第111話ブルネイ⑤


俺達がダンジョンを攻略している頃。




政府は問題山積で官僚たちは連日の激務で死屍累々。




「総理、また隣国から難民受け入れと食糧援助要求が来ています」




「難民なんて受け入れる訳無いだろ、食糧だって余裕は無い。条約すら守らない国なんて知らん」




「総理、今度はアメリカからドラゴンが飛来しているが何故被害が無いのか大統領からホットラインが入っています」




「どちらのアメリカだ」




「北アメリカです」




「解った、上手く誤魔化すが、大曽根君の村は大曽根君不在でも注目の的だな、しかしアメリカはいつまで同盟国のつもりだ、安保を無視して軍を引き上げた癖に」




その後、閣議で内閣は日本復興の5ヶ年計画が決定された。




今後日本はこのフローチャートに沿って計画を進めて行く。




東海地方の重工業を再開し、諸外国からの防衛用の弾薬生産の再開。


更に太平洋側地域のダンジョン攻略と工業の復活。


東京を奪還し、島で静養中の陛下の皇居帰還。


食糧問題や居住エリア拡大後のアメリカ介入阻止。




「アメリカは地下にかなりの人々が避難している、必ずアメリカは日本に移住要求をしてくる」




「地下に逃げているのは金持ちどもだからな、奴らがいつまでも地下で大人しくしてるはずは無い」




「武力行使は無いと考えたいが、太平洋艦隊が壊滅しても、まだ多くの艦船を持ち、怖いのは無傷の原潜が有りますからな」




「防衛計画は進めないと、平和にしても日本が侵略されては意味が無い」




雅也たちは、過剰戦力で問題無くダンジョンを降りていっていた。




途中28階層で、リザードマンが居たので、雅也はなんとか正気に戻そうとするが、秀鬼からダンジョン内では正気に戻る事は無いし、しかもこのリザードマンはダンジョンが作り出したクローンみたいな物らしい。




だから正気に戻ることは無いらしい、仕方なく倒すが、リザードマンの子供たちの顔が浮かび精神的にきつい階層だった。




30階層主はイソギンチャクのようなローパーと言われるモンスターが出た。再生能力が凄く刀で切っても再生する為手こずるも、金棒の破壊力と恋花の持つ朱雀の炎の攻撃で倒すことができた。




昨日よりは遅いが、30階層で昼食を取り31階層に降りると、そこは見渡す限りの砂漠だった。




砂漠はモンスターが足元から出るので、気をつけないと不意討ちを喰らう可能性高い。


それと毒を持つモンスターが多い為にオアシスを探し毒消し草を確保しておく必要が有ると秀鬼から提案された。




グリフォンたちに偵察を頼み、空から捜索をお願いした。




俺達は鬼人族の気配察知能力を頼りに、取りあえず階段を背に真っ直ぐ進むことにした。




砂漠は蠍や蜘蛛のモンスターがいて、昔に比べ騒がなくなったが虫嫌いの楓にはきついダンジョンになった。




砂漠のダンジョンは俺達だけならグリフォンで飛んで行けるが、流石にグリフォンたちも全員乗せて飛ぶことはできないので、歩いて行くしかない。




グリフォンたちが帰って来ると、3キロ先にオアシスが有り、8キロ先に遺跡のような物が有ると報告してくれた。




先ずは俺達と秀鬼でオアシスにグリフォンで向かい毒消し草を採集することにした。




オアシスもモンスターが居るので油断しないようにと秀鬼から注意を受け向かう。




オアシスを空から見ると、オアシスの真ん中にとても綺麗な池が有り、上空から見てもモンスターは見つからない。




警戒しながらオアシスに降りると、暑さのせいか楓と恋花が池に向かい走り出した。




秀鬼が気づき、声を掛けるも既に、体長3メートルは有りそうな大きなコモドドラゴンのようなトカゲが2人に襲い掛かった。




2人も迎い撃とうとしたが、馴れない砂地に足を取られ、反撃が遅れた。




俺も走って向かうが間に合わない。


不味いと思った時、2人の鎧に化けていたシルバが、トカゲに向かい槍状に触手を伸ばし、トカゲを串刺しにした。




2人の軽率な行動に怒り、注意したが、俺を含めて強くなった為、ダンジョンで緊張感が薄れていて今回はシルバのお陰で助かったが、俺達は気を引き締めないとと認識した。




今回のブルネイに来るのに当たり、安全の為に彼女達にはシルバがついている。




元々はダンジョン対策では無く、本来はブルネイの人間対策で連れて来た。




村では最近普通のスライムたちも掃除を手伝ってくれるので、シルバの同行を勧めてくれた。




俺達は反省してる2人と共に、砂に隠れるトカゲを倒しながら毒消し草を採集した。




俺達は合流して遺跡に向かう、灼熱の中、砂漠を歩くのは彼女たちにはかなり辛いようで、たぶん俺もドラゴンと同化していなければ一番に音を上げていただろう。




彼女たちの事をグリフォンたちに任せ、俺は鬼人族と歩いて進んだ。








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