テイクオフ

作者 日梨はつき

72

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★★★ Excellent!!!

主人公だけでなく脇役ひとりひとりが輝いていて少し角度を変えれば途端にその人が主人公のように見えてしまうのが日梨はつきさんのすごいところ。このテイクオフにも魅力的な人達がたくさん出てきます。それぞれの人生を精一杯生きている彼等を応援せずにはいられません。何度でも読み返したくなる作品です。

★★★ Excellent!!!

素直すぎたり、素直じゃなかったり。
明るく振る舞う裏側のやるせない気持ちも、霞がかったあの人の思い出も。

それらは全て一筋ではなく、幾重にも重なって、交差して、誰かへ繋がる。
誰かと、必ず繋がる。


知らなかった大人たちの、いつの日かの心が癒えたとき、青空はきっと鮮明に映るのだと思いました。
突き放す裏側を優しく教えてくれる、パステルカラーの物語はリアルな恋心と愛の気持ちに潤いをくれることでしょう。


さて、六時になるのでそろそろ牛丼を食べに行きましょうか。
だってとっても幸せな二人が、あの店のカウンターに食べに来ますよ。
ああ、朝の六時か。

なんちゃって。

★★★ Excellent!!!


 主人公はアラフォーサラリーマン、ヒロインは美人CA。一世一代のプロポーズから始まる、一見大人の切ないラブロマンスのようだけど、そうじゃない。ひとりひとり脇役にもフォーカスが当てられ、確実に物語の中で誰しもが生きている。誰かの幸せの裏には、必ず誰かの不幸が隠れている。みんな何処か不完全で、不器用で。だけどけして燻らず、一歩前へと踏み出せる力がある。
 時には自分の手で。時には誰かに背中を押されて。雁字搦めになりながらも、何度もすれ違い、胸を軋ませながら、不器用ながらに物語の中で成長してゆく。大人だからって完全なわけじゃない。最初からなんでも出来るわけじゃない。だけどその不器用さがまたリアルで、何度も喉の奥がきゅうっと切なくなるのを感じながら読了した。けして恋愛としてのかたちだけではない、誰かを愛するというきもちを繊細に描いたヒューマンドラマ。これを読み終わったあと、きっと頭の中にはどうしようもなく会いたい人が浮かぶだろう。何度でも『あいしてる』と声に出してつたえたくなる、そんなおはなし。

★★★ Excellent!!!

大人の男女の恋愛小説。
恋人がいる人、結婚を考えている人、人生が思い通りに行かない人。そんな方に読んで頂きたい作品です。

長年同棲しているカップル、空谷と「姫」。
ある日「結婚」の話が出た瞬間から、二人の関係が大きく崩れ始めます。

望む未来の「方向性」が違うと、一緒にいても苦しくなる。好きだという気持ちだけではうまく行かない時もある。
だけど、やっぱり「好きな人」を想う気持ちが、物事を動かす時もあります。

ハラハラする展開もありますが、最後は爽やかで幸せな気持ちになれる作品です。

★★★ Excellent!!!

一緒にいたいけど結婚出来ない、会いたいけど会えない、などそれぞれ登場人物の事情や心情が丁寧に言葉として描かれている素晴らしい作品でした。一話目から引き込まれて、次の話が早く読みたくて仕方なくなりました。特に会話の中でのさりげない一言に深さを感じる事が出来ました。
この後の登場人物がそれぞれどう変わって行くのかも是非描いてもらいたいです。

★★★ Excellent!!!

結婚に夢見る一途な中年男性の昇と、過去に囚われ結婚に夢も希望もない姫。そんな二人のプロポーズをきっかけに始まる別れは、周りの人を巻き込んで時に腹立たしく、時に残酷で、大きな悲しみの連鎖を生んでいく。

本筋は、どこまでも大人になりきれない二人の恋愛について、真っ直ぐな心情描写と、相反する美しいまでの情景描写で、もどかしくも二人の心の深層に迫りながら進んでいきます。

けれども、本作の目を引く点はそれだけに留まらず、二人を取り巻く人物の巧妙に挟まれる親子愛の物語が何とも奥深い。ぐっと胸を打たれ、思わず心も目頭も熱くなりました。

一度は見ない振りを決めた二人の本心。だからこそ気付かぬ内に誰かを傷付けてしまうこと。大人だからと割り切ろうとすること。
そこに体当たりでぶつかった実にリアルで素晴らしい作品だと思います。

さて、絡まりそうで絡まらない、登場人物それぞれの抱えるいくつもの想いの行方は一体どこへランディングを迎えるのでしょうか。

願わくば、今日も青空に映える一筋の飛行機雲を笑顔で追い、夜には美味しいお肉を大切な人たちと食べる、そんな幸せな毎日でありますようにと、読後に思わずにはいられません。

深い深いいくつもの愛情の物語。
是非、手に取ってみて下さい。

★★★ Excellent!!!

……愛しさと慈しみに満ち溢れたものとなるでしょう―――

 まず私が初めに首を傾げたのは小説の序盤、愛だ恋だ好きだを登場人物達が連呼して、冒頭ではいきなり結婚というテーマを堂々と投げつけているにも関わらず「あれ?」と思って表紙に戻るとそこに書かれてあるジャンルは「恋愛」ではなく「現代ドラマ」ん?
 そして、夢中で読み進めていくうちに分かれ始める4つのサイドストーリー。ん?
 途中までは4つのサイドストーリーが時間軸に沿って展開されていく在り来りな展開だと思わせておいて……ん?
 違う。この小説は私なんかが読んで理解出来るようなそんなありふれた恋愛ドラマの短編集じゃない。そう気付かされたのは中盤を過ぎた頃。これは人生という長く大きな激流を生み出す川を命懸けで下る小舟に乗った人々の壮絶なドラマなのだ!と。
 その頃にはもう小説の中に入り込みすぎて私自身がこの激流から抜け出せなくなっていました。(たまたまだと思いますが、著者のうちださんがすごく早いペースで更新して下さって追いかけるように読むことが出来て本当に嬉しかったです!)
 読後、私はこの小説の登場人物たちと同じように「強く優しく」なれたような気がしました。そして、誰にでも困難や過去の過ちや後悔や哀しみを……それぞれみんな抱えているものは違うけれど持っていて、だからこそ、愛を分かち合える人と分かち合って生きていけることが幸せの定義なのかなと考えさせられました。
 レビューになっていないことは承知してますが、著者のうちださんにお礼が言いたいです。心にいつまでも残る小説を読ませて頂いて本当にありがとうございました。大切に仕舞っておきます。