第1889話 自慢の子ども達です
今日はね、PTA参観日がありましたんでね、その報告をしにやって参りました。
同じ学校に兄妹がおりますと、何が大変って、どういうペース配分でそれぞれを見に行くかってやつですよね。でも大丈夫。事前にリサーチしてあります。どうやら先に息子(兄)の方に行った方が良さそうとのこと。そんな完璧なスケジューリングで、「ウワー、ウチの子達が頑張ってるー! カーワイー!(キャッキャッ」などと脳内で手作り団扇をぶんぶん振りながら授業を参観しましてですよ。
問題はその後ですよね。
PTA懇談。
実は、今回の息子のクラスにはですね、コミュ強の保護者さんがいるのです。ご夫婦そろってコミュ強。陽キャオーラで目が潰れそうです。しかも今回は私は一人なのです。旦那無しでこれはきつい。
ママさんA「あっ、宇部息子君のママさんですか?」
宇部「ヒエッ)そうです」
ママさんA「あの、ウチの息子が息子君にいつもよくしてもらってて」
宇部「そうなんですね(もう帰りたい」
ママさんA「なんか、絵も描いてもらったみたいで。あの、あれって、すっごく上手でしたけど、写し紙使ったんです、よね?」
宇部「いや、え――……っと、たぶん使ってないですね(持たせてないし)。恐らく、見ながら描いたんだと思います」
ママさんA「えっ?!」
宇部「あの、えっと、毎日何かしら描いてるものですから、その、得意で(ゴニョゴニョ」
ママさんA「そうなんですね! エーッ、すごい!」
宇部「フヒッ、あ、ありがとうございましゅ(頼む、もう解放してくれ」
怖いですよ。
もうこの陽のオーラが怖い。
陽のオーラを大量に浴びたら陰の者は死ぬんですよ。
気持ちの上ではもうアンデッド的なやつですよ。浄化されて死ぬ。たぶんいま半分くらい砂になってる。
がくがくしながらどうにか会話を終えてですよ。
しばらくすると、今度はまた別のママさんが声をかけて来たわけです。
ママさんB「あの、宇部娘ちゃんのママさん、ですよね?」
宇部「は、はい。そうですけどぉ(今度は何?!」
ママさんB「私、あの、(保護者用名札を見せる)三年〇組の○○といいます。友子(仮名)の母です」
宇部「はぁ……(三年〇組……? 娘と同じクラスだ! も、もしかして!)う、ウチの娘が何かしましたでしょうか?! すみません! あの、ほんと騒がしい子で! すみません、ほんとに!」
もう先手で謝っとけ! の一心でした。娘は明るくて良い子だとは思うんですけど、身体も大きいし、圧が強いところあるし! 娘に悪気はなくても迷惑をかけているかもしれない!
が。
ママさんB「いやいや! 違うんですよ! 友子(仮名)が、娘ちゃんととっても仲良しみたいで。いつも遊んでもらってるって言ってて」
宇部「は、はぁ……(そっちかー! 疑ってごめん、娘!)」
ママさんB「これからもどうぞよろしくお願いしますー」
宇部「フヒョッ、へへ、は、はぁ、こちらこそ、今後共末永くよろしくしていただけると……(やべぇ言葉選び間違えた」
っていうね。
あの、何だろ。
お前達、楽しんでるようで何よりです。ママの自慢の子達だよ。自慢の子達なんだけど、ママはマジでビクビクでしたわよ。ほんとに私の子か?
とても誇らしかったけど、私自身がひたすらダサかったっていう話でした。お前達、私に似なくて本当に良かったね。
あと、息子に聞いてみたところ、やはり写し紙ではなく、見ながら描いてました。だよな。お前いつもそうだもんな。
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