2-11 ガスト村 4 村人たちの協力

 俺はフェイを肩に乗せて急いで村まで帰ってきた。

 何のために今日休日にしたことやら……。


「ただいま、ダラスさん」

「おかえりリョウマ君! 無事だったか……村長に聞いてちょっと心配していたんだぞ。で、どうだった?」


「コロニーが3つできてました」

「なんだと!」


「その事で村長と話がありますので行ってもいいですか?」

「いや、俺も一緒に行く。詳しく聞かせてくれ!」


 村長宅にダラスさんと向かい、端折って話すことにした。


「結果だけ報告しますね。街道を西に3km行って、南の森に5kmほどの周辺にコロニーが3つできていました。これが今回街道に出てきて、よくゴブリンを見かけるようになった原因でした。実はもう全部狩ってきちゃったんですけどね」


「こう言っちゃなんだが、それを証拠もなく信じろって言うのか? 集落1つを狩ってきたと言われてもにわかに信じられないのに午前中だけで3つだと?」


「ダラスさん、そう鼻息を荒くしないで最後まで聞いてください。今回コロニーを3カ所狩って239体仕留めて来ました。お肉なのですが、水の神殿にジェネラル1・プリースト2・ナイト2・アーチャー2・オーク7体分を寄付します。ガスト村にジェネラル1・プリースト1・ナイト2・アーチャー4・オーク8体分と、討伐報酬は全部村に差し上げますので、村の方で剥ぎ取りと解体はやってください。ゴブリンもそのまま【亜空間倉庫】に保管してありますのでその魔石の抜き取りも村でやってください。ゴブリンの上位種も含まれていて、200体ほどありますが、村人総出でやればすぐ終えるでしょう。どこか出せる広いスペースはありますか?」


「リョウマ君、全部事実なのかね?」

「村長まで疑っているのですか? 自分の欲しい取り分以外、全部亜空間倉庫から出しますので見れば分かりますよ。それより時間が惜しいのですぐに村人に指示をお願いします。俺は明日の朝には出発しますからね。ごたごたして時間食うようなら全部俺が持ってっちゃいますよ」


 村長はまだ半信半疑のようだが、くれるというなら欲しいとのことだ。


「では村の中央広場にでも出してもらおうか」

「血が出ますので村の外か小川の近くがいいと思います。なるだけ移動も少なく効率がいいところがいいですね」


「村長、村の裏手の小川に少しひらけた場所があるじゃないですか、あそこなんてどうです?」


 ダラスさんが良い場所を知っているみたいだ。


「そうだな。リョウマ君、ダラスに案内してもらってそこに出してもらえるかな? でも肉を村でそんなにもらってもいいのか? 売るとかなりの額が手に入るのだよ? それに魔石もジェネラル級だとそれなりの値が付くから売ればそこそこの額になるぞ?」


「俺もそれくらいは知っていますよ。自分用と神殿用の肉と魔石は確保しましたから十分です。残念ながら巣には目ぼしい品がなかったのが残念ですけど、錆びた屑剣やオークが着けていた臭いぼろぼろの装備品なんかいらないですからね。それに1人で239体の剥ぎ取りなんかやってられないです。あ、ジェネラルの魔石だけやっぱ欲しいです」


「ああ、魔石は全部持って行ってくれていい。肉だけでも村人は喜ぶ」

「ジェネラルの魔石だけでいいです。俺はまだ冒険者じゃないので、ギルドからの討伐報酬がもらえないのですよ。今のところお金にも困っていないので、ジェネラル以外の魔石も全部村に差し上げます。魔石は剥ぎ取りに協力してくれた村人に報酬としてあげてはどうです? もしくは肉をあげて、他は村の共有資金にしてもいいですし、その辺の使い道はは村長たちで決めてください」


「そうだな、どうするかは後で決めるか。ダラス案内してやってくれ」


 村長宅をダラスさんに連れられて出た俺は、先に宿屋に寄ってもらった。

 牛乳と卵が届いているはずだからだ。移動中に村長宅の方から警鐘が鳴っているのが聞こえる。

 ダラスさんが一回間隔は緊急収集の合図だと教えてくれた。皆、いそいそと村長宅に集まっていく。


「ただいまおかみさん、卵、届いてますか?」

「ああ、リョウマ君おかえり。ちゃんと届いてるよ。鐘が鳴っているけど、外で何があったのか知ってるかい?」


「ええ、これから裏の小川でオークの剥ぎ取りをするので協力者を募っているのでしょう。確かに受け取りました。預かってもらってありがとうございます。これおみやげです」


「なんだいこれ?」

「さっき狩ってきたオークの肉です。熟成はされてないので3日ほど寝かした方が美味しいそうですよ」


「こんなに沢山貰っていいのかい?」

「ええ、沢山有りますのでお裾分けです。パメラさんが手空きなら、剥ぎ取りに参加すれば肉か魔石かは分かりませんが貰えると伝えてあげてください。それと今日レベルアップしたので、6時ぐらいに痛みがきますので、俺の夕飯を5時ごろお願いできますか?」


「それはめでたいね! おめでとう! じゃあ、5時頃食べられるように準備しとくよ。お風呂も準備しとくからね」


「はい、お願いします」


 宿屋を出たら、既に結構な人が集まっていた。


「兄ちゃん、一人で集落潰してきたんだってな。びっくりだぜ」


 話しかけてきたのは、すぐ斜め前の雑貨屋の店主だ。


「おじさんも剥ぎ取りに参加するのですか? 店はいいんですか?」

「そうそう客なんて来ないよ。俺の居場所は知れてるんだ、用があるなら川に来るだろうよ」


 村から5分ぐらいの所に綺麗な小川が流れている。普段はここで洗濯や洗い物をしているのだそうだ。そんな場所で剥ぎ取りなんかしていいのかと思うのだが、魔法で綺麗に処理するから問題ないとのこと。


「リョウマ君、オークからやると後が面白くないから、ゴブリンから出してくれるか」


 俺はインベントリからとりあえず100体一気に出した。山積みになったゴブリンははっきり言ってグロかった。フェイに狩られた首無しと、俺に狩られた頭部破損のゴブリンだ……見栄えは最悪だった。残りのゴブリンも少し離れた場所に全部出したのだが、村人はグロさより俺のインベントリの収容容量のほうに驚いているようだった。


 ゴブリンを出し終えた頃には、村人が60人ほど集まってきていた。子供やお年寄りまでナイフを持って参加している。どうやら村で動けるものは殆んど来ているのではないだろうか? 剥ぎ取り作業の前に村長から説明があるみたいだ。


「皆、静かに聞いてくれ! 近々村でゴブリンの集落捜索をしようかと話してた件だが、今日、神殿から来たリョウマ君が1人で解決してきてくれた。近くに3つもコロニーができていたそうだ。本来狩った物は全部リョウマ君の物なのだが、なんと村に魔石と討伐報酬はくれるそうだ。肉も村にジェネラル1・プリースト1・ナイト2・アーチャー4・オーク8体分をくれると言ってくれている。残りは神殿に寄贈と自分の食べる分を確保するぐらいでいいそうだ。つまり殆んどを村に譲ってくれたのだ。皆、感謝するように」


「なんでくれるんだ? 売ったら金になるんだぞ?」


 まぁ、普通はそうだよね。


「俺は別にお金に困ってません。神殿に寄付する分と自分で食べる分があれば問題ないです。それと、一番の理由は本来村で狩る予定だったモノを俺がかっさらうような真似をしたくないのです。それに、まだ冒険者登録をしていない俺が冒険者ギルドに売るより、ダラスさんとかが売った方が換金率が良いそうです。なので、今回は村に寄贈します」


 理由に納得したのか、皆の歓声が沸き起こる……どうもこういうのは恥ずかしくて苦手だ。


「役職者で話し合ったのだが、肉は売らずに食べたいという意見が多かったので売らないことにした。村の管理庫で熟成が終えたら皆の前で公平に配ることにする。魔石と討伐報酬はダラスに町まで換金に行ってもらう。その後に村人全員で、販売金額を人数割りにする。ただ今日の参加者には先にその中から5千ジェニー出すことになっている。それとオークの剥ぎ取りは冒険者や経験者にやってもらう。折角の肉だから綺麗に捌いてもらおう。では経験者を必ず入れて4人1組で始めてくれ」


「村長、これもいらないから村で売ってほしい。あまり価値は無いと思いますが。【亜空間倉庫】が一杯だとなんとなく落ち着かないのです」


 そう言ってインベントリから、鉄以外の装備品を全部出した。

 中には30万ほどするプレートメイルが混じっていたがまぁいいだろう。

 俺はお金を稼ぐ手段はいくらでも持っている。


「兄ちゃん、これは持ってった方がいいぞ! 値打ちもんだ。30万ジェニーはいくと思うぞ。鑑定持ちなんだから分かってると思ってたが……」


「いいのですよ。ほら、俺には稼ぐ手段があるでしょ? それにこの街道って神殿関係者かこの村の関係者しかあまり使われていないと聞きました。それならこの村の誰かの物かもと思ったのです。違うならそれにこしたことはないのですが」


 この国でいえば西の果ての辺境……襲われたのはこの村の者か神殿への巡礼者の可能性しかないのだ。


「ああ、そういうことか。ありがとうよ兄ちゃん」


「剥ぎ取りの終えた廃棄のゴブリンはこっちに持ってきてください。俺が後で処分しますのでこの辺にまとめておいてください」



 皆が剥ぎ取りしてる間に神殿に肉とデザートを転送しようと、広い場所を求めてその場を離れた。


 転送陣に使用する魔方陣は半径1.5mで全体で3mの空間がないといけない。村の中央広場がいい空間だったのでそこで転送を行った。プリンとアイスが結構な量だったので、並べるのに時間がかかってしまった。もちろんアイスは融けないように最後にしている。


 転移の魔法を発動してすぐにフィリアとサクラとナナに動画付きのメールを送った。

 動画は最初の100体のコロニーを20秒で壊滅した時のものだ。今回は特に編集なしで俺のカウントダウン開始時から敵が全滅するまでの30秒ほどの短いものだ。5分もしないうちにサクラからコールが鳴った。


『サクラか? ちゃんとそっちの転移陣に届いたかな?』

『はい、ちゃんと届きましたよ。でもあんなに沢山いいのですか? 旅をするのにお金が必要じゃないのですか?』


『お金は心配ないよ。それより壺の中身はアイスなので先に冷凍庫にすぐ入れてね。暑さですぐ溶けちゃうから。今回バニラとチョコ味の2種類を送ったので食べてみて』


『真っ先に冷凍室に入れてたのですが、ナナとフィリア様がさっそくつまみ食いしているようです。ナナはともかく最近のフィリア様には困ったものです。リョウマさんのデザートを知った当たりから幼女化が進行している気がします』


『あはは、ところでネレイス様はあれからどう? ちゃんと食べに来てくれてる?』


『ええ! 楽しそうに毎日来てくれていますよ。先日なんか厨房に来て手伝わせてほしいと、皮むきを手伝ってくださいました』


『そう、楽しんでくれてるなら良かった。余計な事したんじゃないかと少し気になっていたんだ。サクラから見て楽しそうに見えるなら間違いないからね。安心したよ』


『お肉もあんなにたくさん頂いて良かったのですか?』

『あれでも1/3なんだよ。丁度今村人総出で解体作業してるとこなんだ。俺はフェイと2人だからそんなに量は要らないので、お肉大好きなナナに食べさせてやって。一応分かるように種類ごとに木札付けといたけど分かったかな?』


『はい助かります。せっかくのジェネラル肉がオーク用の調理をしてしまったら勿体無いですからね』


『お肉は俺の開発したオリジナル魔法で一番食べごろに熟成されているから、保存するなら冷蔵庫の方じゃなくて保管庫にある神器のアイテムボックスのほうでしてね』


『リョウマ! 茶色いアイスは何なのじゃ、すごく美味しいではないか!』


『フィリア様、前にも言いましたが、一度にた―――

『フィリアじゃ! 何度も言わせるでない!』


『一度に沢山食べ過ぎると、太っちゃいますので気を付けてくださいね。サクラが食べてもいいって出してくれた時以外は勝手に食べちゃダメですよ。ナナにもそう伝えてください』


『ナナそんなに食いしん坊じゃないよ!』

『ナナも居たのか。お肉一杯送ったからサクラと一緒にネレイス様に美味しい物食べさせてやってくれな。ナナはその歳でもう料理上手だから、いいお嫁さんになれるぞ』


『ほんと? ナナ、サクラ姉に一杯教わってがんばる!』


『フィリア、あの動画なんだけど、フェイが初級の【ウィンドカッター】俺が中級の【アクアラスピア】を使ったんだが、見ての通りヤバいことになってる。フィリアは上級魔法が使えるだろ? 伝授したけどちょっと自分でも恐怖を感じるレベルだから扱いには注意してほしい。フィリアなら俺より上手く扱えるだろうけど、仲間とか巻き添えしないように気を付けてね。ちなみにフェイってのは従魔に付けた名前ね』


『まだ見てないのじゃが、あれが危険なのは十分承知しておる。其方が妾に与えたことを後悔するような真似はせぬゆえ安心致せ』


 ハイハイ、どうせデザートの方が気になって、俺の戦闘シーンなんて二の次ですよね。


『フィリアのことは誰よりも信用しているから問題ないよ。俺が心配しているのはフレンドリーファイアで誰かを巻き添え死とかしやしないだろうかとそっちの方が心配なんだ』


『それは其方の方が余計にあり得るのではないか? 妾は滅多に神殿外に出ることはないゆえに心配ないのじゃ』


『おっと、ゆっくりしてる時間なかったんだ。今、村人と剥ぎ取り作業中なので行きますね。6時ごろレベルアップ痛がくるので今日はもう連絡しません。さっさと寝ることにしますので。それと村や町に俺のこと言うの止めてくださいね。隠密行動が基本の使徒なのに、到着するなり村人全員が俺の名前知ってるとかどういうことです? 善意なのは分かりますが、有難迷惑としか言いようがないです。本当にもう止めてくださいね。でないと完全に消息を絶つことにします』


『悪かったのじゃ! そんなに怒らなくても良いではないか。リョウマの従魔のナビーとやらが妾に連絡を寄こしてきた故、先行して素材を提供したのじゃぞ』


『その件には感謝していますし、勝手にナビーが先走ってしまったことはこちらに非がありますが、今後は隠密に行動できるようお願いします。それとナビーは俺の従魔ではないですよ。ユグドラシルの下位的な存在で、ネレイス様神竜たちより神格は上にあたる女神様です。今一番俺がお世話になってる方なので粗相のないようにお願いしますね』


『そのようなことは先に申さぬか! 妾はリョウマの従魔だと思って、ナビー殿って言ってしまったではないか!』


『些細なことで怒るような方じゃないので、心配いりませんよ。では今日はこれで』

『ああ了解した。色々送ってくれて感謝じゃ。またよろしく頼むの』


『はい、デザートの新作も考案中ですので出来たら送ります』



 小川に行くと7割ほど終えているようだ。残りのゴブリンを追加で出し、剥ぎ取りの終えた死体はさっさとインベントリ内の塵処理工房に放り込んだ。どんどん入っていく俺のインベントリの容量の多さに驚き、皆、羨ましそうに俺を見ていた。村長が半分ほど欲しいというのでどうするのか聞いたら、竜馬車用に村で狩っている騎竜が一頭いるのだそうだ。神殿への登山に馬だと途中でへばってしまうのだ。人間からすれば不味いゴブリンでも、騎竜にはいい餌になるのだとか……。





「皆さん剥ぎ取るの早いですね。それではオークを出しますね」


 ジェネラル1・プリースト1・ナイト2・アーチャー4・オーク8体を出したら皆から歓声が上がった。

 やはりオーク肉はここでも大人気の食材なんだろう。子供の嬉しそうな笑顔を見れただけでも提供した甲斐があったというものだ。


 気分の良くなった俺は、沢山あるプリンを子供たちに食べさせてやりたくなってきた。既に手空きの子供もいて、大人たちの剥ぎ取りを見て学習しているようだ。


「やることのなくなった子供たち、ちょっとこっちに来てくれないか。剥ぎ取りが終わったらこのデザートを皆に食べさせてあげるから、これを食べるためのスプーンをその辺の小枝で人数分作ってほしい。ちゃんと綺麗に手とナイフは小川で洗ってから木を削るんだぞ。村人全員に1個ずつあげるけど、スプーンを3本作って持ってきた子にはそれとは別に先に交換してあげるから今から作って持ってきてくれるか?」


「兄ちゃん、それ美味しいのか?」

「これはな、神殿の巫女様たちが考案したデザートで、そのうちに各神殿で売り出す予定になっているとても美味しいものだぞ。それにこの入れ物になっているガラスの器は首都にもないような上質な器だから売るとかなりのお金がもらえるぞ」


 ガラスの器と聞いて、子供たちより大人たちがざわめいた。


「兄ちゃん、スプーンを3本作ったら私たちも交換してもらえるのかい?」

「雑貨屋のおじさん、そこは子供たちに譲ってやりましょうよ」


「ちょっとその器見せてもらっていいか?……おいおいこれ子供の小遣いレベルのもんじゃないじゃないか! ミスリル硬貨数枚は堅いぞ! 貴族や王族が欲しがるほどの出来じゃないか!」


 それを聞いた子供たちは全員がスプーンを作り始めた。


「慌てて作っても使えないほどの品は受け付けないよ! でも食べられる程度の品でいいからね。一応子供は15歳までだよ。結構数も出来そうなんで1人2回まで交換してあげるね」


 10分ほどで最初の子が交換に持ってきた。

 15歳くらいの男の子なのだが、この短時間で6本作ってきている。出来栄えも完璧だ。この子なかなか凄い才能を持っている。将来木工職人にでもなれるんじゃないか?


「へー君、めっちゃ上手だな! 売っているやつと変わんないのじゃないか。じゃあ、これ2個な、器は落とすと簡単に割れちゃうから気を付けてな」


「兄ちゃんありがとう……うめー! なんだこれ! 俺こんなうまいもん初めて食った!」


 少年の反応に皆がざわつき始めた……あせって手を切る子供まで出る始末だ。


 しまった。まさかここまで食いつきがいいとは。怪我した子供はヒールを掛けてあげたらありがとうと言ってまたスプーン作りに精を出していた。ぞくぞくと交換に来て1人2個確保できたようだ。食べた子供はみな満面の笑顔をしているが、1人だけ食べずに両手に持って皆が食べているのを見ている子がいる。何故だろう?


「君は食べないのか?」


 13歳くらいの女の子に尋ねたら、家で留守番している妹に持って帰って後で一緒に食べるんだと……ええ子じゃ! そっと1個スプーンと一緒に渡してあげて、いま食べると良いよと言ったらようやく1つ食べてくれた。


 『美味しい!』と目をまんまるにして食べている姿は見ていて微笑ましい。


 オークの剥ぎ取りも終え、インベントリに回収できないほどの小さい肉の破片は、あらかじめ土魔法で空けておいた穴に放り込んでもらった。範囲魔法の中級魔法【ファイラウォール】を穴に放って全て焼却し、穴を埋め直して作業は終了である。


 『魔法使いだ!』と、子供たちはそれだけで大喜びだった。


 大人たちにもプリンを配り、ここで食べる分を渡してあげた。帰り際に自分を含めた家族の人数分を持たせてあげたのだがあくまでも自己申告なので信用するしかない。横に村長が居たので不正はないと思う。




 村人全員から感謝されつつも、あまり休みにならなかったなと思いながら宿屋に戻るのだった。

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