第1520話 お守り
お守りなんですよ。
あの、ガチなやつじゃなくてね。色々あるじゃないですか。その人特有のお守りっていうか。
ほら、運動部のマネージャーが作ってくれるやつとかね。そういうのも含めて。どうです、皆さん。ありませんか? あなた独自のお守りってやつが。
なんてね、そんなこと書きましたけど、特に私はないんですよね。ないんかい、ってね。
いや、実はですね、先日娘がいっきなり胃腸炎になりまして。何事も突然起こりますよね。特に子どもの体調不良って、なんていうか、マジでいきなり来ません? 来ません? ってわからない人もいるとは思うんですけど。
マジで何の伏線もなくいきなり風邪引いたりするわけですよ。なんていうのかな、前日ゲリラ豪雨に当たって――とか、お腹出して寝ちゃった☆ とか、そういうのなしにいっきなり風邪引いちゃう。せめてそういう伏線張っておいてくれ。いや、張らなくて良い。風邪引くな! ゲリラ豪雨は仕方ないけど腹はしまって寝ろ!
それでですよ。
ほら、こないだもね、インフルで宇部家が大騒ぎだったじゃないですか。そん時から導入されたやつなんですよ。
『お守り』
これね。
これ、何のことかって言うとね、ビニール袋なんですよ。ビニール袋っていうか、もうぶっちゃけ『ゲ□袋』ね。ごめんなさいね、お食事中の方。もうそういうエッセイだから諦めていただいて。
何かこのインフル、子ども達がやけにマーライオンしてですね。おかゆとかうどんにしても
それで、ファースト・マーライオン(兄)の時、ギリギリセーフで袋が間に合ったんですけど、それ以来、ご飯を食べる際にはビニール袋を隣に配置することになったわけです。
で、「『お守り』近くに置いとくからね」って。
いや、ズバリ『ゲ□袋』って言ってもいいんですけど、ちょっとほら、ネーミングがいささか最悪じゃないですか。なんか、小脇にゲ□袋置いて食事とか嫌じゃないですか。
でもね、お守りだから。
これなら
それでさんざんお守りお守り連呼してたら、すっかりそれが定着しまして。
インフルの間、宇部家の至る所に『お守り』が散乱してましたね。あっ、もちろん、中は空のやつです。空というか、未使用のやつですけど。食卓に二枚(兄妹分)、居間のソファに二枚(兄妹分)、どういうわけか台所にもあったりして。お守りの散乱する家……。
そんで、まぁインフルは終息したわけですけど、それからしばらくして、現在。
娘が突然の胃腸炎!
もちろん彼女単独です。単独公演です! 娘、胃腸炎劇場、単独公演2DAYSです! どこからもらって来たんじゃ、お前ぇ!
ええ、胃腸炎ですから。
もうバリバリマーライオンですから。マーマーしてましたから。
宇部「娘ちゃん、『お守り』置いとく?」
娘「一応。一応ね。いーちーおーう、いらないかもしれないけど、一応置いとくかな」
なんかね、そばにあると安心するみたいで。
ただの白いビニールなんですけどね。ゴミ箱用の、ちょっと大きめの。良かったですよ、我が家が半透明じゃなくて白いやつ派で。まぁやはり、持っていることで安心するっていうのが、お守りですから。ええ、そういう意味ではね、もう全然ビニール袋でもね、『お守り』になり得ますから。
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