効率よくタンパク質を取りながら

回答話 打ち上げは焼肉で

 ジュージューと網の上で焼かれる肉を眺めながら文芸部の三人は今か今かとそれらに火が通るのを待っていた。



「浮いた2000円で焼肉の食べ放題とは考えたなさじ坊」



 焼け頃のカルビをさっと取ると、茜はタレにつけて白米の上に乗せると食べる。そして咀嚼して茜は放心する。



「うまっ! 何これ? まじか……どっかの誰かが焼肉には白いご飯だろとか言ってるのは間違いねーな」



 最近の焼肉はタブレット端末でメニューを選ぶ。満月とミーシャはその面白さから頼みまくってしまった事に少々の後悔を感じていた。

 次々に運ばれてくる肉やサイドメニュー達。お店のお兄さんやお姉さんは高校生だからこのくらいは食べるんだろうとそんな笑顔で疑いもせずに持って来る。



「おい、箸が止まってぞミーシャにさじ坊」



 そう言って焼けている肉をぽいぽいと二人の皿にのせてくれる茜。まだ食べ始めなんでそれもそうかと二人は焼肉を楽しむ。



「しかし、最近の焼肉の食べ放題って美味くなったよな? 肉質もまぁまぁいいしな」



 そう言ってトントロを食べる満月。茜が次々にサイドメニューを平らげ、肉が焼けるのを待っていたので段々安堵していく。



「うぉっ! ステーキあんじゃん。三人前いっとくぅ?」



 そう言って頼もうとする茜を止めて一人前で納得してもらう。少しつまらなさそうにしている茜だったが、焼き野菜を食べながら思い出し笑い。



「ほんとあの大学生達馬鹿だったな」



 彼らは翌日、しっかりと事情を説明し謝罪。それはちょっとした事件となったが、初動が悪くなかった為炎上する事もなかった。

 結果として満月の提案通りに落ち着いたのである。



「よくチョウセンアサガオの根って気づきましたね?」

「まぁ、昔読んだ新聞に食中毒事件が載っててな。農家の人でもたまに間違えるレベルだったみたいだ。一つだけ疑問に思う事があるんだよな。掘り起こして並べてあったらしいんだ。チョウセンアサガオの根がな? キャンプ場の子供の悪戯か……無差別テロか……なんてな」



 少し怖い話でもするように満月がそう言って場が盛り上がった。



「グラス空いてますけど、飲み物いりますか?」

ドラゴンウーロンティー

「おっ、ミーシャ気が利くな! コークで」



 言われた飲み物を選び注文する。あれだけ頼んだ肉もサイドメニューも茜が平らげていく。ミーシャは痩せ型の茜の身体にどうやって入っているのは不思議でしかたがない。



「そうだ! あの動く火の玉なんですけど、あれって昔本当に事件になったんですよね! 新聞で思い出しました。この前資料集めてた時に偶然読んだんです」



 満月は頷く。

 平成の初期頃に、心霊スポットの墓地で火の玉が出るという目撃例が警察に通報される。警察は数十人態勢でその光を追いかけた。

 誰かの悪戯ではないかと周囲を捜索、光の動きに規則性がないかと調べまくった結果。

 冷静に考えると近くの道路を通る車の光を墓石が乱反射し、それが偶然移動しているように見えた。

 当時の警察官は本当に恐ろしい現象が起きているのではないかと震えたという。



「へぇ、よく調べたなミーシャ」



 えへへと褒められた事に嬉しくなるミーシャ。そしてシメのアイスが運ばれてきたとき、思い出したように茜がこう言った。



「新聞といえば、昔。人食い中学生ってネタがあったよな? 覚えてないか?」



 茜はわざと言っているわけではない事はミーシャは分かっていたが、それは紛れもなく自分の事、それに満月が「あぁ、そういえば少し前にあったなそんな事件」と言ってアイスを食べる。

 冷や汗をかき、微動だにしないミーシャを見て茜は言う。



「おいどうした? もしかして食いすぎで腹痛か? アイスくっちまうぞーい」



 明るい空気の中、ミーシャだけがぎこちない笑いを返した。

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