天才教授のストゥルトゥス! ~イツワリ姫は解けない暗号~
石川へるま
プロローグ
~一つの予習~
戦場に、狂風が吹いていた。
血なまぐさい風が、折れた矢と、突きたつ剣のあいだを吹きぬけ、金色に輝く髪をなびかせた。
累々と重なる死体の上で、戦神は天を仰いで佇んでいた。
〈破壊神の紅〉と呼ばれた瞳はいまだ燃えさかり、獲物を求めて戦神を突き動かそうとした。
呪わしい衝動に抗うように、一条の涙が頬をながれおちる。
――ルキウス。余を殺して……
神々の血につらなる凄絶な美貌の戦神は、そう呟くと落ちていた弓を拾いあげ、矢をつがえ、振り向きざまに彼を射た。
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