第12話 すまん
牧本の話は、能登がチョコレート事件と命名した頃まで遡る。
中学3年生、2月上旬のことだ。仲の良かった能登と望月の関係に溝が生まれた。そのことを知った牧本は、傷心の望月に対して優しく慰めてから告白をした。
「すまん」
牧本は、それを卑怯な手段だと思ったらしい。だから、能登に謝った。
卑怯な手段だと思うなら、その手段を使わなければいい。しかし、そう簡単に割り切れないのが人間だ。牧本の言いたいことは、何となく能登にも伝わった。
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