うちの彼氏がおもしろいので聴いてください。

３２：すこしだけ、当時の私の歪みのお話をさせてくださいね。

　そして私はこのころから漠然と、演劇部を退部したことを後悔するようになってきました。

　最初のほうにもすこし書いたのですが、私は一年生のときにはがっつり演劇部で、二年生に上がる瞬間にちゃんと退部届を書いて顧問の先生に渡して、演劇部を辞めています。

　理由としてはほんとうに、時間の確保、といった側面もありました。

　このエッセイは彼氏についてのエッセイですが、すこし、このあとの展開のために私自身の話をさせていただくことをご容赦ください――。

　私は。もともとが、器用ではない性分です。

　そして私は高校では同級生より比較的学力が高く、学校全体から期待を受けているようなプレッシャーを感じていました。

　いえ、もちろんそれはまだ幼かった私の変な陶酔だったのかもしれません。けど、もともとが器用でも、また自信があったわけでもない少女だった私は、学校全体で面倒を見てくれるような体制にかぎりなく感謝しながらも、かぎりなく緊張していました。

　文系科目での学年総合順位は三年間ほとんどトップスリーあたりを突っ走りました。一位であることもそう珍しくはなく。最初こそいちいち感動していましたが、ひとは、なんにでも慣れるものです。「学年一位」の学園ラブコメみたいな字面にも。

　そう、まさしく。学園ラブコメのわかりやすいネタかと思えるほどいろんなことをしていただきました。

　なにせ高一の時点から。放課後におこなわれてた高三ハイレベル大学受験生の補習に突っ込まれたり、東大模試やハイレベル模試を受けさせられたり、赤本や参考書を放課後に先生がたにつきっきりで教えてもらったり。

　そしてそれらはどんな仕組みだったかいまだによくわかってないのですが、まあすくなくとも学内の補習とかは無料だったわけで、私はおそらくはそこまで金銭的負担なくすさまじい先取り学習ができました（まあもともとが私立なので……という側面はありますが）。

　学内でも「自称進学校」とネタ的にささやかれるような学園。進学実績をつくりたい学校がわの都合があるとわかっていれど、私は、あんなに期待されることに――次第に、応えたくなってしまったのです。

　そして――私は、部活で、自分が勉強ができることをひた隠しにしていました。