私はまだ二話までしか読んでいませんが、間違いなく自分にとって最高の作品に巡り合えたと感じました。
異世界転移ものではありますが、決してチートで好き勝手するようなお話ではありません。
虐げられている魔物たちの苦しみを知り、彼らの命を自己顕示欲の為に好き勝手に刈り取るチート転生勇者どもに非力な主人公が相対する。そんな時、彼の心の怒りに応えて現れたのは、なんと戦車!
確かに彼が思うように動かせる戦車はチート能力の一種でしょう。でも彼はその力を弱いものを守るためにのみ使用する、彼自身は脆い人間でしかないけど、同じ非力な者たちをいじめ、なぶり殺しにしようとするチート能力者に対する怒りに応えて、その戦車砲は火を噴くのです。
さらに素晴らしいのは、彼の戦いは彼一人ではないということ。仲間の魔族と力を合わせて、お互いが足りない部分を埋めながら理不尽な力に立ち向かっていく姿!
これこそワンフォアオール、オールフォアワンの精神溢れる素晴らしい物語と言えるでしょう。
成熟した大人の精神の持ち主にこそご一読いただきたい一作です。
戦車とその乗り手たちへの愛情あふれる一作でした。
戦車は兵器ではなく、皆を救ってくれる(のに手を貸してくれる)素敵な助っ人として一貫して書かれています。
兵器を題材にすると、「人殺しの道具」と言う負い目から必要が無くてもネガティブな描写を入れてしまいがち(敵兵を殺すシーンとか)ですが、「弱者を救う助っ人はそんなんじゃない」と愛情に振り切ったのは素直に賞賛したいです。
また、旅の描写とかも力が入っていて、子供たちと遊んだりトロッコを製作したりと情景が浮かんでくるようでした。
道具を扱う=工夫する事だと思うので、勇者たちとの対比はそこで描けていたか思います。
あと、最後の救援に来る男たちには、「ここで来るか」と膝を叩きましたよ。