サイケデリック・アンニュイ・ジャンク

作者 紅葉林 槭樹

混沌たる感情をその肌に宿し、彼は世界最後の戦いへと赴く

  • ★★★ Excellent!!!

サイケデリック/感情、それらの単語こそが本作を象徴する要素だったのだと、読了した今になっては感じています。セカイ系とはごく限られた領域の人間関係が、そのまま極大化されて世界の命運へと直結するような構図にこそ魅力が詰まっているものです。

そして、思春期を向けた彼ら/彼女らを支配するものは何か
――――感情です。

これらの符号には必然的なものを感じると同時に、セカイ系としての王道を征くための仕掛けを感じました。滅び行く世界、ままならぬ自己犠牲を強いられる理不尽、そして科学とオカルトの狭間を彷徨うような未来予測図が織りなす1万文字は、まさしくセカイ系のそれです。

そして主人公機には、感情装甲と呼ばれるテクノロジーが用いられていました。
"サイケデリック"と評されるまでに様々な色が交じり合った装甲色というのは、つまり、一意に割り切れない混沌した感情が交じり合うことの象徴だったのではないでしょうか。

一万文字で堪能できるセカイ系、90年代を生きて来たあなたにおすすめの一作です。

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