第69話都市部探索②


夜は野性の王国に成るんだな、結界が有るから何とか寝れたけど、昼間の静けさと打って変わり夜はモンスターも活動的に成るんだな。




さてと、倉庫街から資材を集めてから、大井埠頭に行きますか。




しかし、都市部に入ってから避難してる人を一人も見ないな、マンションにハーピーが住み着き、公園や空き地にゴブリンやオークが住み着いたら人間なんて住めないか。




しかも、それを襲うモンスターまで居るからな。




埋立て地に避難してた人も、他の場所に移動したから、本当に都市部には人が居ない。




大井埠頭にコンテナ船が停泊している、物資を取りに来てるのかな。




埠頭に近づき、ガントリークレーン(通称キリン)の上に何かが止まって居る。




双眼鏡で見ると、灰色した石像の様なモンスター、ガーゴイルだ。




「マリア、ガーゴイルが20頭居るが殺れるか?」




「ガーゴイルなら問題無い、ただ弓で数を減らしてくれ」




「解った、先ずは弓で数を減らす、援護を頼む」




レベルアップしたおかげで、300㍍以上離れても弓で攻撃できる。




隠れながら、連続で射る準備をして、ガーゴイルを射る。




9発射って7頭撃破、ガーゴイルがこちらに気付き向かって来る。




俺は向かって来るガーゴイルに矢を射ると、ガーゴイルは墜落し、面白い様に粉々になる。




音のうるさい銃より、矢じりにモンスターの素材を使った物の方が射程は短いが有効的だ。




マリアと連係で5分と掛からずガーゴイルを殲滅した。




粉々に成ったガーゴイルを麻袋に回収して、コンテナ船に向かう。




ガントリークレーンの下には、船員なのかは解らないが人骨が散乱していた、手を合わせてから船内へ。




マリアは大き過ぎて船内には入れないので、外で見張りをして貰った、シルバは俺の防具に成って一緒に入る。




船内には狼が根城にしていて、狼を殺しながら船内を捜索したが、船内には生存者は居ない様だ。




俺は船に積まれたコンテナをバランスを見ながら、アイテムボックスに回収していった。




埠頭のコンテナも回収していると、マリアが大きなヘビと戦い出した、俺も聖剣を構え援護に入るが、マリアはヘビの体を踏みつけ、爪で頭を切り裂いた。




マリアが言うには、ブラックサーペントは鱗はは固いが肉は美味しいらしい、皆のお土産に成るからと喜んでいた。




俺はまたコンテナを回収していると、アイテムボックスに入らないコンテナが有った。




コンテナの鍵は壊され、モンスターが中に居ないか、コンテナに耳を当てても音はしない、聖剣を構えながらコンテナを開けると、中からは凄い異臭がする。




「誰か居るか?」




中から女性の声が


「居ます、助かった」




俺は手前に積んで有る段ボールを退かし、中に入ると中には、子供が7人と3人の女性がいた。




話を聞くと、子供達は保育園の生徒で女性達は保育士さんらしい、船で逃げていたところガーゴイルに襲われて避難して来たらしい、最初は男の人も居て13人で逃げて来たが、食糧を探すうちに何人も殺され、彼女達は喰われるくらいならと、水と食糧が有るコンテナに隠れて居たそうだ。




俺は近くの倉庫に連れて行き、温かい食事と服を渡し、簡易シャワーを設置した。




辺りを警戒していたマリアを呼び戻し、経緯を話した。




俺はコンテナを回収しながら、どうやって村まで連れて行くか考えた。


WAPCは村に置いて来てしまったし、普通の車で都内を走るのは自殺行為だし、今じゃ連絡手段も無い。




天王洲に有った大型クルーザーで多摩川を出来るだけ登って、都内を出てから車で行くしか無いか。




「マリア、俺は船を取って来るから、子供達を守ってくれ」




「解ったわ」




俺は保育士さん3人を倉庫の外に連れ出し、3人にマリアを紹介した。




3人は真っ青な顔に成ったが、喋るマリアと俺の話を聞くと落ち着いてくれた。




これからの事も話し、倉庫に結界とマリアが守ってくれるから大丈夫だと伝え、俺は船と資材を集めに向かった。




製粉倉庫で小麦粉等を回収し、シルバと船を取りに天王洲に向かう。




しかし天王洲にはリザードマンが住み着いていた、俺は成るべく戦闘しない様に桟橋に向かう。




しかし、リザードマンは気配察知能力が高いのか、囲まれてしまった。




俺は聖剣を抜き構えた。




すると槍を持ったリザードマンが、構えもとらず普通に近づいて来た。




「おい人間、お前を包囲した、大人しく出て行けば殺さない」




リザードマンがかすれた声で話し掛けて来た。




「待て、人間の言葉が解るのか?」




「解る、早く出て行け」




「頼みが有る、そこの船を貰いたい」




「船が欲しければ何かくれ」




「食糧と交換でどうだ?」




「何をくれる?」




「オーク5頭でどうだ?」




「良いだろう、こっちに来い、攻撃するなよ」




俺は5頭のリザードマンに連れられて桟橋に有るレストランに連れて来られた。




レストランの中には子供のリザードマンも居てレストランの中は荒らされていなかった、ここで生活している様だが、すごく人間的だ。




(もしかしたら、モンスターの中にも友好的な種族も居るかも知れない)




話しを聞くと、ダンジョンから出た時は破壊衝動にかられたが、少し経つと正気に戻り、ここで生活しているらしい、ここは魚も取れるし、強いモンスターも居ないから住みやすいと。




リザードマン達はあまり好戦的では無いらしい、俺はオークを渡し、リザードマン達が俺の剣も欲しがったが、代わりに前に俺が作った不格好な鉄の槍を5本渡した。




リザードマンの子供達は可愛くは無いが、人懐こく顔がちょっと怖いが愛敬が有る、缶入りの飴をあげたら喜んで食べた。




俺は無事に船を手にいれたが、見送るリザードマンが居るのに、操縦に手間取り中々出航出来なかった。




(子供のリザードマンが手を振ってくれているのに、恥ずかしい)




何とかエンジンがかかり、無事に出航出来た、しかし初めて操縦する船が33㍍の大型クルーザーとは。




でも小さい船だとマリアが乗れないし、これでも船首にやっと乗れるくらいだな。




倉庫に戻り、子供達を船に乗せ、間もなく日が沈みそうなので、羽田空港のD滑走路橋桁の側に停泊させて、結界を張り今日はここに泊まる事にした。




マリアにはちょっと狭いが我慢して船首に居て貰うと、子供達はマリアのお腹に抱きついた。


子供達はマリアにすっかりなつき、流石お母さんといったところか。




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