無実の証明(慧子視点)②

あたし達は屋上にいる。


〔大変でしたね、

ありがとうございます〕


蒼から労いの言葉をもらった。


確かに、一人で

調べるのは少し大変だったけど

苦ではなかった。


羽宮がいじめて来た人数は

女子が五人、男子が三人の計八人。


うち女子二人は男性恐怖症に。


理由は馬鹿女が

男に襲わせたからだ。


二人は父親すら怖くなり

部屋に籠るようになった。


男子二人と女子一人は

外出できなくなり、

残りの三人は蒼と同じで

自殺してしまった……


馬鹿女の犠牲者は

蒼で九人目ということだ。


『あたしはね蒼が大好きだから……』


蒼の無実を証明できるなら

命をかけてもいいと本気で思っていた。


〔慧子さん、最後のお願いが

あるのですがきいてもらえますか?〕


お願い?


『勿論、何でも言って』


愛する人の頼みだもん何でも聞くよ。


〔…………〕


『蒼大?』


久し振りに呼んだ名前。


何時もは“蒼”だからね。


〔僕が住んでいた家に

連れてってほしいんです……〕


だから言いにくそうだったのか。


『わかった、今から行こう』


あたし達は屋上を出て

下駄箱に行き、靴を履き替えて

裏門から学校を出た。

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