サイケデリック・アンニュイ・ジャンク

作者 紅葉林 槭樹

23

9人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

地球滅亡まで幾ばくもない状況。主人公、ヒロイン、その父。三人の人生が混ざり合って極彩色に滲んでいく。
地球は救われるのか。三人の登場人物の選択とその行く末は?
感情という色を「情報」として、今、宇宙は色に染まる。

一万字以内にこの内容を詰め込んだ手腕に唸らせられました。まさにセカイ系です。90年代から0年代を席巻したセカイ系の一つの形がここにあります。

★★★ Excellent!!!

 地球滅亡を前に、青年に選択は委ねられた…正確には、既に彼の恋人が選び終えていた。壮絶な絶望の未来へ向かって、わずかな可能性にかけて送り出された男女。二人はもう、決して結ばれず戻ってこれるかもわからない。そんな非道な旅路を強いてきたのが、父親だとしたら?誰を憎んで、誰のために戦えるのだろうか…この短い物語の中に、愛することの尊さと残酷さが詰まってます。是非、御一読を!

★★★ Excellent!!!

サイケデリック/感情、それらの単語こそが本作を象徴する要素だったのだと、読了した今になっては感じています。セカイ系とはごく限られた領域の人間関係が、そのまま極大化されて世界の命運へと直結するような構図にこそ魅力が詰まっているものです。

そして、思春期を向けた彼ら/彼女らを支配するものは何か
――――感情です。

これらの符号には必然的なものを感じると同時に、セカイ系としての王道を征くための仕掛けを感じました。滅び行く世界、ままならぬ自己犠牲を強いられる理不尽、そして科学とオカルトの狭間を彷徨うような未来予測図が織りなす1万文字は、まさしくセカイ系のそれです。

そして主人公機には、感情装甲と呼ばれるテクノロジーが用いられていました。
"サイケデリック"と評されるまでに様々な色が交じり合った装甲色というのは、つまり、一意に割り切れない混沌した感情が交じり合うことの象徴だったのではないでしょうか。

一万文字で堪能できるセカイ系、90年代を生きて来たあなたにおすすめの一作です。