6,ファミレス奢るから、世界征服しようよ。
伝えてしまった。児童公園の片隅のベンチで、急に私の覚悟は決まってしまった。女子からこんな告白することが男子のプライドを傷つけるなんてこと、ないよね。
「僕も、僕もだよ。ずっと、一緒にいよう」
こんな奇跡、あって良いのかな。このイタイ逆ハーレム小説書いてるような根暗女が『カレシ』の召喚に成功するなんて。ド美人爆乳女子高生のマルグレーテことマルより先に成功してしまった。なんて快挙だ。
「……成功したみてぇだな。ファミレスでいいからステーキ奢れよメル・アイヴィー」
「げ! 見てたの!? お、おぅ! なんでもおごっちゃるけぇ。ジョンもね!」
あぁ、しまった。いつもの肩の力が抜けたしゃべり方をしてしまったよ。でも、いいか。私の本性なんてどうせすぐバレてるんだ。
「さぁ、このカレシ持ちの新世界の神に付いて来るが良い!」
「はぁ……この中二病患者どうしようもねぇな」
マルグレーテ、本当なのよ。私が神に成り代わったの。
幾万、幾億の世界から力を奪って神々を駆逐し、その神々からも力を奪い取って、今まで滅した全ての世界を元通りに戻してやったんだから。今いるこの世界だけ、ほんの少し私達の居場所を空けて。
マルグレーテ、あなたの力も使わせてもらったから、何も覚えていないだろうけど。
でも、予定ではすべての力を使い尽くして、普通の子供になるはずだったのに。まだ力はたくさん残ってしまっていた。神の力を奪ってしまったからかな。
「ねぇ、ジョハネス、マルグレーテ」
「あん? 慈悲を請うても無駄だぜ? あたしもジョンもステーキ食うんだよ」
それは全く構わないよ。
「ねぇ、二人に一番高いの奢るからさ、世界征服しちゃわない? ドリンクバーもパフェも頼んでいいよ?」
あら、マルグレーテブレスが炸裂した。
「ファミレスごときで買収するレベルの話じゃねぇぞ」
あら。マルグレーテ、記憶が残ったままみたいね。
今の財政事情を考えると、結構決意が必要なんだけどな。
「メル、僕には奢ってくれなくていいから、物騒なことは駄目」
「じゃやめる!」
「軽っ! あんたらしいわ」
軽くなんてない。この三人が平和に生きていくには大切なことだもの。きっと力が残ったのはこのためなんだ。
きっと神々はその地位の回復を求めて戻ってくる。私は二人とこの世界を、絶対に守り抜かなくてはならない。
たとえ再び首を断たれても、私は再び別の世界を作って、二人を守り続けてみせる。守り切れなかった世界なんて、
本当に安全で、幸せな世界を作り上げるまで、私はいつまででも、邪神で居続けてやる。
プロトタイプ・ブルース アイオイ アクト @jfresh
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