となって何処かへ居なくなってしまった。』
人を雫に例えるところがなんとも、美しいと感じるのです。

『ドアノブを捻り、扉に向かって軽く体重をかけると同時、きぃと錆び付いた蝶番が静かに鳴いた。』
音の描写の繊細さを感じてほしい。

『共に過ごした時間は幾星霜。』
星というのがひとつのテーマであるこの同題異話という自主企画。そんな中で星という漢字の入った、けれど星空ではなく長い年月を意味するこの言葉を用いているところが秀逸だと思うのです。

『寂寞の屋上。』
物悲しさと静けさを抱くこの言葉を二人の関係だとか世界観だとかを全て明かした後、最後の一文の直前に持ってくるところに言葉選びのセンスを感じる。

と、ファンとしては非常に美しい言葉の羅列だと思うのですが、物書きの後輩としては堪らなく悔しいのです。こんな言葉が紡げるようになりたいと貪欲に願ってしまう。
知らない言葉を知る楽しみを教えてくれたのもこの作者様です。知らない言葉が多いからと、どうか読む事… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

カクヨムでは敬遠されやすい美しさを感じる長文描写
文章を読んでいるのではなく詩を読んでいるかのような空と愛の螺旋状にある切なさ。一瞬で壊れる人の存在と退廃的な世界が目に見えなくても美しい。星色は彼女に伝わるのか、いつまでも続きを待ちたい。

★★ Very Good!!

綺麗な言葉で淡々と描写される主人公の胸中がリアルで、どんな結末に至るのか興味を引かれます。
そこに書かれた事実と、やがて見えてくる別の景色が、特に何も起こらないほんの一場面を鮮やかに変え、絶望の中にも、あたたかな感情が残りました。
短編の良さが味わえる作品だと思います。