第1893話 女子トーク

 いよいよ息子も小6。一人称は『僕』と『俺』をうろうろしている可愛い僕ちゃんですが、来年には制服を着て中学に通うお兄さんです。


 ちなみにウチの市は中学校はどこも学ランらしく、学ラン派の私としては嬉しい限り。校則的にどうなのかはわかりませんが、寒い日にパーカーの上から学ランを羽織るやつがすごく好きです。学生時代、カースト上位の男子は、真冬でもギリギリまでその恰好で登校してくるんですよ。コートはほんとギリギリまで着ない。良いですか、私の地元は北海道の道北です。

 それでいうと女子もですね、イケイケの人達は真冬でも素足にルーズソックス(あるいは紺ハイソ)。校内では先生がうるさいので黒タイツを履いたりするんですけど、放課後になると脱ぐんですよ。強い。そういうのはね、年を取ってから影響出るから。おばあちゃんの言葉を思い出します。何度も言います、北海道の道北の話です。


 そう。

 それでですよ。


 そんなこんなで、いよいよ宇部家もお風呂を男子チーム、女子チームで分けることになったのです。いまさらかよってね。


 これまでは、


私が入って頭と身体を洗う→湯船に浸かって家族を呼ぶ→旦那が子ども達を洗う→子ども達が湯船に入る→旦那が頭と身体を洗う→旦那が湯船に入るのと入れ替わりで私が出る


 こんな感じだったんですが、いまは私が先に入ってあれこれ洗って湯船にざっと入って娘を呼び、娘を洗って、二人で浸かる、という感じになりました。


 娘と二人きりのお風呂です。

 ある意味毎回女子会です。


 気になるでしょう?

 女子が風呂場でどんなトークをしているか。

 気になりますよね、男性陣。

 今後の創作に活かせる部分もあるかもしれませんしね。ええ、それでは、このエッセイを読んでくださってる方には大サービス。特別に、宇部女子チームの風呂トークの一部をお届けしましょう!


 『ロボットに口は必要か否か』


 これです。

 学校でこんなことがあった、こんな勉強をした、などの定番の親子トーク以外だと、最近はこれでした。ロボットに口は必要か否か。これが宇部女子チームの風呂トークです。


宇部「ママはね、絶対に必要だと思う」


 昔から口のあるロボット(ドラえもんとかもそうだけど、それよりも勇者シリーズのあの感じの『口のあるロボット』)が大好きな私はきっぱりと言います。


娘「なんで?」

宇部「ロマンがあるから」

娘「ロマン?」

宇部「だってさ、本来ロボットって、口は必要ないじゃない? まぁドラえもんはどら焼き食べるけど、基本的にロボットって口から何か食べることないしさ」

娘「たしかに」

宇部「それに、しゃべるのだって、口にスピーカーを仕込むにしたって、口をパクパクさせる必要ないじゃん」

娘「たしかに」

宇部「だから、別に必要はないと思うんだよ。ないんだけど、それがあることによって、人間と近い存在なんだよ、みたいな。君も僕達と同じだよ。仲間だよ、みたいなさ。なんかそういうのあるじゃん!」

娘「そっか!」


 小3の娘に何を語ってんだって話ですけども。

 娘も「そっか!」じゃないのよ。ママ、もっとキラキラした話しよう? とか言えよ。いや、言えんか。ママがこんなに熱く語ってたら。


 ちなみにこの風呂トークでは、先述の「学校でこんなことがあった、こんな勉強をした」ももちろんありまして、「明日の授業、これが楽しみ」もあります。

 

 で。


娘「明日、初めての『書写』があるんだ! 楽しみ!」

宇部「おっ、いよいよ書写かぁ。それじゃ明日は黒い服にするんだよ。兄さんも書写の日はよく汚してくるからさ、くれぐれも薄い色の服を選ばないようにね」

娘「わかった!」


 そんなやりとりもあったりしてですよ。


 もうおわかりですよね。


 その翌朝、ご飯を食べ終えた娘は、自室にてお着替えを済ませ、颯爽と居間にやって来ました。


 黒いTシャツと、真っ白いズボンを履いて。


宇部「ちょいちょいちょいちょいちょい!」

娘「えっ、何?」

宇部「いや、昨日お風呂で『明日書写がある』って言ったじゃん! 白い服はやめようね、って言ったじゃん!」

娘「うん! だから黒い服着て来たよ!」

宇部「上はな! いや、下ァ! 真っ白ォ!」

旦那「えっ?! 何?! 今日書写なの?! いやいやいやいや、娘ちゃん、さすがにそれはさ! 履き替えよ?」

娘「大丈夫じゃない?」

宇部「大丈夫じゃないよ。兄さんは下こそ派手に汚してきたからね?!」

娘「そうなの? うーん、じゃあズボン替えて来る」

宇部「頼むわ!」


 と、そんな感じでお着替えをさせて事なきを得たのですが――。


 結局、その日の書写は書道バッグの中身の確認等で終わったようです。


 全然無事。

 

 ごめんな娘、白いズボンでも良かったね。良く似合ってたよ。

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