第215話 こっそりと吸わせていたらしい。

 ミャーちゃんと手を繋いで廊下を進み、突き当りを左に曲がって、さらに進む。

 110号室が寮の保健室で、東階段を挟んで次の111号室が、寮の育児室だ。


 この部屋は、多くの人が出入りする為、普段はドアが開けられたまま固定されているのだが、今は閉まっているようだ。


 ドアが閉まっている理由は、ミャーちゃんの双子の兄であるマー君が、お昼寝中であるか、もしくは全員出払っていて誰もいないかのどちらかであると思われる。


 どちらの理由であっても、ミャーちゃんが1人で廊下を出歩いているのに、世話をしていた生徒が誰も探しに来ないというのは問題だ。


 ミャーちゃんが僕の部屋を知っていたから、トイレで用を足す事が出来たが、そうでなかったら、廊下でお漏らしをするという結果になっていたかもしれない。


 僕は育児室のドアを静かに開けて、ミャーちゃんと一緒に中に入る。

 入り口にスリッパがあるので、全員出払っているという訳ではなさそうだ。


 マー君が、お昼寝中という事なら、静かにしてあげないといけない――そう思いながらスリッパを脱ぐと、部屋の奥からあやしげな声が聞こえてきた。




 ここからは「エロ注意」の話です。


 エロい話が苦手な方と15歳未満の方は、第216話にお進み下さい。

 スマホでご覧の方は、念のため壁を背にしてからご覧ください。


 なお、登場人物には全く罪はありません。汚れているのは筆者のみです。


 運営様の指導を受け、しばらく非公開にしておりましたが、この話に関しては特に問題はなさそうですので、そのまま再公開させていただきます。もし、表現に問題がある場合は修正致しますので「第215話に問題あり」と再度ご連絡下さい。


 ――では、準備が出来た方はどうぞ。




「……ああっ! んっ! あっ! マサルさん……、そう、もっと吸って……」


 ――⁉ 

 僕の耳には「もっと吸って」と聞こえたような気がする。


 横島よこしまさんは、マー君に何を吸わせているのだろうか。

 まさかとは思うが、僕の予想通りなら面白そうだ。


 僕は横島さんと何度か一緒に遊んだ事があるし、4年生の教室では、僕の前の席に横島さんが座っていて、下らない話を自然に出来るくらいの仲である。この状況で僕が声を掛けたとしても、怒ったりするような人ではない。


「横島さん、そんな格好で、何をしているのですか?」

「ひーっ! 甘井さん? い、い、いつからそこに?」

「僕は、今、来たばかりですけど」

「お許しください! これは、ほんの出来心です! 悪気はないんです!」


 横島さんは、床に座った状態で服をまくり、マー君に自分の乳首を吸わせていたようだ。慌ててマー君を乳首から離したが、そのお陰で、おっぱいが良く見える。


「おっぱい!」


 ミャーちゃんは大喜びで、横島さんのおっぱいを指差す。天ノ川さんのおっぱいには及ばずとも、新妻にいづま先生のおっぱいよりは大きいのかもしれない。


 僕は「そうだね」と言いながら、ミャーちゃんの頭をでる。


「みやびー!」


 マー君は、部屋に入って来た双子の妹を、歓迎している。

 こんな和やかな状況で、誰が横島さんを責められるだろうか。


「こちらこそ、突然お邪魔しちゃって、すみません。授乳の予行演習ですか? 横島さんは、勉強熱心ですね」


「……予行演習? そうです! 授乳の予行演習です! それなら、許してもらえますか?」


 母乳しか飲めない赤ちゃんにおっぱいを飲ませていたのであれば、母乳が出ないと問題かもしれないが、マー君は既に母乳を卒業し、幼児食に移行している。


 これは幼児虐待などではなく、男の子にとっては、ご褒美だと思う。

 オトコは何歳になっても、ずっと、おっぱいが大好きな生き物だ。

 マー君も、きっと喜んで横島さんの乳首を吸っていたに違いない。


「横島さんには大義名分があるのですから、問題ないんじゃないですか?」


 これが犯罪行為になるなら、ミャーちゃんのお尻をいてあげた僕も犯罪者だ。


「甘井さんは、見なかった事にしてくれるのですか?」

「そんな勿体もったいない事は出来ませんけど、誰にも言いませんから、ご安心下さい」


 僕の脳内レコーダーにオートセーブされてしまった動画は、消去不可能だ。

 見なかった事にしてしまうなんて、とんでもない。


「甘井さんも吸ってみますか? 安いかもしれませんが、口止め料です」

「いえいえ、綺麗きれいなおっぱいをタダで見せてもらえただけで十分ですから」


 マー君に乳首を吸わせているところを、僕が目撃してしまったように、僕が横島さんに乳首を吸わせてもらっても、それを誰かに見られてしまう危険性がある。


 名残惜しいが、ここは遠慮しておくのが正解だろう。


 僕にはネネコさんというかわいいカノジョがいるし、「おっぱいの使用許可証」をプレゼントしてくれた、カンナさんというかわいい後輩までいるのだから。


「おっぱい! みゃーびも!」


「横島さん、ミャーちゃんも、おっぱい欲しいみたいですよ」

「えっ? ミャーちゃんも吸ってみたいの? おっぱい出ないけど、いいの?」


「みゃーびも!」


 ミャーちゃんは、マー君がしていた事を自分もしてみたいようだ。


「じゃあ、甘井さんの代わりに、口止め料です。ミャーちゃん、どうぞ」


 横島さんは手招きし、ミャーちゃんを優しく迎え入れる。

 ミャーちゃんは、嬉しそうに横島さんの乳首にしゃぶりつく。


「……ああっ! それは、ちょっと激しすぎます……」


 若いお母さんと、その娘――というよりは、もっと百合ゆりに近い気がする。

 授乳の予行演習というものは、意外と大変そうだ。


 ――バタン!


 横島さんの授乳を温かく見守っていると、突然、育児室のドアが開き、花戸はなどさんが妹のリボンさんと一緒に駆け込んできた。


「クロエちゃん、大変! ミャーちゃんがいなくなっちゃった!」

「ひーっ! ユメちゃん? ミャーちゃんなら、ここにいるから!」


 横島さんは慌てながらも、花戸さんにミャーちゃんの無事を伝える。


 もし、横島さんの乳首を吸っているのが僕だったら、これで心臓が止まっていたかもしれない。危ないところだった。


「よかったー! ミャーちゃん、ここにいたんだ。外まで探しちゃったよ」


 花戸さんの頭や肩には、少し雪が積もっている。

 寮の外まで探していたというのは本当らしい。


「ゆめー!」


 マー君は花戸さんを歓迎し、太ももに抱き着いている。

 花戸さんは、少し困惑気味だ。


「花戸さん、ミャーちゃんが、1人で101号室まで遊びに来てくれましたので、僕が保護して連れて来ました。今日のう●ちは、もう済ませてあります」


「ダビデ君、ありがとう。ごめんね、迷惑かけちゃって」

「いえ、迷惑だなんて、全く思っていませんよ。ちょっと心配しましたけど」


 双子の育児は4年生全員の課題だ。花戸さんと横島さんに丸投げというのも良くないと思うし、僕も将来に備えて、ある程度は育児に慣れておかないと。


「ほらね、やっぱり育児室だったじゃん!」

「もう! リボンが目を離したからでしょ!」

「そんなに心配だったら、お菓子なんか買いに行かなきゃいいのに」

「心配だったから、リボンに預けたんでしょ! どうして見失っちゃうの?」

「しょうがないじゃん、トイレに行きたくなったんだもん!」

「リボンのう●ちより、ミャーちゃんの命のほうが大事でしょ!」


「うちのお姉ちゃん、ひどいでしょ? ネコのカレシから、何か言ってあげてよ」

「あははは、花戸さんとリボンさんは、いつも仲がいいですね」


 なるほど。花戸さんが1人で校舎の売店に行っている間に、ミャーちゃんの世話を任されていたリボンさんがトイレに入ってしまい、それを見ていたミャーちゃんまでトイレに行きたくなって、僕の部屋まで助けを求めに来たという事か。


 花戸さんは、ミャーちゃんが自分を探しに外に出たのではないかと思って、外を探したのだろう。リボンさんは大まかな性格で、普段からこんな感じだ。


「……ああっ! あっ! ミャーちゃん……そろそろお許しを!」


 僕が花戸さん達と話している間も、ミャーちゃんの攻めは、まだ続いていた。


「おっぱい、でなーい!」


 言葉では理解できなかったミャーちゃんでも、実際に吸ってみることによって、横島さんのおっぱいからは母乳が出ない事を確認できたようである。


「ゆめー! おっぱい!」


 一方、マー君のほうは、花戸さんにおっぱいをねだっている。


「ダメ! もう、おっぱいは卒業したんでしょ? このお菓子で我慢しなさい!」


 花戸さんは毅然きぜんとした態度だ。

 こんな時の花戸さんは、双子の母親っぽく見える。


「お姉ちゃんも、クロエ先輩みたいに、おっぱい吸わせてあげればいいのに」

「もう! 何言ってるの? おっぱいなんて、出るわけないでしょ!」


「べつに出なくてもいいんじゃないの? ――ネコのカレシは、どう思う?」

「あははは、リボンさんは男性の心理を良く分かってますね」


 おっぱいを断念したマー君は、ミャーちゃんと一緒に、花戸さんから幼児向けのお菓子をもらって、美味おいしそうに食べている。


「ダビデ君も一緒に食べる?」

「いえ、僕は結構です」


 もしかしたら、高校生にもなって、おっぱいから卒業できていない僕のほうが、実はマー君よりも、ずっと子供なのかもしれない。

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