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柳田先生になんて声をかけよう?
そんなことを真由子は歩きながら頭の中で考えていた。
……すると鼓動が、次第に強く、どきどきとし始めた。
あれ? と真由子は思った。
真由子は戸惑っていた。
もう、柳田先生のことは、自分の中で決着をつけて、過去のことになったはずだと思っていた。でも、実際に柳田先生の姿を見ると、こんなにも動揺してしまう自分がいた。
それは真由子にとって予想外の出来事だった。
真由子はもう小鹿と結婚していた。
それは幸せな結婚だった。
小鹿は真由子のことを本当に愛してくれているし、真由子も小鹿のことを愛していた。小鹿の子供が欲しいと真由子は思っているし、二人の間に子供ができたら、もっと、もっと私たちは幸せになれるだろうと思った。
それに柳田先生も、今は誰かと結婚をしているはずだ。
柳田先生がそう言っていた。
自分の好きな人と柳田先生は結婚をして、今は真由子と同じように幸せな人生を歩んでいるはずだった。
だから余計なことは考える必要はない。
真由子はそう思った。
……柳田先生。お久しぶりです。小島です。小島真由子です。……先生は私のこと、今も覚えていてくれますか?
そう、柳田先生ににっこりと笑って、声をかければいいのだと思った。
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