thunderbolt

作者 にゃんしー

6

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★★★ Excellent!!!

同性愛者を差別なく受け容れるモデルシティのような街。
その象徴のような生まれの女の子が、「差別」とは?「ふつう」とは?という問いを巡る、長い旅路のような物語でした。
同性愛を「気持ち悪い」と思ってしまう彼女は、決着のつけられない思いに対峙するかのように、子どものころ辞めていた野球をはじめます。

野球というのは、なんとなくですが”男の人のスポーツ”というイメージがあります。
女性チームの活躍がメディア等であまり取り上げられないのは他のスポーツも同様なのかもしれませんが・・・。
これは私の勝手なイメージかもしれませんが、そういう意味では、女性でありながら(という文面がもう差別的であるのでしょう)、そして、「虹村市のプリンセス」でありながらマウンドに立った主人公の行為が、彼女自身の葛藤の重さをあらわすとても大きなものであったように思いました。

わたし自身は、申し訳ないことながら野球のルールも、選手の名前も、ほとんど知りません。
それでも大丈夫です。にゃんしーさんの小説は、知らずに読んでもきっと大丈夫です。(野球に詳しいともっと楽しめるかとは思いますが)

主人公だけでなく登場人物ひとりひとりの抱える葛藤、「差別をしない町」で「差別的であり続ける」ということ、「差別をしない」ことの「だからこそ差別的である一面」、生と死、性と死。
うまく言葉にできません。わたしは、この物語について語る言葉を持ちません。
長い長い試合ですが、ラストイニングを見届けてほしい。