27、はじめての奴隷解放(その一)

「…………以上のように、我が国と隣接している神聖皇国領から奴隷達を連れ出します。今回のターゲットは神聖皇国南部東の中核都市ニカウア。敵戦力は推定六万人。ここを攻め落とします。敵の構成は歩兵二万五千、騎兵二万、弓兵一万五千です。騎兵が少しうるさいですが、今回は飛竜隊も出撃しますので苦労しないでしょう……」


 総司令は俺ゼギアス。だけど単なる最終兵器扱い。

 参謀長はアロン。事実上の総司令。


 我が国が誇る空戦部隊から、


 ・第一空戦部隊 隊長 グリフレッド(鷹人族) 飛竜 百頭 、飛竜による火炎ブレス攻撃部隊。隊長のグリフレッドは、建国後入国してきた者のうちから選抜された。エルザやクルーグと同様に遠視能力が高い。


 ・第二空戦部隊 隊長 リアトス デーモン 百名 、魔法による遊撃部隊 戦況を読む力に長けるリアトスの指揮と相まって敵が嫌がる攻撃を得意とする。


 ・第三空戦部隊 隊長 ハメス マルファの後任ジズー部族長 ガーゴイル 百匹 、唐辛子ガスが込められた催涙爆弾を投下する部隊。唐辛子ガスは一時的な呼吸困難と鼻水、せきが出る程度の濃度に調整してある。敵の弱体化はまぬがれない。


 次に地上部隊、逃げる敵は追わないが向かってくる敵には情け容赦の無い恐ろしい部隊。


 ・第一地上部隊 隊長 ラルダ 前線壁役部隊 五百名 、驚異的な突進力と破壊力を持つ厳魔部隊。この部隊の戦闘見学は年齢制限が必要。城壁破壊も彼らに持たせたハンマーで行う。


 ・第二地上部隊 隊長 ヘラ リエッサの後任アマソナス部族長 三百名 、回避能力と武器攻撃力に優れた部隊。この部隊が持つ武器、剣や槍には一時的な麻痺効果がある薬が塗られている。いくら魅力的でもアマソナスには下手に近寄っちゃいけないと教えられる部隊。


 ・第三地上部隊 隊長 ダヤン 三百名 、機動力が売りの亜人部隊。亜人でも人狼族や豹人族などの敏捷性と移動力に優れた亜人による部隊。ダヤンお得意の一撃離脱戦術のための部隊。状況によってはユニコーンに搭乗して戦うこともある。


 ・第四地上部隊 隊長 ムーバス スィールの後任ゴルゴン部族長 ゴルゴンを中心とした状態異常魔法使いが百名 、状態異常魔法による支援部隊。石化、麻痺、毒、一時的な失明などの状態異常を敵に与える。白い恐怖の異名を持つ部隊。ちなみにダヤンに”ゴルゴンとはやりづらくて仕方ない”と言わせるほど、敵に回すと嫌な部隊。


 ・第五地上部隊 隊長 マルティナ エルフによる結界、および治癒・回復部隊 三百名、前衛には防御系魔法を弓などの長距離攻撃隊の前には結界を張る。負傷者への治癒・回復も行う。この部隊がいれば死傷者ゼロも夢じゃない。


 最後に長距離攻撃部隊。アロンが連れてきた指揮官経験者の訓練によって技量アップした。


 ・第一弓隊 隊長 ホーディン(アロンが連れてきた人間。指揮官経験者) 亜人部隊 二百名 、複合素材を使用した射程二百メートル強の弓を装備した部隊。


 ・第二弓隊 隊長 ゼアリー(アロンが連れてきた人間。指揮官経験者) 亜人部隊 二百名 、第一弓隊同様。


 亜人は戦闘力や防御力がどうしても落ちるので、攻撃の的になりにくい弓隊を結成した。魔族に働きで負けたくないと日々の訓練に余念がない。第一第二ともに成長株の部隊。


 ・長距離狙撃、飛竜搭乗 エルザ、クルーグ、この二名の役割は敵指揮官の狙撃。二人の愛機AK-47はドワーフ等の協力で狙撃距離と命中率がアップされ、物理防御力が余程高い相手でなければ一撃死は必至。この世界の戦争では、卑怯と言われても仕方のない武器を持つ二人。


 以上、総数二千名強の部隊。


 敵が六万人だろうと、空戦部隊によってその数ほどの働きができるはずもなく、エルザとクルーグによって指揮官を次々失う敵部隊は烏合の衆と化し、そこへ支援魔法によって物理・魔法防御力がアップした地上部隊が鬼のような攻撃を仕掛ける。


 弓隊の攻撃によって敵がまともな陣形を組めることもなく、地上部隊の餌になるのは必至。

 上空で広範囲の戦況を確認しながらアロンが指示を出す。

 それでも苦戦するようならば、俺が出ていく……という算段。


 ”最初から俺が出たほうが?”と言うと、ヴァイスから”それではダメなのです。ゼギアス様が居なくても勝てる軍隊を、自分の国は自分の手で守る気持ちのある軍隊を育てなければならないのです”と言われ、戦況を見守ることになった。



 空戦部隊も含めて行った味方同士の模擬戦闘の結果を知ってるマリオンとリエッサも、”敵が二十万も居て、その上戦闘神官が複数居ない限り負けることはありませんよ”と余裕をもって言っていたから心配はないと思う。


 今回は空戦部隊を実戦投入し、地上との連携でどれほどの戦果をあげるかが焦点だとアロンも言っていた。俺以外は誰も負ける心配などしていない。被害も気にならない程度のように皆は言う。


 ”だが、他の都市から援軍が来ることはないか?”とヴァイスに聞くと、”その為の空戦部隊でもあるのです。当面の敵への攻撃を一通り行い、地上部隊へ攻撃を引き継いだら飛竜隊は戦場の周辺地域哨戒任務に移行し、援軍を見つけ次第その進撃を阻止します。”と返ってきた。

 俺の危惧など計算済みだった。


 それじゃ、開戦前に皆の顔でも見に行くか。


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