3 TONIGHT

 ヒイラギさまからの、手紙はとても美しかった。

 瑠璃紺色の封筒は、ヤドリギ先生が作ったグリッターやラメの夜空を切り取って作られていた。

 金色の月の蜜で封がされている。シルバーのハサミで、丁寧に封を切っていった。


 カサ、と音を立て、便箋を開く。


 ―――親愛なる夜空の家族 リトル・クラフトマン ポインセチアへ


 夜空の星たちが今年もいっそう、輝きを増す季節になりました。

 さて、今夜、星のティーパーティーを行います。

 そして、それにあなたをご招待いたします。

 ぜひ、お越しくださいね。楽しみにしています。


 澄んだ空気とシクラメンの甘い香りとともに ヒイラギより―――


 ポインセチアはドキドキしながらそれを読み終わると、丁寧に便箋を折りたたんで封筒に戻し、机の引き出しの中にしまった。

 そして一息つくと、一気に大慌てになり、クロゼットのドアを乱暴に開け放った。


「ティーパーティーに着て行く服なんて、持ってないぞッ?」


 *


 ヒイラギさまからの手紙は、ヤドリギ先生の元にも届いていた。

 ファーツリーから手紙を受け取ると、手際よく読み終わり、それをローブの胸元の内ポケットに入れた。


「僕に招待状が届くなんて、驚きだな」

「そう言うのは、キサマがこれまでに何度も、ヒイラギさまのお茶会を断ってきたからか?」

「まあ、その通りだ」


 ファーツリーの冷たい視線に、ヤドリギ先生は顔をうつむかせた。

 どんな顔をしていいのかわからないヤドリギ先生の様子に、ファーツリーは言った。


「ヒイラギさまのことが、信じられないんだろう」


 息を、飲んだ。

 ヤドリギ先生は、ゆっくりと顔を上げた。


「その通りだ。―――僕らの夜空を、ヒイラギさまがどうしたいのか、わからないから」

「それは、キサマがお茶会に来れば、分かるだろう。……今回は、ポインセチアも来る」


 ファーツリーの言葉に、ヤドリギ先生は驚きで、目を見開いた。


「さっき、手紙を渡してきた」

「あの子は、ヒイラギさまに初めて会う。きっと、驚くだろう」

「お前がポインセチアのそばにいてやればいい話だ。それじゃあな。あとは、招待状の通りだ。今夜、ヒイラギさまが待っているぞ」


 ファーツリーがその場から立ち去ると、バタン、とヤドリギ先生の部屋のドアが閉められた。


 今夜は、星のティーパーティー。雲のない、美しい夜空が広がるだろう。

 ヤドリギ先生の星たちが輝く、最高の星空だ。

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