今のままで

勝利だギューちゃん

第1話

俺は、アパートで独り暮らしをしている。

高校生だ。


断っておくが両親はいる。

ただ、「少しでも早く自立するように」と、

敢えて地元から離れた高校に通わせた。


学費や生活費などは、出してくれるが、

その他は全部自分でやっている。


高校2年の1学期の前日、隣にひとりの女の子が引っ越してきた。

社交辞令となっている、引っ越しの挨拶だ。


「よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

当たり前の挨拶をし、

「わからないことがあったら訊いてください」と、彼女に伝え、

その日はそれで別れた。


で、始業式の日、クラスにその子が転入してきた。

「こういう偶然ってあるんだな」

そう思わなかった。


とてもかわいい女の子なので、男子から歓声が沸いた。


その子は俺を見つけると、軽く会釈をした。

俺も軽く会釈する。


席は離れた。


まあ、この子と彼女になれるなんて、微塵も思っていなかったが・・・


しかし、一週間もたたないうちに、その子には男友達がたくさんできた。

まあ、よくいるナル男。


まあ、この事は想定内だったのでいいのだが・・・


思春期くらいの女子は、いわゆる不良やワルを、かっこいいと思い。好きになる。

そう言う連中は、少しでも優しくすれば、

「本当はいい人」と思われて、女性には不自由しない。


確かに楽しいだろう。


逆に俺のような大人しいタイプは、「なにさ、いい子ぶって」と思われる。


女は「外見で人を判断しない」というが、それは嘘だ。

男も女も、相手の容姿がいいに決まっている。


なので、俺のような不細工が女を好きになれば、その不良たちから、

「あの顔で、女に好かれると思ってるなんて、アホや」と言われ、

いじめを受ける。


ひがみになるが、それが世の常だ。


で、もう彼女とはアパートの隣人として意外は、関わることはなかった。


まっ、これが現実だな。

淡い期待は持たない方がいいだろう。


「女は、蝶の服を着た、カマキリだしな」

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今のままで 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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