第二部 神王国の王子バカ

どこかの誰かと違って


 思っていたよりも早く、ソルティス王女のカタラクタ帝国への輿入れは本決まりとなり、神国ディウィフィリウスはにわかにお祝いの明るい雰囲気を高めていった。

 あれからルキウスは何度かソルティス王女の元を訪問したが、双子の絆に立ち入るような話はしなかった。

 ソルティス王女がルキウスに向かって熱心に語ったのはカタラクタ帝国のガイウス皇太子の人柄と知性の魅力についてだった。


“神国ディウィフィリウスの王女が嫁ぐ相手としてこれ以上の人物はない。地位としてもそうだし、人間としてもそうだ。彼ならばどんなに個性的な人間にも価値を認め、器の大きな包容力で受け入れて大切に愛することができる。何よりも、彼は生まれついて責任の重く大きい地位にありながら、一度もそこから逃げたことがない。立派なひとだ”


 どこかの誰かと違って。

 と暗に言われたような気がしたのは被害妄想だろうけれども、それより気になったのは、ソルティス王女の口ぶりが何となく他人事を語るみたいだったことだ。

 まだ本人も現実感が湧いていないのではないか。

 しかし国と国とのとりきめとなると事は迅速かつ後戻りできないかたちで進んでゆき、一週間後にはガイウス皇太子御自らが神国ディウィフィリウスを訪れてソルティス王女を迎えにやってくる、という国を挙げての祝賀期間がはじまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます