夜煙る街のデモンズピース

作者 黄鱗きいろ(灰の街の食道楽書籍化!)

『全てを疑え』。目を闇に慣れさせなければ、真実を見ることは叶わない

  • ★★ Very Good!!

男の子が女の子を守ろうとする……こう書くと、メタ的に言ってしまえば『王道的展開』が約束されたストーリーに思えます。

しかし、物語の舞台は治安最悪の都。さらにいえば守ろうとしている少女は人外の存在になりかけで、二人の関係はどこか危うい。

ピュアな二人の関係性とは対照的に、現代的ながらも、どこかグロテスクな湿った空気の世界観が、非情な現実を突きつけます。残酷で血と肉にまみれていながらも、端的な文章により不快感は感じません。

九龍城的な要素はスパイス程度で、どちらかというと和風ファンタジーな雰囲気。物語を通じ、作者様の書かれる『鬼のいる世界』を見ることができます。

ラストスパートの怒濤の伏線回収、そして超高密度の展開はまさに圧巻です。ずっと驚きっぱなしでした。

最後に、本作のタグには『全てを疑え』とあります。

全てを、疑ってください。街の名は『暗都』。 真相は闇の中で、ここは暗く残酷な世界です。例え目がたくさんあったとしても、闇に目を慣らし、良く凝らさなければ、最後のネタばらしまで真相を見ることは叶いません。

あなたは主人公よりも早く、"それ"に気づけるでしょうか。

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