第249話 男性にしかできない趣味らしい。
混浴の露天風呂に
どの先輩もセレブな奥様になることが決まっている為、話の内容は、ほとんど
お相手の男性は30代後半で、下高先輩でも勝てないほど麻雀が強いらしい。
とくに
超高齢化社会では火葬場が大繁盛で、会社も急成長しているらしい。
嫁ぎ先に葬儀屋を選んだ理由は、社長さんが「しかばね」という名前を欲しがっていたからだそうで、鹿跳先輩は、結婚しても姓が変わることはなく、逆に嫁ぎ先の方が「しかばね葬儀」に社名変更する予定なのだそうだ。
新興宗教と聞くと、
本人は「ただ、お寺に嫁いだだけ」とおっしゃっていた。
僕は相撲に全く興味が無いので、小結の
将来は相撲部屋の
他の先輩方の結婚相手も、医師、教師、会社の経営者など、前途有望というか、既に成功していらっしゃる「勝ち組」の方々ばかりである。
「皆さん、素敵な旦那様のところに永久就職なさっているようですけど、そんなお金持ちの方々と、どうやって知り合ったのですか?」
僕が先輩方に聞きたかったのは「誰と結婚したか」ではなく、「その相手とどうやって知り合ったか」だ。
「それは、やっぱり、
「そうそう。子守先生って、いったい何者なんだろうね?」
「
先輩方は、口を
「子守先生って、そんなに
「進路調査票に、自分の希望を書いて提出するだけで、『超優良物件』を紹介してくれるんだよ。顔が広すぎでしょ?」
「そうだよね。結局、私達も全員無事に進路が決まった訳だし」
「就職浪人する人は、誰もいないですからね」
超優良物件を紹介してもらえるのは「相手から見て先輩方が超優良物件だから」のような気がする。それで、子守先生のところに超優良物件が集まるのだろう。
「だから、ダビデ君も進路調査票には、希望を具体的に書いたほうがいいよ」
「具体的に……ですか」
僕が結婚相手に求める「具体的な希望」って、何だろう。
相手の職業? 趣味? 収入? 資産? どれも違う気がする。
「アリミさん、甘井さん、そろそろ上がりましょうか?」
「そうですね~。ダビデさんの顔が真っ赤で、ちょっと心配です」
「はい。僕は、このままだと、のぼせてしまいそうです」
下高先輩の合図で、3人一緒に露天風呂からあがる。
ほとんどの先輩方は、いつの間にか、先にあがってしまったようだ。
「体は、しっかりと
僕は下高先輩の隣で、持っているタオルを固く絞り、体をしっかりと拭いてから脱衣所に戻った。
「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ‼」
脱衣所に戻ると、脱衣カゴの棚の近くから、歓声が聞こえてきた。
人だかりの中心に立っているのは、長身の口車先輩だ。
「ハカリ、ちょーイケメン!」
「ハカリも、男子だったら良かったのにぃ!」
「もし、私が男子だったら、君達は全員、私のものだな!」
「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ‼」
なるほど、口車先輩は男子の制服も似合うのか――って、それ僕の制服です!
僕が脱いだ制服を入れたはずのカゴには、パンツしか残っていなかった。
仕方がないので、とりあえず、パンツだけは
「甘井クン、制服を無断で借りてしまって悪かったな。その代わりと言ってはなんだが、甘井クンには、私の制服を貸すから、それで許してくれ」
「え?」
「なんだ? 私のセーラー服では不満か?」
「いえ、口車先輩はイケメン女子ですから、その学ランも良く似合っていらっしゃいますけど、僕がセーラー服を着るというのは、無理がありますよね?」
「それは、どうかな? 実際に着てみないと分からないだろ?」
「私が着せてあげます。ダビデさんは、きっと似合うと思いますよ~」
「それでは、これも『罰ゲームの一環』という事に致しましょう」
鹿跳先輩は、口車先輩のスポブラを僕に着せようとしている。
下高先輩も、その案に賛成らしい。
「ホントに僕が着るんですか? でも、さすがに下着は無理だと思いますよ」
「スポブラなら大丈夫ですよ。サイズも大き目ですし」
「――ほら、入りましたよ」
「あっ、意外と伸びるんですね」
僕のほうが口車先輩よりも肩幅がある分、スポブラのゴムはきつめだが、口車先輩のトップバストと僕の
「セーラー服も、ハカリのなら着られますよね?」
「そうですね。首と肩さえ入れば、何とか」
ウエストも口車先輩の方が僕より細いはずだが、うちの学園のセーラー服は、妊婦さんでも着られるような構造になっている。
したがって、首と肩さえ入れば、僕でも着ることは可能である。
「ほら、セーラー服も無事に着れましたよ」
「スカートは、もっと簡単ですからね~」
スカートも、妊婦さんでも穿ける仕様なので、フックの位置を1つ、ずらせば、僕のウエストでも余裕だった。
「せっかくですから、靴下もどうぞ」
セーラー服を着たら、当然靴下も必要だ。
僕は素直に靴下まで穿かせてもらう事にした。
「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ‼ ダビデ君、かわいい!」
「ほら、みんな喜んでいるじゃないか。女装も悪くないだろ?」
「そうですか? オトコで、この格好は、どうかと思いますけど」
たしかに、セーラー服は、地味でもかわいいかもしれないが、それを着ているのが僕だと、残念でしかないと思うのだが……。
「甘井クン、女装というのは『男性にしかできない、最も男らしい趣味』だ。男らしい男はモテる。即ち、女装をすればモテるという事だ」
――女装をすればモテる?
口車先輩が言うと、もっともらしく聞こえるが、全く根拠がない気がする。
「甘井さん、3段論法は、前提条件が正しくないと成立しませんから、ハカリさんに騙されてはいけませんよ」
「やっぱり、そうですよね。ちょっと安心しました」
「あっはっはっ! 私の口車も、オトナには通用しないか」
女装が「男らしい趣味」なのかどうかは別として「男性にしかできない趣味」というのは、正しいのかもしれない。
口車先輩が毎日着ていたセーラー服。そう思うだけで、なんだかドキドキする。
着るだけで、こんな気分になれるのは、やはり、僕がオトコだからなのだろう。
「甘井クン、この学ラン、明日も卒業式の後に少しだけ貸してもえないか?」
「明日ですか? 上着だけでよろしければ、かまいませんけど」
「おー、それは助かる」
「口車先輩は、明日、それを着て何かされるのですか?」
「ああ、後輩達へのファンサービスだ。最後だからな」
さすが口車先輩。卒業式でもそうやって、後輩達の心を
6年生の先輩方の最後の制服姿、僕もしっかりと見届けなくては。
以下、筆者からのお知らせです。
「ろりねこ」を、ここまで読み進めて下さって、ありがとうございます。
近況ノートに書いた通り、1月28日付で、運営様より修正依頼のメールを頂きました。「過剰な性描写」を修正するようにと言われても、どこからが「過剰」なのか筆者には判断できませんから、「修正依頼が来た場合は即刻修正致します」と自分で表記した話に関しましては、本日中に全て公開を中止させて頂きます。
R15と言っても、実際は小学生でも読めてしまいますので、これは仕方がない事だと思っております。未読のフォロワー様には申し訳ありません。
筆者の頭の中には、既に最終回の構想まで出来ており、あと10話程度で完結の予定だったのですが、「エロ抜き」で表現できるかどうかは微妙なところです。
今回は、お風呂回でも「エロ抜き」のつもりでした。いかがでしたでしょうか。
次回は「卒業式」の予定です。
では、カクヨムコンで最後まで応援して下さって、ありがとうございました。
また、今後も宜しくお願い致します。 2021.1.30 更場 蛍
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