明日喪き我らの征く先は Bride of Rip van Winkle 

作者 企鵝モチヲ

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★★★ Excellent!!!

本作は虚構に近い物語です。

「虚構」と書いて「じじつ」と読みます。

ブッチ・キャシディという人物の名前を聞き、ピンとくる日本人はあまり多くないでしょう。事実、本作を読むまでは私も知りませんでした。

ブッチ・キャシディ自身は実在の人物です。西部開拓時代(十九世紀から二十世紀へと移り変わるアメリカ)においてその名を轟かせたアウトロー(強盗犯)であり、今なお様々なエンターテインメントに取り上げられている人物でもあります。

この小説の特徴的なところは、実在の人物と虚構の人物が複雑に織り交ざっている点です。

中学生の少女・浅倉アトリが迷い込んだのは、西部劇の世界によく似た異世界でした。そして、そこで出会ったのは、ブッチ・キャシディと同じ名前と経歴を持つ男――というより、異世界におけるブッチ・キャシディだったのです。

しかし、現実のブッチ・キャシディとの違いも当然ありました。

現実のブッチ・キャシディが1908年にボリビアの地で死んだのとは違い、この世界でのブッチ・キャシディはそれ以降も生きていたのです。しかも、相棒であるはずのザ・サンダンス・キッドという人物の存在が消え、挙句にブッチ自身の身体に異様な変化が起きていたというおまけつきで――。

現実とリンクしつつも微妙に違う世界。

その銃と荒野の世界で、ブッチとアトリの旅は始まります。

天然っぽく、可愛く、それでいてどこか影のあるアトリと、荒野の世界をアウトローとして荒々しくもたくましく生きるブッチ。この相反する二人のコンビが物語の大きな魅力となっております。二人のあいだの、見えるようでいて見えない関係、ふとすれば途切れてしまいそうな危うさ。その繊細な感情の描写はまさに巧みとしか言うほかありません。

異世界物といえば、主人公と現実世界との関係もまた大きな問題となります。主人公は現実世界へと帰るのか、帰らないのか―… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

異世界転移で西部劇。ありそうでなかったジャンルでは?
主人公のアトリちゃんとべらんめえ口調のブッチさんの掛け合いがおもしろいです。ちなみに西部劇初めての方は最近の映画だと「ジャンゴ 繋がれざる者」か「マグニフィセント・セブン」「3時10分、決断のとき」が入りやすいです。そして西部の掟にハマりましょう!

★★★ Excellent!!!

巧みな誘い。あくまで軽い語り口。
中身は本格西部開拓時代。濃厚な世界観も味わえます。

まずシンプル。
冒頭は潔いほどに簡潔です。お手軽、簡単、リズムよし。

次に軽妙。
打てば返す掛け合いが、一切の煩わしさを取っ払って心へ忍び込んで参ります。心盗っ人。

さらに筆運び。
さり気なく、しかも流れるような筆致は、次へ次へと視線を誘って止みません。巧者。

そして展開。
お手軽に誘い込むだけ誘っておいて――不穏な展開へ一本釣り。

ようこそ、明日喪き〝虚構〟の世界へ。
いざ進まん、何処へともなく〝征く先〟へ。
かくして〝物語り〟の幕が開く。
流れる筆致にいざなわれ。
事実と〝虚構〟に追われる先。

『明日喪き我らの征く先は Bride of Rip van Winkle 』

〝征く先〟に待ち受けるのは、果たして〝虚構〟か、あるいは虚無か。

★★★ Excellent!!!

この作品は単なる異世界転生では無い。量産されたものに飽きた方は読まれるがよろしい。
作者様が書き上げる西部開拓時代空気とアウトロー達が、主人公のアトリちゃんと貴方を怒涛の如く押し流してくれる。


魅力はそこだけではなく、おっさんが可愛いところにある。

アトリちゃんから現代日本の言葉を教えて貰って、たどたどしく「おでん」と口にする。
控えめに言って可愛い。

★★★ Excellent!!!

他の方のレビューが秀逸なので、あえて別の方向から魅力を語ります。
まさにおっさん萌えに目覚めさせてくれる作品です。
軽妙な語り口、数多の死線をくぐり抜けてきたからこそ生まれる余裕、クールなようで時に熱く泥臭い…どこをとっても素敵。物語全体に漂う世界観も、その魅力を引き出すスパイスになっているような気さえしてきます。

…と、おっさんの魅力を語ると止まりませんが、本作は男性の方でも楽しめるハードボイルドな空気感もあります、と追加しておきます。

前身となった作品から追っかけてますが、ますますパワーアップしている本作。是非みなさん、一読してみてください…!

★★★ Excellent!!!

 はっきり言って面白い。
 引き込まれます。自制しないと次に次にと読み進めてしまいます。
 表現力も確かで読み易い。とても手馴れていて嫉妬心が湧きます。

 最初読み始めた時には、フィリプ・フォセ・ファーマーの「リバーワールド」を思い出しました。あれとは設定も舞台も全然違うのですが、昔のアメリカの匂いを感じました。
 読み始めのワクワク感が、読み進めるほどに強くなるとても素晴らしい作品です。

 キャラのことは他の方がもっと上手く書いておられるので、少しだけ。主人公のアトリ、いいですね。喋りが邪魔にならない。現実にいたら渋い顔をしながらも言うことを聞くことになっちゃうでしょうね。

 まだ途中までですが、引き続き読み進めさせていただきます。

—— 2018/12/23 追記
 残り、一気に読んじゃいました。

 この先の展開、撒かれている伏線がどう回収されていくか。
 アトリは帰れるのか、この世界に落ち着いていくのか楽しみです。

★★★ Excellent!!!

異世界物でも滅多に見ることがない西部開拓をベースとした異世界
主人公のアトリはよく喋る女の子で、彼女の喋りは読んでいて飽きることはありませんでした。

地の文と会話のバランスも取れていて、読みやすいなと思います。独特の世界観に引き込まれている感覚がして、とても良かったです。

異世界物でも異色のファンタジー。これからも是非頑張ってください!!

★★★ Excellent!!!

とにかく表現力が凄い!
そしてリアルであり非リアルな世界観、現実的で非現実的な世界観!

…二回言ってしまうくらい、引き込まれてく感覚は同じ書く側としても読み手としても感服するばかりですね。

量産型?
いえ、コレは…特注品の物語です。

最後まで目が離せなくなりますよ!