第10話 michelle branch(ミシェル ブランチ)

 だいたい女性アーティストは、まず顔が好きかどうかから入ります。それか、ふと何処かで聴いて、「なんだ今の曲いいな」と思って調べて、顔が良いとCD買います。「見た目じゃないよ、性格が合うんだよ」なんて自分の彼女や奥さんのことを言う奴の、彼女や奥さんは大抵美人です。「なに言ってんだよ、お前の彼女(奥さん)綺麗じゃないか」と言ってやると「全然、ブスだよ」なんて言って満更ではない顔をしております。「見た目じゃないよ」と言われて、それが本当だと、こっちのリアクションも困ります。


 そういうわけでミシェルブランチを、初めて聴いたのはカルロスサンタナとのコンピレーション曲「the game of love」。

 僕が30歳くらいの時でしょうか、この頃の洋楽情報源は小林克也の「ベストヒットUSA」。小林克也氏は「ニッケルバック」を「ニコゥバァ」と独特な発音をするので、当時Virginの店員に「ニコゥバァのCDってありますか?」と聞くと、「?」な顔で「ニッケルバックですかね?」と半笑いで教えてもらい恥をかいた回数も数知れず。


 小林克也氏が紹介していたのが、カルロスサンタナの「ULTIMATE SANTAMA」というベストアルバム。アルバムの収録曲をピックアップして数秒ずつ流すのですが、1曲目の「Into The Night」にやられてしまったんですね、でCD購入。この曲、それこそ「ニコゥバァ」のボーカル、チャドクルーガーとのフューチャリング曲。で、この曲目当てにアルバムを聴いていると、2曲目の「Smooth」という曲、どっかで聴いたことあるなあと「あ、野口五郎の曲だ」と思い出すわけです。「愛がメラメラ」というタイトルで2000年に野口五郎がカバーしてるんです。1995年のトムジョーンズのシングル「恋はメキメキ」にぶつけているようなタイトルで、1999年の郷ひろみがリッキーマーティンの曲をカバーした「GOLDFINGER'99」にも対抗したような曲。世代ではないのですが、結構野口五郎、嫌いじゃないです。


 よく親父が「サンタナは聴いておいた方がいい」と「Black Magic Woman」とか「E uropa」を無理矢理聴かされたのですが、小・中学生の時の僕には良さが分からず、「ダセえ」と思っていたのですが、30歳超えたあたりでなんとなく良く聴こえてくるのです。そしてこのアルバムの中で1番惹かれたのが7曲目のフューチャリング ミシェルブランチの「the game of love」。このアルバムのポーナストラックにティナターナーとのフューチャリングの「the game of love」も収録されているのですが、僕の耳には断然、ミシェルブランチの方がいいんです。声だけ聴いて、勝手に結構歳いってる女性シンガーかなと思いきや、この曲をレコーディングした時点ではミシェルはまだ19歳!!


 同世代でいうと、日本ではアグリルラヴィーンの人気が高く、ちょっとミシェルブランチはあまり知られていない存在。(余談ですが、後にこのアグリルラヴィーンとチャドクルーガーが結婚し、2015年に破局)

 どんな顔してんのかな、と検索すると、「アグリルより、ミシェルの方が可愛い」ということで、(女優で元ももクロの早見あかりに似た感じ)、他にどんな曲歌ってるのかとまずファーストアルバムから購入。

 ファーストアルバム「the spirit room」の1曲目、デビューシングルの「Everywhere」でヤラレるわけです。


 ポップロックなアグリルラヴィーンも聴いていたのですが、明るく元気なアグリルに対し、ミシェルブランチの曲はフォークやカントリーミュージックも混ざったアコースティック調の音楽に、パンチの効いた歌声。そんな彼女の歌声はシェリルクロウの目にも止まります。ほとんどの曲を作詞作曲し、作り方も実体験ではなく、物語を作るように、その物語の主人公が自分だったらこんな風に思うかな、とドライな新世代の作詞作曲法なのに感情が爆発しているような歌い方で、そのレコーディング時、弱冠18歳。


 自分が18歳の頃って何してたか思い出してみると、ろくすっぽ練習もしてないくせにバンドでデビューするという根拠もない自信が、高校卒業間近になっても、大学受験もせず、就職活動もしないという荒業に出て、そういうくせに上京するわけでもなく実家で暮らし、「そろそろ何かしたら」と母ちゃんに言われて、なんとなく受けたアパレル販売の会社に就職し、毎日先輩やらレディースの人達の夜中まで遊び、真っ直ぐ家に帰らない........ああ、もう思い出すのやめよう、空っぽな10代、そもそもミシェルブランチと比べることが間違ってました。


 そしてセカンドアルバム「Hotel Paper 」。このアルバムのポーナストラックにも「the game of love」が収録されてます。

 そしてこのアルバムの1曲目、トラックでは1トラック目はイントロなので、トラック2「Are You Happy Now?」、またしても始めの曲でヤラレてしまうのです。


 少し間が空いて、最近にもアルバムをだしてるのですが、やはりこの10代の時に出した2枚のアルバムが、どの曲とってもミシェルの魅力満載で飽きません。


 この2枚のアルバム以後、レイカーズ名義でバンドを組み、1枚のミニアルバム、そして間が空いてつい最近、大人になったミシェルがアルバムを何年か振りに出しました。まだ新しいのは聴いてませんが、すっかり大人になって更なる力をつけた今後の活躍に期待します!


 顔良し、歌良し、アレンジ良し!のミシェルブランチ、おススメです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る