085 休息 (2)

「ねぇ、ナオ、あそこに積んである石って何?」

 翌日の訓練後、ユキが指さしたのは、昨日、俺とトーヤが拾ってきて、庭の隅に放り投げておいた石の山。いや、山は言い過ぎか。ちょろっと転がっているだけだし。

「あれか。家庭菜園を作るなら、枠が必要かと思って、トーヤと一緒に拾ってきたんだよ」

「……あぁ! レンガ代わり! 良いね。あたし、家ができたら、その周りとアプローチに花壇を作りたいんだけど、ついでにその花壇の枠も拾ってきてよ!」

「あー、いや、それがそうもいかなくてな」

 俺はそう言って、草原では殆ど石が拾えないこと。

 石が転がっているような適当な場所がないこと。

 余裕ができたら、森にでも行って岩を砕いてみようかと考えていることを伝える。

「森、かぁ……。あたしたち、まだ服作りの途中だしなぁ……ハルカ、ナツキ、ちょっと!」

「なんですか?」

「なに?」

 ユキが2人を呼んで、今の話を伝えると、ハルカたちも少し考え込んだ。

「石を使った枠、という考えは良いと思います。見た目的にも映えますし」

「問題は森よね。トーヤたちだけで行かせるのは不安だし……そもそも岩を砕くって、そう簡単にはいかないわよ?」

「今の身体能力でも無理か?」

「石の目を読んで割るんだから、力よりも経験、でしょうね。う~ん、そうね、祝勝会が終わったら、大山椒魚でも狩りに行ってみる? 息抜きがてら。渓流なら石も多く拾えそうじゃない?」

「良いな! それ!」

「賛成! 一遍、渓流釣りとかやってみたかったんだよ~」

 日本でやる機会なんてついぞ無かったし、そもそも漁業権の問題があって、勝手に釣りなんかできなかった。せっかく行くのなら、経験してみたい。

 すぐさま賛成した俺とトーヤに対し、ハルカは苦笑しながらユキとナツキに視線を向ける。

「私も構いませんよ。今日、明日で服作りも区切りが付くと思いますし」

「あたしも良いよ。できたら鮎みたいな美味しい魚、食べてみたいよね。こっちに来て食べた魚って……」

 どんよりと暗い目になってため息をつくユキ。きっとあの料理を思い出したのだろう。

 俺もアレはもう2度と食べたいとは思わない。

「そう。じゃあ、トーヤとナオはこの2日で遠征の準備を整えておいて。一応、1日か2日の泊まりを想定して、テントとかそのあたりを」

 ハルカはそう言って、ある程度のお金をまとめて渡してくれる。

「了解」

「ディオラさんにアドバイスをもらうと、良いかもしれないわね」

 なるほど、理にかなっている。

 こちらの世界特有の事情とかもあるかもしれないからなぁ。


    ◇    ◇    ◇


「トーヤ、まずは何を買いに行く?」

「もちろん、最初はディオラさんだろ」

「え、ディオラさんは売ってないだろ?」

「ちゃうわっ! 情報収集だよ!」

「うん、解ってた」

 もちろん冗談である。

 早速ギルドに向かって、ディオラさんに相談。

「野営の道具ですか? そうですね、これからの時期に一番必要なのは防寒具ですね。このあたりでは命に関わるほどに冷えることは少ないですが、体調を崩す可能性はありますから」

「火魔法の『暖房ワームス』があればどうですか?」

「便利な魔法ですが、移動中は使えません。馬車の中みたいに閉鎖された空間なら効果はありますが。高レベルの術者は自分の周りに維持したまま移動できると聞きますけど、防寒着を着る方が簡単ですね、戦闘になった時を考えると」

「確かに」

 術者の魔力消費を考えるとあまり良い選択ではないだろう。

 快適ではあるだろうが。

「『防冷レジスト・コールド』は人に対して使う魔法ですから、こちらは移動中も効果がありますが、魔力切れになったときのことを考えると防寒着が不要、とはならないでしょうね」

「魔力切れで凍死とかシャレになりませんもんね」

「はい。雨を防げるローブもあった方が良いですね。野営に限りませんけど、雨が降っていても移動が必要なときはあります。長時間雨に濡れると体力を奪われますので、これの準備は必須ですね。余裕があれば、雨宿りできるような天幕もあると良いですね」

「それは、テントとは別に?」

「別にですね。支柱と屋根だけの物です。テントだと、中で火を焚けないでしょ? 雨の時は冷えますから、やはり火はあった方が良いです。あと、地面が濡れていて火が着かないこともありますから、焚き火を地面から離せるコンロや乾いた薪もあると良いですね」

 結構、いろんな物がいるんだな。

 いずれも納得できる物だが、マジックバッグがある俺たちはともかく、普通の冒険者には持てる量じゃないよな?

「これって普通は持ち歩けないですよね?」

 そう思ったのはトーヤも同じだったらしく、ディオラさんにそう尋ねた。

「そうですね、このあたりは、馬車がないと難しいと思います。なので、普通の冒険者は天候が悪いときは厳しいんですよ」

「そういう場合は?」

「雨が降ってもひたすら集落まで移動する、ローブを被ってひたすら耐える、雨が降りそうなら街で過ごす、そもそも長期の遠征を行わない、このあたりですね」

 厳しいっ!

 雨の中、雨合羽を被って一晩過ごすって事だろ? いや、日本の雨合羽ほどの性能は無いから、もっと辛いか。

 確か水魔法に『防雨アボイド・レイン』ってあったよな?

 この魔法とか、『暖房ワームス』とか、普段の生活には便利そうだけど、微妙な魔法が魔道書に載っているな、と思っていたが、実は冒険者としても重要な魔法だったんだなぁ。

「普通は、目的地の距離や天候を考えて行動しますから、頻繁にあることではないんですけどね」

 俺たちの表情を見て、ディオラさんは苦笑して、そう付け加えた。

「そのあたりを気をつければ、あとは一般的な物ですね。テントや食料、毛布。余裕があれば調理器具。案外役に立つのが、大きめで厚手のマントですね。移動中に寒いときにも使えますが、テントを張れないような状況でも地面の上で仮眠ができます」

 このあたりはキャンプを参考に選べば良いか。

 日本でも自分で用意してキャンプした事なんて無いが。子供の時に親が全部用意して、連れて行ってもらったことはあるので、それを頑張って思い出してみよう。

「忘れがちなのが、水ですね。活動量が多いと水の消費量も多いので。初めて行く場所では要注意です。事前に水場の情報を集めるのはもちろん、万が一、その水場が枯れていたときのことも考えておかないと、命に関わりますよ、水不足は」

「確か、水魔法で『水作成クリエイト・ウォーター』ってありましたよね?」

「はい、とても便利な魔法ですね。但し、それに頼り切ってしまうのは問題です。万が一の状況、はっきり言ってしまえば、水魔法を使える人が亡くなった場合、そこまで行かなくても魔力不足や意識不明の場合なども想定しておくべきでしょう」

「……そう、ですね」

 そんな状況は考えたくもないが、冗長性の確保は必要か。

 ライフラインに関わるような魔法は、覚えられる人は全員覚えておいた方が良いかもな。俺とハルカは覚えようと思えば覚えられるし、ユキも水魔法を覚えられる。

 マジックバッグにも水などの必要物資は確保しておくにしても、この3人が倒れるような状況ならほぼ全滅という気がする。

「ディオラさん、ありがとうございます。参考にして準備を整えます」

「いえ、お気になさらず。どこか、遠征ですか?」

「遠征ってほどではないんですが、最近は大分余裕ができましたから、近いうちに、息抜きも兼ねてグレート・サラマンダーでも捕まえに行こうかと」

「そうなんですか。良いと思いますよ。いつも激しい戦闘ばかりだと、疲れてしまいますからね。それでも一応、街の外ですし、気をつけてくださいね」

「はい、ありがとうございます」

 穏やかに微笑むディオラさんに別れを告げ、俺たちは街中の店を巡る。

 雨具に天幕、支柱は即購入。

 マントは好みもあるだろうから保留で、毛布は人数分購入。こちらも好みはあるかと思ったが、選択肢がなかったので買ってしまった。

 屋外で使うような毛布の場合、染色や柄よりも実用性重視らしく、サイズ程度しか違いが無かったのだ。

 保存性を気にする必要が無いので、食料も適当に買い込み、水を入れる樽も買う。

 調理器具はすでにあるので、購入しなかった。

 後は、ロープや布など、汎用性の高そうな雑品類。

「テントは、1つで良いと思うか?」

「普通なら、男女で分けてと言うところだが、安全な場所に遊びに行くわけじゃないしなぁ。2人は見張りで起きているだろうし、着替えをすることも、基本的にはないだろ?」

「そうだな」

 最近は余裕ができたので、冒険時と普段で服を着替えているが、最初はずっと同じ服を着たまま、完全にハルカの『浄化ピュリフィケイト』に頼っていた。洗濯に関しては、今も同じで『浄化ピュリフィケイト』を使っている。

 冒険中は当然、とっさのことに対応することを考えれば、常に装備を付けたままと言うことになるだろう。

「テントも保留にしておいて、相談するか」

「その方が良いだろうな」

 宿でも同じ部屋だったのだから、今更気にする必要もない気はするが、金銭的制約があったあの頃とは状況も違う。ある程度の配慮はしておくべきだろう。

「それじゃ、必需品は終わりとして、レジャー用品を買いに行くか!」

「レジャー用品?」

「釣り竿だよ! 渓流釣り。他にないだろ?」

 何を言っているんだ? と首を捻った俺に、トーヤは拳を握り、そう力説する。

 そう言われると、確かにレジャーだな。俺としては、釣った後も楽しみだが。

「しかし、釣り竿を売っている所ってあったか?」

「……見た覚えはない」

 俺もない。

 釣具屋なんて物は無かったし、雑貨屋もキャンプに使える良い物がないか店を見て回ったので、売っていれば気がついたはずである。

「まずは、針を手に入れるか。それ以外はどうとでもなるし。ガンツさんのところに行けば売ってなくても、何か判るだろ」

「そうだな」

 金属製品なんだから、鍛冶屋だろ、という安易な考えで向かったガンツさんのところだったが――。

「釣り針ぃ~? そんなもん作ってねぇよ。売れもしねぇのに」

「売れないのか?」

「売れねぇよ。誰が買うんだよ。このへんでのんびり釣りができるような場所なんぞねぇ」

 ガンツさんは、サールスタットなら売っているかもしれないが、それでも殆ど需要はないだろう、と言う。

 サールスタットでも魚は捕っているが網が基本。更に縄張りという物があり、勝手に港で釣り糸を垂らしていると、漁師にシメられるらしい。

 俺たちの目的地付近なら縄張りを主張する漁師もいないが、そんなところでのんびり釣りができるのは、ある程度の腕がある冒険者に限られる。

 そして、そんなことをしようとする冒険者はほぼゼロで、この街で釣り針を売ってもとても商売にはならない。

「なら、釣り竿とかも?」

「売ってねぇだろうな。そのへんで適当な木を切って来いよ」

 カーボン製とは言わないが、竹ぐらいのしなりがあって丈夫な木が欲しかったんだが。

 当然、リールなんかもないんだろうなぁ。

 ――川釣りならリールがなくても大丈夫か?

「釣り針程度なら、トミーに言って作らせな。材料ぐれぇはやるからよ。気分転換にもなんだろ」

「すみません、ガンツさん。ありがとうございます」

 顎で奥を示すガンツさんにお礼を言って、工房へ移動すると、トミーはショベル作りに精を出していた。

 床にはショベルの先っぽだけが何十個も並び、トミーは今も炉の前で鉄板を叩いて、それをショベルの形に整えている。

「トミー」

「あ、トーヤ君、それにナオ君。こんにちは」

 作業が一段落するのを待って声を掛けると、トミーは道具を下に置いてこちらに顔を向け、少しだけ疲れた笑みを浮かべた。

「ショベル、売れているんだな?」

「えぇ、幸いというか何というか。おかげでガンツさんにボーナスをもらいましたが、少し飽きも来ますね、同じ物ばかり作っていると」

「そこは仕事だから仕方ないだろ。殆どの仕事は、毎日同じ事の繰り返しなんだから」

「もちろん、解ってはいますけどね。スラムに落ちるよりはよっぽどマシです」

 『毎日同じ事を繰り返さないといけない仕事』は、言い換えると『同じ事を繰り返していてもお金が貰える』とも言える。

 殆どの凡人は、『常に新しいことをしていなければお金が貰えない』となれば、すぐに路頭に迷うことになるだろう。『程々に新しいことに挑戦できて、失敗が許されて、お金も貰える』なんて都合の良い仕事、そうそうないのだから。

「それで、今日は?」

「ああ、依頼だ。釣り針、作れるか?」

「釣り針ですか! 釣りに行くんですか!? 良いですねぇ」

 パッと顔を明るくして、声を上げるトミー。

「おや、トミーは釣り好きか?」

「はい! 海釣りも川釣りも。頻繁にはいけませんでしたけど」

 予想外、ってほどでもないか。

 日本だと互いの趣味を知るほどの付き合いはなかったし。

「それで、何を狙うんですか?」

「居るかどうかは解らないが、ヤマメとイワナ、鮎とかだな」

「針に返しは?」

「ん? 着いてない針があるのか?」

「えぇ。リリースする場合は返しのない針を使うこともありますね」

「もちろんありで。食べるから」

 それを逃がすなんてとんでもない、である。

「トミー、オレは毛針とか使ってみたいんだが、作れるか?」

「大丈夫、というか、普通は針に自分で細工するんですよ。鳥の羽とか糸を使って。売ってもいますけどね。ただ、毛針だと鮎はあまり釣れないと思いますよ。鮎なら、友釣りかルアーですね」

「友釣り、聞いたことはあるな」

 生きた鮎をおとりにして、攻撃してきた鮎を釣り上げる方法だったか?

 結構、酷い釣り方である。そもそも、縄張りを守ろうと攻撃してくるのだから、『友』じゃなくて『敵』じゃないか?

「ルアーの方が手軽ですが、どんな魚か解らないと作れないですから、作って持って行ったとしても、上手く行くかどうかは賭けですね」

 ルアーと言っても、魚を模した物だけではない上に、狙う魚によって使うルアーの種類も異なるため、そのあたりの情報が無ければ適した物を作るのは難しいらしい。

 ふーむ、なるほどなぁ。結構難しいんだな、釣りって。

「どうします? 取りあえず、普通の針とルアー用の針でも作りましょうか?」

「それで頼む。ついでに、夜で良いから、毛針の作り方、教えてくれるか?」

「えぇ、構いませんよ」

「ルアーは、どうやって作るんだ?」

「僕もルアーは作ったことありませんが、魚の模型ですから、木を削って着色して、魚に似せる事になるでしょうね」

 結構難しそうだが、ま、遊びだし適当に作ってみるか。

 上手く行かなければ行かなかったで、それもまた経験ってヤツだろう。

「……あの、僕も付いていくことはできませんか?」

 トミーに少し遠慮がちにそう言われ、俺はトーヤと顔を見合わせた。

 釣りが好きみたいだし、半分遊びだから連れて行っても良いのだが、問題は目的地が初めて行く場所ということである。

 初めて見る魔物でも出てくれば、トミーに構っている余裕は無いだろう。

「経験者みたいだし、安全な場所ならむしろ来てくれと頼むところだが……」

「正直、トミーが無事に帰ってこられるか解らない」

「そ、そこまでですか!?」

 げっ! という表情を浮かべるトミー。

「いや、初めて行く場所だから、正直言うと、わからん。ただ、普通の人が釣りに行く場所ではない」

「それって、確実に危険だからですよね!?」

「そりゃそうだろ。オークとか出てきたら、一撃でミンチだぞ?」

 俺たちには金蔓だが、一般人には脅威となる魔物なのだ。

 ただの猪であるタスク・ボアーだって、こちらに来たばかりの俺なら、殺されてしまう可能性があるのだから。

「どのぐらい鍛えれば、いけますかね?」

「魚釣りに命懸けるのか?」

「トミー、そこまで釣り好きだったのか?」

 俺たちは驚いて、トミーをマジマジと見つめる。

 俺たちは危険性が低そうだから、息抜きに行こうと思えるが、俺がもしトミーの立場なら、危険を冒してまでわざわざ釣りに行こうとは思えない。

 魚を釣ったら儲かるというわけでもない。

 所詮、遊びなのだからして。

「もちろん釣りが好きというのもありますけど、ずっと鍛冶だけというのもアレでしょう? 楽しいことは楽しいんですけど」

「息抜きは必要か」

「はい。この世界、娯楽少ないですから」

 気持ちは解る。

 実際俺たちも、自由時間と言われてすることが思いつかなかったクチだから。

「オレたちもまだ行っていないし、どのくらいとは言えないが、最低でもホブゴブリンは1人で斃せる様になって欲しいところだな」

「あとは、ある程度の速度で、半日は走り続けられるように鍛えた方が良いだろうな」

「ホブゴブリンは解りますが、半日走る、ですか?」

 不思議そうに首をかしげるトミーだが、これ、すごく重要だぞ?

「強い敵が出てきたら逃げなきゃいけないだろ? 俺たち、強敵を力を合わせてギリギリ倒す、なんてこと、するつもりはないし」

「ギリギリならまず逃げるよな。逃げられる状況なら。無理する意味なんてないし」

 死んだら終わりなのだ。

 ギリギリの状況で戦闘になるなんて、戦略的にすでに失敗している。

 常に格上と戦うなんて、物語なら楽しいかもしれないが、俺たちには必要ない。むしろ、同格以下で戦えるように努力すべきである。

「で、そんな時、トミーが走れないと置いていくことになる、と」

「トミー1人を助けるために、全員が犠牲になる可能性があるなら、普通に見捨てるから、オレたち」

「今日から走り込みをします!」

 あっさりと言った俺たちに、トミーは顔を引き締めてそう宣言した。

 それでも釣りは諦めないのな。

「頑張れ。半日走り続ける程度は案外簡単だと思うが、できるだけ早く走れるようになる事を薦める。むしろ、危ないときに真っ先に1人で逃げられるぐらいに」

「えっと……良いんですか? 1人で逃げて」

「むしろその方が助かる」

「だな」

 不思議そうな表情を浮かべたトミーに、俺たちはすぐさま深く頷く。

 危険なときに撤退するにしても、普段からパーティーを組んでいないトミーと呼吸を合わせるのは難しいだろうし、単純に速度面でも着いてこられないだろう。

 かといって、先ほどの言葉通りに見捨てるのは心が痛む。

 それならば最初に逃げてもらった方が、むしろ楽なのだ。

「ま、アドバイスが必要なら訊いてくれ。ゴブリンを倒しに行くなら、暇なときなら付き合うし」

「ありがとうございます。休みが取れたら、お願いするかもしれません」

「おう。それじゃ、針は頼むな。宿で渡してくれ」

「解りました。今夜、持って行きますね。良い物を作りますから!」

 トミーは、ショベルを作っていたときよりも明らかに気合いの入った表情で、金属を叩き始めた。

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