第28話 6-7失声の少女ハイデ

「んー、マップ見る限り、あと二つエリアを埋めれば終わりかなぁ」

『順調そうでなによりだな』

「つっても、また昨日みたいに運営がマップ増やす可能性もあるからな。運営はデバッグ範囲が増えただけって言ってたけど、一日期限増やしただけでカバーしきれるとは限らねぇよ」


 スオウに言っても仕方ないが、気が緩んでスオウに悪態をついてしまう。


『まぁまぁ、俺からも抗議したら結局二週間に伸びたんだし、いいじゃねぇか、な?』


 いつになればアウルに戻れるのか。相変わらず焦りはあるものの、ゲームを通じてまだ他人と繋がっているという事に救われているのもまた事実だった。

 世界から断絶されたように感じたあの日以来、目的はクロックのアカウントというのは変わっていない。けれど、プレイ中はどこか安心している自分がいる。一人ではないという安心感。スオウが居てもなお、心細い事に変わりはなかった。


『心配しなくても、いつか終わりが来るんだよ。今日はもう休め、疲れてるだろ』


 スオウの言葉を最後に、潤の記憶はそこで途絶えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る