【静寧と動乱の遙けき帝国】貴婦人、最後の恋

作者 工藤行人

9

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★★★ Excellent!!!

工藤行人様の小説は、精巧な舞台設定と艶麗な物語性も然る事乍ら、物語を構築する素材である「文字」のひとつずつに、宇宙のように果てしない「こだわり」と、上等の玩具に凝らされるような「仕掛け」が垣間見える。

私たちが子供のころ、大人に成ってからも、お気に入りのものを蒐集した空間(ハコ)は文句なしに煌めいていたと思う。
其れは他人から見れば、おおよそ実用的とは程遠いかもしれないハコ。
併し乍ら其のコレクションに、絢爛豪華や崇高という価値を見出す不思議イコール共鳴。
私にとって此の小説は珍しい文字への共鳴であり、一章ごとが薫る花園の風情である。

文字が好きな者の「言語の園」。
動物が好きな方は動物園を。
植物が好きな方は植物園を、想像してほしい。

双眸に映るコレクション。
お気に入りのフレーバーティーを片手に、ゆったりと、お楽しみください。
なんて本当は云いたくない。
コレクションを無闇矢鱈に開示するなんて野暮だから。
私だけの蒐集にしておきたいのだ。
しかし、あまりにも増幅する共鳴の中、したためずにはいられなかった。
そんな魅力ある小説への稚い讃辞をお赦しください。