第71話 差別

 東京に行って師匠と飲んだときの話だ。

(詳しくは『暇人の集い 特別編』の『師匠(原幌平晴)と語ろう』)

 師匠は酒が周り饒舌になっていた。

 私は私で酒を飲み食べ物を無遠慮に食べていた。(ひどい弟子だ)

 師匠が言った。

「差別反対を叫ぶ奴らが一番差別をする」


 師匠も私も幼少期から差別、早い話がいじめを受けていた。

「いじめは悪いこと」などと作文に書いてみんなの前で表彰をもらっていた子が私を虐める。

 しかも、率先してだ。

 おかげで私は成人した今でもPTSD(心理的外傷)を患い、障碍者手帳を持ち(持たされ)約八年間病院通いをしていた。

 そうしないと、私は最悪、自殺を選ぶか殺人者になっていた。

 救いなのは、は社会や行政の理解も少しずつ進み法整備や配慮などがなされるようになってきたことだ。


 これが、二十年以上前。

 学生時代の私は「怠けもの」「甘えている」と叱責され罵倒され体罰を受けた。

 半世紀以上前。

 私は座敷牢にいただろう。

 江戸時代なら、私は殺されていた。


 実際「優生保護法」という法律が数年前まであったのだ。

 

 今、確かに行政も社会も完璧ではないけど、障害を理解しようと努力している。

 一番ネックなのは個々人が持つ、またはメディア(特にテレビ)が持つ『自分は差別者ではない』という思い込みと『イジリ』などと称して人の欠点をあげつらうことを良しとする風潮である。

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