第83話 メガネは衣服に含まれるらしい。
続く東2局、
僕は、ここもスピード優先。役牌が無いので、クイタン狙いだ。
「チー」
2巡目に【2
「ダビデさん、発声はできればもう少し低い声で、お願いします」
「えっ? そうなんですか。分かりました」
升田先輩から声を低くするように言われた。注意されたというよりは、リクエストされたような感じだったが、理由が分からない。
「チー」(←さきほどより低い声)
次巡、升田先輩から【7萬】を低めの声でチーして、あっさりテンパイ。待ちは【5索】と【8索】のリャンメン。まだ3巡目だ。これは、あがれるだろう。
「ダビデさん、今の声、サイコーです」
なぜか、升田先輩の機嫌がいい。
何がサイコーなのか、僕には全く分からないので、気にしないでおこう。
「ツモ」
5巡目で【5索】をツモ。点数は低いが、勝ちを狙うのなら、この作戦がベストだ。点数は1100点らしい。オヤの升田先輩から100点棒を5本。他の2人からは3本もらった。いわゆるゴミ手だ。
「ぐぬぬ……、やりますね先輩」
僕が先ほど脱いだばかりの半
不公平な気がしないでもないが、3人の女の子が一斉にスカーフを外す姿というのもなかなか見られない光景で、文句を言う気などは全く起こらなかった。
東3局は僕がオヤだったが――
「リーチ」
5巡目に下高先輩がリーチ。
「ツモ。2000点、4000点ですわね」
鮮やかな一発ツモ。アタマがドラなのでマンガンだ。
下高先輩は点棒を受け取ると、カッコよく首にスカーフを巻いた。
僕は再びワイシャツを脱ぎ、搦手さんはセーラー服を脱ぎ始める。
「あんまり、ジロジロ見ないでくださいよっ!」
そうは言われても、セーラー服を脱いでいる間は完全に無防備なので、レモン色のかわいいブラと
そして、升田先輩は……というと、なんと「メガネを外しただけ」だった。
メガネを外したら実は美少女……なんていう話はよく聞くが、升田先輩の場合はほぼ変わらない。なぜなら、もともと「メガネの似合う美人さん」だからだ。
靴下は無効でメガネは有効。ルールを決めたのが升田先輩であることは、これで間違いないだろう。昭和の時代より伝承されたルールではなかったのか。
スカーフ以上に不公平な気もするが、下高先輩や搦手さんが何も文句を言わないので、僕も素直に従う事にしよう。
東4局、搦手さんのオヤ番だ。
なかなか手が進まないうちに終盤を迎え――
「ロン!」
流局間際に升田先輩が搦手さんから【3萬】をロン。
振り込んでしまった搦手さんは泣きそうな顔をしていたが、下高先輩が手牌を確認し、「それは、チョンボですわよ」と言うと、升田先輩は「しまったー」と頭を抱えながらチョンボを認めた。どうやら【2萬】と見間違えたようだ。
スマホのゲームでは自動判定なので、こういった事件は起きないが、チョンボはマンガンツモと同じ点数だけみんなに支払うらしい。
これで、僕は初期状態まで回復。搦手さんはセーラー服を着て、スカーフなし。
升田先輩がセーラー服を脱いで、ベージュの地味なブラを
升田先輩の胸の大きさに関しては、搦手さんよりはやや大きく見える。
学年は2つ上なので、こちらも年相応なサイズだろう。
再び東4局、下高先輩がリーチを掛けるが、そのまま流局。下高先輩の1人テンパイだったので、ノーテンの3人から千点棒を1本ずつ受け取る。
升田先輩はスカートを脱いで、ベージュの地味なパンツも晒す。搦手さんは再びセーラー服を脱ぎレモン色のブラ。僕もワイシャツを脱いでTシャツ姿だ。
南1局、流れ1本場。僕は2回チーしてテンパイしたが――
「チー先輩だけずるい! ダビデ先輩、私の名前も低い声で呼んでっ!」
「えっ?」
僕は搦手さんに言われて、やっと気が付いた。
そうか、升田先輩の名前は、
――それで「低い声で」なのか。
気付かぬうちに、何度も升田先輩を名前で呼び捨てにしてしまっていたようだ。
冷静に考えたら急に恥ずかしくなってきた。もうチーはやめておこう。
しかし、気付いた時にはもう遅かった。
「ツモ!
升田先輩が大喜びでツモあがり、上下ともに下着姿のままメガネをかける。下高先輩はスカーフを外し、搦手さんは半泣き状態で自分のブラの中に手を入れる。
「誰にも言わないで下さいよっ!」
搦手さんはそう言いながら、手のひらくらいの大きさの丸いスポンジのようなものをブラから取り出した。
「何ですか、それは?」
「何って、見ればわかるでしょ? 先輩のバカッ!」
「ただの胸パッド。――上げ底ですよ、ダビデさん」
上げ底か……つまりシークレットシューズみたいなものだろう。
背の低い男性が身長を盛るように、おっぱいの無い女性は胸を盛るわけか。
背が低い僕には、搦手さんの気持ちが痛いほどよく分かった。
「ダビデさん、カンナが貧乳なのは公然の秘密ですから、どうか見なかったことにしてあげてください」
下高先輩がこちらに頭を下げる。
公然の秘密か……たしかに、この寮で一緒に住んでいる限り、みんなの胸のサイズなんてお互いにバレバレなのだろう。
「まだ成長するもん!」
「カンナ、胸のサイズは15歳までに決まります。麻雀同様
本人の主張を、お姉さまがあっさり否定する。
15歳まで……となると、1、2年生の子なら、まだ成長の余地があるのか。
「……あと……1週間あるもん……」
そして、3年生である搦手さんの15歳の誕生日は来週らしい。
「安心なさい。麻雀に必要なのは揺れる胸ではなく、揺れない心ですわよ」
「心は揺れないほうがよくても……胸は揺れたほうがいいもん……」
脱衣麻雀の衣服にパッドが含まれるというのは、メガネ以上に不公平な気もするが、搦手さんがあまりにも
南2局、升田先輩のオヤだ。調子づいた升田先輩は強かった。
「ロン! 2000点」
あっさりタンヤオのみであがった升田先輩は、下はパンツのまま、スカートは
振り込んだ僕は制服のズボンを脱いでパンツのみ。
続く1本場も、
「ツモ! 4100オール」
なんと、親マンをツモである。
升田先輩はスカーフを首に巻いて完全復活をアピール。下はなぜかパンツのままだ。スカートを穿き忘れているのだろうか。それとも単に暑いからなのだろうか。
下高先輩はセーラー服を脱いで黒いオトナのブラを晒す。胸のサイズは、パッド入りの搦手さんと同じくらい。6年生にしては控えめな感じだ。
搦手さんはレモン色のブラから、もう片方のパッドを取り出す。パッド前提の大きめサイズなので、ブラが胸から少し浮いている。隙間から見えてはいけない部分が見えてしまいそうだ。
最後に僕もボクサーパンツを脱ぐ。
女の子ばかりの部屋に、全裸(ただし靴下を除く)のオトコがいるのは異常事態だが、雀卓があるお陰で下からのぞき込まれない限りは見えない。
もちろん、のぞき込むような「はしたない」お嬢様は誰もいなかった。
続く2本場。
まだオヤが残っているので僕は全裸でも降参はしなかったのだが、
「ツモ。1200点・2200点です」
下高先輩があっさりとツモあがり、セーラー服を着る。
升田先輩はスカーフを外す。
「もう! 先輩のせいで最後のオヤが回ってこなかったじゃない!」
おっしゃる事はごもっとも。僕のせいで南4局までいけなかったのは事実だ。
「力及ばず、申し訳ない」
搦手さんは2枚のパッドを使い果たし、ブラを外すかスカートを脱ぐかの2択を迫られている……と思ったのだが、なぜかスカートの中に手を入れてお尻をもぞもぞと動かしている。
「……はい。これでいいでしょ?」
手のひらには、ブラとセットと思われるレモン色のパンツが丸められていた。
なるほど。穿いているパンツを見られるよりは、脱いだパンツを見せる方がましというわけか。スカートを穿いたままなら、パンツを穿こうが穿くまいが見た目は同じだ。だが、スカートの下はノーパンであると思うと、これは非常にヤバい。
僕は脱ぐ服が無いので、南2局2本場で完全敗北。これでゲームセットだ。
「これで私がトップです。では、ルールに従って、願いを
下高先輩が僕の目をじっと見ている。
まるで、心の底まで見透かされているような気がする。
「1つ目の願いは、今すぐにその手をどけて、堂々とみんなに見せてくださる事」
僕は、正座した状態で前かがみになり、股間を両手で押さえていた。
目の前で3人のお嬢様方にセーラー服を脱いだり着たり繰り返され、さらに脱ぎたてのパンツまで見せられて、これで反応するなというのも無理な話だろう。
さすがに、こんな状態をお見せするわけにはいかないし、見られたら僕はお婿に行けなくなってしまう……いや、手芸部の先輩にはもう見られてしまったのだが。
「2つ目の願いは、あなたが管理部に正式に入部してくださる事。さて、どちらの願いを叶えてくださいます?」
「管理部に入部します」
僕は迷わずに即答した。
本日の闘牌結果
下高音奈 +9500
升田知衣 +7100
搦手環奈 +6000
甘井道程 ▲22600
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