……挽歌。

第三十五話 前夜祭の詩。


【三人称? または誰かの心の声?】



 ――誰に語る?


 夢でなくとも夢の共演。

 酒の中、詩に載せつつ。



 春と思えば夏が来て、秋すぎたら長い冬となる。


 四季折々、その節々に魔が出現。

 暗闇の中、嵐巻き起こる。

 季節は繰り返す。暗闇から明るい処へ飛び移る。

 クルクル想い出は繰り返しながらも、遠くから君を見てきた。



 君の名が、

 如何様に変わったとしても君は君。



 春、舞い散る桜の白い花びらが似合う君。

 夏、強くうねる海の潮の香りが似合う君。

 秋、淋しげに落ちゆく枯れ葉が似合う君。

 冬、小雪の降る街を駆ける姿が似合う君。



 ――どの季節にも、

 君は輝いて見えた。


 そんな君も女の子だ。女性だ。

 あの嵐の中を、幾度も渡っていた。



 ……ああ、只々、


 女の業は深い。女の業は深い。

 喋れ。喋れ。

 女の業は深い。女の業は深い。

 喋れ。喋れ。

 女の業は深い。女の業は深い。

 喋れ。喋れ。

 女の業は深い。女の業は深い。

 喋れ。喋れ。



 と一つ空席、その向こうの席の男が詠っていた。


 ――此処は酒の席。



 何処かで誰かが叫んでいる。

 何処かで誰かが呼んでいる。

 何処かで誰かが捜している。

 何処かで誰かが告げている。



 闇を走れば……。

 闇を走れば……。


 明るい光は、何処へ差し込むのか?



 愛!

 遠き灯台のように、愛だけが残る?


 業! それは幸福への障害。

 女! その業が深いという。

 男! それを守る野生動物。



 女の業は深い。女の業は深い。

 喋れ。喋れ。――と詠うが、


 之を聴いたのは平成の初期。

 想い出クルクル回りつつも、今は二〇一五、もう一昔前の話だ。



 ――男女平等を叫ぶ。

 只々、あくまで胸中のみで……。



 しかしながら、彼女は、


 自分のすべてをさらけ出し、人前で何でも言えるような奴になりたい。

 と、そう願う。

 ……その願いは、かつて彼が願っていたことに通ずる。



 だからこそ、


 思ったことを人前で自然に言えるような奴になりたい。

 嘘をつかずに正直に何でも言えるような奴になりたい。

 と、そう結ぶ。


 その人は想い人、彼女は筆を執る。筆は剣よりも強し。

 ……我は初心に帰り、また憧れる。



 心して!


『今再び、想い出とは違う形で、君がハッピーなエンディングを迎えるために、僕がしてあげられることは何だろう?』――と、それは誰が誰に向けた言葉?



 その謎と、

 そのあくまで前向きな思考を踏まえ、それをテーマとした第二部。


 今宵を明かし、その向こう。

 その夜明けこそが、その幕開けだ!



 ――それはサプライズから、


 みつぐという戦友だけではなくて想い人のリンダも一緒に、臨時の飲み会へと遥々臨む。


 そこでときのアクションとは……(続く)



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