第20話 デュランデュラン〜アルバム『リバティ』

 今から一生同じアーティストの音楽しか聴いてはいけない、という法律ができたら、僕は間違いなく「デュランデュラン」を選ぶでしょう。(まあ、気分によってスティービーワンダーって言うかも知れませんが、こんな法律できませんが)


 もうデュランデュランは好き過ぎるので、アルバム1枚ピックアップして書いてこうと思います。


 みんながマイケルジャクソンを聴いてる時にはボビーブラウンを聞いて、みんながボンジョビがいいっていう時には俺はオジーオズボーンだって言って、まあ単にみんなと違うの聴いてる俺、みたいに通ぶって、今ではマイケルジャクソンもボンジョビも好きっていうミーハーですが、まあ、周りの中学生でデュランデュランを聴く奴がいなくて、友達には理解されない。また他人の聴いてるものに文句を言う親父が、「こいつら化粧してんじゃねえか」って吉川晃司と同じこと言われて。

 唯一、共感してくれたのが従兄弟の大学生のお兄ちゃんで、「リュウくんデュランデュラン聴いてるの?いい趣味してるじゃん。これあげる」と貰ったのがライブ盤の『アリーナ』のレコード。

 大学生に認められたのか、なんか大人に感じで、どんどんデュランデュランにハマってくのですが、キッカケはこの『リバティ』というアルバム。デュランデュランのCDで初めて買ったのがこれ。

 その時出てた新譜で、『リバティ』と一緒に買ったのが『ディケイド』という『リバティ』よりも前に出てたベストアルバム。「プラネットアース」も「リオ」も「リフレックス」もいいのですが、聴きたかったのは『リバティ』1曲目の「夏のヴァイオレンス」。


 中学の頃なんて、流行っていたニューキッズオンザブロックやテイクザットなんか聴いて、なんとなくとおもっていたのですが、どちらかというと苦手で、親父がビートルズやレッドツェッペリン、ZZ-TOPとか聴いてるそばで、何がいいのかな、と思ってました。今じゃ、どれも好きなんですが。


 音楽番組でたまに、「今日は海外からのゲストです。〇〇◯の皆さんです!と特別な感じで司会者が言うと、ワーっとなるわけです。テレビの前の僕は、誰だよコイツら、と思うわけです。こっちは早く吉川晃司出てこないかな、バービーボーイズ何演るんだろ、って目的で見てるじゃないですか。

 夜のヒットスタジオかなんかだったと思うんですが、デュランデュランを初めて見たのもその時。大好きなグラスバレーがライブでデュランデュランのカバー曲を演奏していたので(雑誌の記事でライブのセットリスト見ただけですが)デュランデュランの名前は知っていたのですが、その頃まだ曲は聴いたことはなかったんです。

 テレビに映ったデュランデュランを見て、やたら背のデカイの出てきたなぁ、くらいの印象。1人小室哲哉みたいな人がいるなあ、程度。デカイの2人と、筋肉隆々の胸毛ジャンジャンな人と、脇が腰くらいまで空いてるタンクトップのアフリカ系の人の5人。

 後ろに映っている日本のミュージシャン達が、フゥー!と立ち上がったりして喜んでいる。


 そんな偉い人達なの?そうやって盛り上げてくださいとスタッフに言われて仕事でやってるんでしょ。

 でも勉強のために見てみるか。


 そう、この頃は洋楽の良さなんかわからなくて、バンドやってるし、洋楽くらいは聴かないといけない、と思って無理やり聴いてただけだったんです。


 やたらにデカイ人たちは、別スタジオみたいなところで、日本のステージ小さいのか、余計にデカく見えて、ボーカルの人が(サイモン・ル・ボン)持ってるマイクも小さく見えて、演奏が始まる。


 まずイントロ。キーボードから始まったので、画面はキーボードの人のアップ。おお、さっきの小室哲哉みたいな人がキーボードなのか。このキーボードの人が、ニック・ローズ。もう1人のデカイ人はベースだったのか、カッコいいな。胸毛ジャンジャンはギターか、ヘッドの無い変なギター弾いてるな、ありゃどこのメーカーだ?


 HEY!


 あ、ビックリした。サイモンの「ピキラウッ!」というシャウトから始まった。


 一瞬で好きになりましたね。もう夢中で、CD買いに行こうしか考えてなかったです。多分初めて、洋楽で良いと思ったのはこの曲じゃないですかね。


 もう次の日なのか覚えて無いですけど、速攻でCD買いに行ったわけです。多分見たやつは、曲のタイトル忘れたけど1番新しい奴に収録されてるだろうと、でも念のため一緒にベストアルバムも買って。まあ、後々全部揃えることにはなったんですけど。


『リバティ』はこの「夏のヴァイオレンス」だけじゃなくて、もう全部の曲がいい。飛ばす曲が無いんです。

 特に好きなのは、「オール・アロング・ザ・ウォーター」と「ファースト・インプレッション」。ベースがとにかくカッコいい。

 それに、その頃までキーボードが入るバンドはダサいと思っていたのも、吹っ飛びました。


 デュランデュランは、デビュー当時は

 サイモン・ル・ボン(ボーカル)

 ニック・ローズ(キーボード)

 ジョン・テイラー(ベース)

 アンディ・テイラー(ギター)

 ロジャー・テイラー(ドラムス)


 の5人だったのが、アンディとロジャーが脱退。ビックリしたのが、ジョンとアンディとロジャーは同じテイラーですが、兄弟でも親戚でもないです。しかも、ドラムのロジャーは、クイーンのドラムのロジャー・テイラーと同じ名前。全く関係ない人なのに楽器まで同じで混乱します。


 そしてしばらく3人で活動し、サポートメンバーで加入したのが、


 ウォーレン・ククルロ(ギター)

 スターリン・キャンベル(ドラムス)


 の2人。胸毛ジャンジャンの人がウォーレン。この人、フランクザッパのバンドにもいた人で、その後フランクザッパ門下生のドラマー、テリー・ボジオのバンド「ミッシッングパーソンズ」のギタリストでもあります。ちょっと草刈正雄似のいい男です。


 そして脇の下全開ノースリーブの人がスターリンで、次のアルバムの曲作りを始めた頃、何があったか知りませんが、ニューヨークに帰ってそのまま戻ってこなくて自然に脱退、正式メンバーとしてはスターリンはこの『リバティ』と前作の時にサポートメンバーの参加のみとなっております。

 今度はデュランデュランは4人になってしまうんですね。次のアルバム『デュランデュラン(ザ・ウエディングアルバム)ではドラムはスティーブ・フェローンが参加。あとは、ドラムマシンでレコーディングされてます。


 この当時のサイモンのインタビューで、「パーマネントのドラマーは必要ないんだ」と答えています。そりゃ酷いな、人種差別かイジメだよ、そんなこと言われりゃ抜けちゃうよね、と大きな勘違いをしていた僕。って、ドラマーってことでした。当時の僕はのことだと思い、ちょっとだけサイモンが嫌いになったことを思い出しました。


 そして今度はベースのジョンが脱退!そんなまさか!!そしてジョンは「ニューロティックアウトサイダーズ」や、ロバート・パーマーとの「パワーステーション」を再活動させたりと別の道に行ってしまうのですが、その後また初期のメンバーで復活、そして復活したのに、またアンディが抜けてしまうんです。

 色々あって現在は、サイモン、ニック、ジョン、ロジャーの4人に落ち着き活動中。個人的にギタリストはウォーレンがやればいいのに、と思ってます。


 とにかく一生聴けるのはデュランデュラン。そして何回聴いても飽きないのが、この『リバティ』と思ってます。商業的には、このアルバムはデュランデュランの中で最も売れなかったアルバムとして有名ですが、僕は1番好きで、1番聴いてしまいます。ちょっと他のミュージシャンにハマっている時期があっても、ふわっと夏が近づくとまた聴いてしまう。全然「夏」っぽくないし、全然「ヴァイオレンス」ではないポップさですが、デュランデュランを聴いてなかったら、洋楽が好きになることもなかった気がします。


 このアルバムの好きなところはCDのブックレットの写真。遊園地みたいなところでオネーさん達とはしゃいでいるのがカッコよく見えて、なんか全体的に好きなアルバムなんです。中学生の頃、黒いTシャツに白のブルゾンと白パンを安い店で買って、このアルバムのサイモンの服装の真似してた記憶があります。


 このところ、このアルバムをかけっ放しにして、寝てます。今も、おやすみなさい。

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