第129話夫婦喧嘩と地ビール


惨状の朝、俺は3人を起こし服を着させ正座させた。




「これはどういうことだ!」




「覚えて無いの?」




「雅也さんが獣のようだった」




「あんなの初めて」




「俺はお風呂に入ってから記憶が無い、美咲俺に食わした物はなんだ!」




「‥‥オークの睾丸‥」




「お前は何て物食わせるんだ!」




「ごめんなさい‥でも聞いて、恋花が妊娠して、私たちは怖かったの」




「ふざけるな、俺は4人を真剣に愛してる、だから俺は我が儘にも付き合った。それなのにこの仕打ちはなんだ、俺は子供なんて天から贈り物だと思ってる、それなのに俺はただの繁殖道具か?」




「私たちもこんなに成るとは思ってなかったの、ごめんなさい」




「取り合えず、オークの睾丸は村では禁止、独身の男が食べて女性を襲ったらどうするんだ、それから3人には少し距離をおかしてもらう」




「いや、それだけは」


「ごめんなさい」


「お願いします、それだけは」




「俺だって残念だよ、俺に女性を近づけさせないくらいは許すよ、でもな子供が欲しいからって変な物食わすのは、俺の気持ちなんかどうでもいいと思っているんだろ」




「違う、そんなこと思ってない」


「ごめんなさい、こんなことになるとは思わなくて」


「だって、雅也さんモテルから証が欲しかった」




「ふざけるな、証が有ったら俺はどうでもいいのかな!」




「取り合えずこの部屋から出てけ」




俺は彼女たちを追い出した後、風呂に入ろうとしたが、彼女たちに会うのも嫌なんで、普通に着替えることした。




着替えていると、恋花が部屋に入って来た。




「恋花、お前も知っていたのか?」




「私も話は聞いていました」




「お前も同罪だな」




「雅也さん話を聞いて」




「なんだ?」




「私たちは雅也さんが、一度ドラゴンに殺され掛けたことが有ったでしょ、あの時私たちは絶望を味わったの、あれから雅也さんはさらにカッコ良く成って私たちたち不安だったの、自分たちが強引に結婚を迫り、本当は雅也さんは私たちこと好きじゃないのか」




「恋花は俺に愛されてないと思ってたのか?」




「そんなことはない、愛されていると思ってた、でも自分に自信が無かった。そんな時に赤ちゃんができて嬉しかった。でも3人には余計な不安を与えたみたいで‥」




「俺は葛藤も有ったが誰かに絞れない俺も悪いと思って、覚悟を決め4人を平等に愛したよ、我が儘だって受け入れた、でも俺も一人の人間なんだよ、押し付けるだけが愛じゃないんだよ、それなのに俺は置き去りで4人で勝手に決めてこれかよ」




「ごめんなさい、でも私たちは雅也さんを愛しています、私は殺されたって離れません」




「俺だって愛してる、でも少し考えさせてくれ」




俺が話し終えると同時にドアが開き3人がなだれ込んで来た。




「「「ごめんなさい、ごめんなさい」」」




俺にしがみついて、泣く3人。




もう涙と鼻水でクチャクチャでなにを言っているか解らない。




俺も怒ったが、俺にも責任が無い訳でも無い、恥ずかしくて言葉にしてこなかったし、4人に流されてる自分が楽で甘えてたのかもしれない、これからは態度でキチンと示そう。




それから皆で話して、蟠りを払拭した。冗談で皆がいっぺんに妊娠したら夜困っちゃうなと言ったら、目が笑ってない笑顔で。




「大丈夫よ、変な気が起きないくらい搾り出すから」




「‥‥‥」




(馬鹿か俺は余計なことを言うな、嫉妬心を煽ってどうする)




仲直りに皆でお風呂に入り一連の騒ぎは治まった。




取り合えずは彼女たちの月の物がくる間では夜はゆっくり寝れそうだ、来なければ3週間後に検査で解るな、しかしいきなり4人の子持に成るのか。




そんなことを朝からやっていたが、今日は村で初めてできたビール醸造所の初出荷の試飲会がある。




元々、近くに酒蔵が有り、村に移住して酒蔵を再開するために準備してきたが日本酒は時間が掛かるため、同時進行で地ビールの制作も始めビールが先に完成した。




最初は材料や設備も無くて、荒らされた酒蔵から機材を回収して修理しながら設置して、同時に原材料の獲得にも動いた。




ダンジョンでも生産できるが、ホップ自体が無かったので、


「お願い総理」で岩手県から取り寄せて貰い、種と初回生産分のホップを送って貰った。




今回は完全村産のビールではないが、久々の生ビールが楽しめる。




来年の初夏には完全村産のダンジョン地ビールが飲める。




ビール工場兼BARは沖田の親方の若い衆が頑張り、かなりお洒落な造りに成っていた。




しかも、グラスは村のガラス工房製で、つまみも最近できた燻製小屋のオークソーセージとボアの焼豚。




今回は3種類の地ビールを飲み比べながら、オークソーセージをフォークで持ち上げるが、まさか睾丸なんか入ってないだろうな。




かぶり付くと普通にうまかったし、地ビールに良く合う。




しかし、やっぱ生ビールは美味い、これで寒く無ければ最高だけど、こればっかりは仕方ない夏に生ビールが飲めるように成るから嬉しいから良い。




しかも副産物で、村で麦茶も作られることになった。




しかし、村に色々できてくると村でもそろそろ通貨経済を考えなくてはいけないか、でもどうしたら良いか全然解らない。




最初は少数の仲間とのんびりだったのに、随分人が増えた。




まあ、人以外も増えたけどな、これ以上厄介事が増えなければ良いな。




これから年末年始の行事も有るから、名古屋の奪還作戦は係わらないが上手く行くことを願う。










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