その割り込みをマスクせよ!

作者 にゃんしー

9

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★★★ Excellent!!!

この小説の素晴らしさをどうやって伝えたらいいのかわからず、私は今、自分の表現力のなさに呆然と立ち尽くしています。

これまで読んだにゃんしーさんの作品はどれも素晴らしかったのですけど、これは、これまでの作品のさらに数段上の地点に到達していると感じました。その場所は、これまで読んできたたくさんの小説(もちろん商業作品含めて)のなかでも、たどり着けているものは少ない、そんな稀有な場所です。

小説の醍醐味のひとつは、これまでに経験したことのない世界を垣間見せてくれることです。電脳空間を描いた、いわゆるサイバーパンクと呼ばれる小説はたくさんあります。でも、この小説(第二章)で描かれるのは……極力ネタバレ的なことはしたくないので、詳細には触れませんけど……なんと呼べばいいのでしょう、ハードウェアパンク? とにかく、今まで誰も見たことのない世界が構築されています。SFではないんですけど、SF以上にスリリング。

もちろん、そのような舞台装置だけでなく物語としても一級品です。ヘヴィなテーマを内容しているのですけど、読後は不思議なさわやかさを感じます。これもまた、これまでの作品にはなかった感じかも。ひとことで言うと、「突き抜けたなー」そう感じました(ううう、語彙力……)。

ああ、だめです。この作品の魅力がちっとも伝えられてません。とにかく一人でも多くの人に読んでもらいたい。月並みな言葉ですけど、心からそう思います。

★★★ Excellent!!!

 すごくさみしくて美しくてロマンチックな物語でした。システム・エラーと、人間としてのエラー(それが”エラー”なのかどうかは社会に依るものと思いますが、それもまた)、そして社会や集団のエラー・・・欠けているものの哀しさや美しさが脳に迫ってくるようでした。筆者はかなりコンピュータの技術的な部分に精通しているとみえ、物語の流れや情景、登場人物の感情描写にテクニカル・タームがぴたりと寄り添っているように感じます。
 とはいえ、私自身はパソコンやシステムについて詳しくなく、作中に登場する用語の数々については、申し訳ないながら殆どが知らない言葉でした。ただ、これまで専門用語が頻繁に出てくる小説は「わからないやつは読むな」という雰囲気を勝手に感じて避けていたのですが、これは何か拒まれていない気がして、最後まで楽しませていただきました。
 このレビューを書くのに、美しい、という言葉をたくさん使ってしまいました。文章が美しい、というのがいちばんの印象的なところです。汚いものをしっかりと描写しているのですが、それでもなお、それゆえ、美しい作品でした。
 読み終えたあと、dサブ9ピンのディスプレイコードの小さなねじが、きっと愛おしくなるでしょう。