桶屋の市松 魔殺行~エド・オブ・ザ・デッド~

作者 筑前筑後

A・ロメロ×笹沢左保なんて誰が思いつくだろう?

  • ★★★ Excellent!!!


 A・ロメロ監督×笹沢左保なんて、いったい誰が思いつくのだろう? もし思い付いたとしても、きちんと描ける人はこの作者ぐらいだ。

 いまや、ひとつのジャンルとして確立されてしまった感のある「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。その設定を江戸時代に持って行き、大胆にも作者独自の架空の「江戸時代」でそれを再構築。あまつさえ、主人公は「木枯らし紋次郎」を彷彿させるニヒルな渡世人、いや〔狩り師〕こと「桶屋の市松」。
 市松といわれると、どうしても仕掛人(仕事人の誤記ではない)のイメージが入り、これが紋次郎といい感じにブレンドされて、通常ならギャグに落ちそうな土俵際で、ダンディズム溢れる終末世界に切り返してくる。テンプレに堕してしまったら、そこにあるのはギャグという評価しかない。
 また作中のバトルも、「ゾンビ」だけかと思いきや、過去の武将が甦ってくるという「魔界転生」な演出。まさに、一周いや、三周くらいしての「転生もの」だ。

 作中は、そんなぎりぎりの線で構築させた終末世界の一場面を切り取ったもの。

 前も後もないのだ。

 この、「時流に逆らい、だが流されず」のスタイルを、作者はここでも貫いている。
 鮮烈な、だがモノクロ写真のようなこの一場面をどうぞご堪能ください。

 ぼくはついつい二度読んでしまった。


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